ヨコオタロウ

ゲームを作ったりしています。

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最近の記事

「吉野家兄弟」3巻を紙書籍で出したい記録(その2)

こんにちは。漫画原作者のヨコオです。 今、原作を担当した「吉野家兄弟」3巻の紙書籍化を頑張っています。詳しくは以下を参照していただければ。 ということで、今回は皆様に現状の共有です。 ■ まず、印刷会社さんが決まりそうです。 こちらは、以前原作を担当したコミック「君死ニタマフ事ナカレ」でお世話になったスクウェア・エニックスの編集さんに、恥を忍んで相談させていただいたところ、つながりのある印刷会社さんに繋いでくださいました。 利益や実績になるわけでもないのに、色々あたっ

    • 2024新春対談。

      ■ ヨコオA 「今年の新年の挨拶は、自分と対談します」 ヨコオB 「狂気を感じる」 ヨコオA 「ということで、去年はどうだった?」 ヨコオB 「去年っていうか、23年12月31日から歯が痛くなって、1月1日の今、歯医者に行こうとしてるトコロ」 ヨコオA 「歯医者?お正月にやってるの?」 ヨコオB 「調べたらやってた。休日に応急対応する歯科ってのが自治体によって運営されているみたい。こんなお休みに働いている歯医者さんには感謝しかない。」 ヨコオA 「いや、本当に」 ヨコオB 「

      • 「吉野家兄弟」3巻を紙書籍で出したい記録(その1)

        ヨコオが原作を担当させていただいたマンガ「吉野家兄弟」完結しました。作画の秋鹿先生、編集の皆様、そして読んでくださった皆様には感謝しかありません。 とても気に入ってるので、興味ある方は是非読んでみていただければと思います。 ■ 完結に伴い、吉野家兄弟の3巻がリリースされます。 しかし、LINE マンガさんがコミックの紙書籍事業から撤退することになり、吉野家兄3巻がデジタル版のみのリリースになる、との連絡を受けました。 ……受けたのですが、結論から言えば、3巻を頑張って紙

        • 映画「哀れなるものたち」試写会。【ネタバレあり】

          希望を持つようになったらおしまいだよ。 /寺山修司 ■ 昔、webで映画評論を見ていた時。 そのレビュワーによって延々と書かれていたのは、シナリオや演技や演出の技巧についてではなく、「映画がジェンダー的に正しく描かれていない」という不満だった。それを読んだ僕は、モヤモヤした気持ちになった。 という、前置きっぽい書き出しでスタートしてみる。 ■ 映画「哀れなるものたち」試写会に参加。 普段と違う場所だな、と思ったら東京国際映画祭の会場での上映。 そういうのもあるんだな。

        「吉野家兄弟」3巻を紙書籍で出したい記録(その2)

          自分勝手な物差しでお互いを測り合う美しき未来について。

          みんな自分勝手で自分のことしか考えてない。 僕だって好きでこんなコトやってるもんか! / 機動戦士ガンダム ■ 昔の記事だけど。 企業によって就活生のSNSが調査されている、という話題。 賛否両論というか、概ね否定的な意見が出ているようだけれど、いずれ一般化してしまうと思う。 ・SNS みたいな情報の塊は、ほぼ100%に近い確率で本人を割り出せ、 ・A.I. によるデータ分析が一般化・ツール化される。 となってしまう未来。 いや、就活用に慌てて作ったダミーアカウント

          自分勝手な物差しでお互いを測り合う美しき未来について。

          自分大好きブーム。の次。

          ■ 本屋の、心理学と哲学のコーナーをよく覗く。 物語を書く職業柄か「他人が何を考えているか?」というシステムに興味があるのが原因な気がするけど、単なる好みなのかもしれない。認知心理学のあたりとか。 そんな訳で、地元の本屋さんとかに行くんだけれど、最近はメンタルケアの本が大変増えているように思える。しかも、全体的な傾向が似てて ・あなたは繊細である。 ・あなたは自己肯定感が低い。 ・けど、あなたはそのままでいい。 といったテーマが多い。 つまり、「自分は弱いけど、肯定して

          自分大好きブーム。の次。

          映画「イニシェリン島の精霊」試写会

          「何もしてないさ ただ嫌いになった」 / 映画「イニシェリン島の精霊」 ■ 試写会にはよく行くんだけれど、この映画はあまりにも印象に残ったので note に感想を書いておく事にした。ネタバレはしないようにしようと思うけれど、ある程度は推察出来てしまうだろうから、真っ白な状態で観たい人は読まない方がいいと思う。あらすじなんかはサイトを見てください。 ネタバレはしない、と言いながら、書いてある内容は観てないと通じないような内容になってる。なんで? ただ、ヨコオが混迷に至った

          映画「イニシェリン島の精霊」試写会

          世界の穴を埋めていく。

          信仰は競馬によく似ていると思うことがあります。 ビギナーはよく穴を当てます。 ところが馬のことを勉強し始めたら、当たらなくなります。 /遠藤周作 ■ 某学校で講義をした時に、以下のような質問があった。 「ニーアオートマタのようなヒット作を出してしまうと、次の作品に期待されてプレッシャーが大きくないですか?」 的な内容。初見の印象としては「何も世の中に出してない学生が心配するような議題かそれ?」っていう感じだったんだけど、自分の中の割と重要なところを説明できそうだな、とも

          世界の穴を埋めていく。

          正しい言葉を巡る対話。

          文化は言語の条件であり、同時に、その産物である。 /ジョン・デューイ ■ シナリオや設定を書いている若手メンバーと話をして、色々考えが広がったのでメモをしておく。(※実際の業務の事は書けないので、実際には起きてない内容に書き換えるけど) 若手の彼女は今、シナリオの勉強中。 ただ、学生時代に古い英語について学んでいて、人に教えられるレベルで教養がある。(スゴイ) ある日彼女は、自分達のチームが作ったシナリオ内の英単語、その文法が間違っている事に気づいた。古い文法に基づ

          正しい言葉を巡る対話。

          2020年ー2021年のメモ。

          未来とは、今である。 / マーガレット・ミード ■ アケマシテオメデトウゴザイマス。 2020年の冒頭に「今年の抱負」を書こうとしていた。 微妙な言い回しなのは、以下のような感じで途中まで書いて放置してしまったから。 ここで終了。 新年の抱負すら書き上げられないだらし無さ。我ながら恐れ入る。 結局、仕事は特に減らず、追い回されながらキュウキュウとした一年だった感がある。 ■ 2020年の大雑把なイベントは以下のような感じ。 【1月~2月】 海外でニーアのオーケス

          2020年ー2021年のメモ。

          ゲーム制作者が漫画原作を終えて思う事。

          「努力の成果なんて目には見えない。しかし、紙一重の薄さも重なれば本の厚さになる」 /君原健二 ■ 原作を担当していたマンガ「君死ニタマフ事ナカレ」が完結した。 当初予定していた物語のゴールに到達出来たのは、マンガとして大変幸せ事だと思う。支えて下さった読者の皆様、編集部の皆様、そして森山先生には感謝の念しかない。ありがとうございます。 それまで、マンガの原作をやってこなかったので、大変刺激的な数年間だったなー、という事で、ちょっと振り返ってみる。 ■ 最初はいつだ

          ゲーム制作者が漫画原作を終えて思う事。

          「美味しんぼ」のフレームでゲーム業界話を書いてみた。

          俺は、ただ言わずにはおれなかっただけさ 美味しんぼ / 雁屋哲・花咲アキラ ■ 東西新聞ゲーム部。 社運を賭けた「究極のゲーム」を作る為、やる気のないグータラ社員のヤマオカが愛人のクリタと共に記事の担当になる。 【第三話】 若手プログラマが作ったゲームのミドルウェアにバグが見つかった。しかし、ミドルウェア会社に問い合わせるが返事はない。困った若手の前に現れたのは、飲んだくれの窓際中年社員。実は彼は、昔、レンダラをイチから書いていたスーパーエンジニアで…… 【第四話】

          「美味しんぼ」のフレームでゲーム業界話を書いてみた。

          朝起きれない人間が想像する、テレワーク社会の未来に残るナニカ。

          あなたのお仲間を見れば、あなたのお人柄がわかります。 / ミゲル・デ・セルバンテス ■ 今日も長い割には大したことない内容なので注意して欲しい。 いや、本当に。 というか note 久しぶり。こんにちは。 ■ この前50歳になった。んだけれど、全く朝が起きられない。 小さい頃から朝起きるのがイヤで、学校に行く事が嫌いだった。 大学の時はゆるやかな生活が続き、寝坊を楽しんでいた。 ナムコに就職した直後、「ゲームを売る現場を知る」という理由で、新入社員はゲームセンタ

          朝起きれない人間が想像する、テレワーク社会の未来に残るナニカ。

          2019年の振り返り。

          お前がいつの日か出会う禍は、 お前がおろそかにしたある時間の報いだ。 / ナポレオン・ボナパルト ■ 2019年も最終日になってしまった。今年の外部に見えている仕事としては、舞台ヨルハ Ver1.3a だったり、君死ニ連載中だったり、各所での講演だったり、FF14さんとのコラボだったり、吉野家をモチーフにした漫画原作をスタートさせたり、とかで、それなりに盛り沢山だったように思う。 ただ、自分の本業であるところのコンシューマーゲーム(のディレクション)に関する発表も発売

          2019年の振り返り。

          30年後の同期。

          「となりの部屋へ行くんだ。仕事をする。仕事をさせてくれ」 / 手塚治虫 ■ スーパーに行ったら、年賀状印刷と喪中ハガキ印刷のチラシが置いてあった。年賀状より喪中のチラシが前に来てるのはイタズラかと思ったら、どうやら最初からそういうものらしい。 普通に考えれば、この印刷所は「喪中はがきの方がビジネスになっている」から前面に出しているという事になる。 確かに、年賀状はコンビニや文具店でも買える事を知ってるけど、喪中はがきを売ってるかどうかは確証が持てない。それにスーパー

          30年後の同期。

          僕達は下品である。

          どんな愚かな者でも他人の短所を指摘できる。 そして、たいていの愚かな者がそれをやりたがる。 /ベンジャミン・フランクリン ■ この前実家に帰った時、母親から「スマホに下品なニュース通知が沢山出るんだけど」と言われて調べてみたら、原因はキャリアにプリインストールされていた某有名ニュースアプリだった。カスタマイズする事なんて知らない母親は、ただただ困惑。 通知内容はおそらく政治や芸能界のゴシップそういう類なんだろう。ニュースアプリのデフォルト通知がそうした「下品」なニュー

          僕達は下品である。