2019年の振り返り。

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お前がいつの日か出会う禍は、
お前がおろそかにしたある時間の報いだ。
/ ナポレオン・ボナパルト


2019年も最終日になってしまった。今年の外部に見えている仕事としては、舞台ヨルハ Ver1.3a だったり、君死ニ連載中だったり、各所での講演だったり、FF14さんとのコラボだったり、吉野家をモチーフにした漫画原作をスタートさせたり、とかで、それなりに盛り沢山だったように思う。

ただ、自分の本業であるところのコンシューマーゲーム(のディレクション)に関する発表も発売もなかったので、どこか物足りない感じもする。コース料理のオードブルばかり食べててメインディッシュを食べそびれたような、そんな寂しさ。


ただ、よくよく考えてみれば、オートマタの時も制作の半分以上は田浦さんがディレクションをしていた訳だから、純粋なディレクターとは呼べない気がする。

僕はフリーランスで色んなところで仕事をするスタイルなので、純粋に、現場で全体を統括するような制作は、レプリカントが最後。10年近くやっていない事になる。本業だと思っていた「コンシューマーゲームのディレクション」は、キャビアを辞めたあの日に終わってしまっていた訳だ。


ドラゴン1、ニーアレプリカントと、ディレクターとして全体を好き放題作れた事はとても良かったと思ってる。ゲームオタクの究極のゴールを体験できた。

でも、オートマタでは「苦手部分を人に完全に任せる」という事が実現出来て、製品としての完成度がより上がった。僕が関わらない方が世界が良くなる、という皮肉めいた結論。

一方で、オートマタ以降、自分にしか出来ないコトというのも沢山やる事が出来た。例えば、コンサート「人形達ノ記憶」では、音楽演奏に朗読劇を混ぜて、さらにゲーム本編内では表現してなかった前日譚やエンディングを描けた。ゲームの従属物としてではなく、本編に伍する体験を作れた事にとても満足している。


オートマタがヒットした事で、色んなお仕事を受けさせていただき、色んな方と触れ合った結果、自分の「ゲームへの関わり方」が変化した。

結局のところ、僕はゲーム全体を統治するディレクターというポジションよりも、人があまりやっていないような事を探し出して開陳するような仕事が好きだし、向いている気がする。ディレクターとプロモーターとシナリオライターとアートディレクターの間に漂う、ボンヤリとした空白地帯を埋める仕事をやりたい。

2019年末の今、そんな事を考えている。

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