2024新春対談。


自分で自分の事をどう思うか。 それは、他人からどう思われるかよりも、はるかに重要である。
/ セネカ


ヨコオA 「今年の新年の挨拶は、自分と対談します」
ヨコオB 「狂気を感じる」
ヨコオA 「ということで、去年はどうだった?」
ヨコオB 「去年っていうか、23年12月31日から歯が痛くなって、1月1日の今、歯医者に行こうとしてるトコロ」
ヨコオA 「歯医者?お正月にやってるの?」
ヨコオB 「調べたらやってた。休日に応急対応する歯科ってのが自治体によって運営されているみたい。こんなお休みに働いている歯医者さんには感謝しかない。」
ヨコオA 「いや、本当に」
ヨコオB 「でもまあ、去年は体調が悪かった、というかここ2・3年は体調悪いね」
ヨコオA 「あー」
ヨコオB 「頚椎狭窄症とか。神経系の痛みはやっかいだね」
ヨコオA 「寝てれば収まるんだけど」
ヨコオB 「24時間寝てる訳にもいかないし」
ヨコオA 「いや、お正月早々に病気の話とか縁起が悪いな」
ヨコオB 「他に何かいいことあった?」
ヨコオA 「うー、引っ越ししたかな」
ヨコオB 「あー、引っ越しね。なんか辺鄙なところに引っ越したせいで色々不便だけど」
ヨコオA 「コンビニが近くにないとか、そういう不便さはいいんだけど、地形が変な場所に住んで家電の搬入とかが面倒だったりとか、そういうのが地味に面倒」
ヨコオB 「あと、いつまでも片付かない」
ヨコオA 「ね」
ヨコオB 「引っ越しあるある。ダンボールが永久に開封されない」
ヨコオA 「引っ越して部屋が広くなったから、大きい本棚用意したんだけど、一瞬で埋まってびっくりした。どんだけ本があるんだ」
ヨコオB 「捨てられない」
ヨコオA 「断捨離しないと」
ヨコオB 「いいんだよ。別に。溜め込んで溜め込んで溜め込んで、そこで死ねば」
ヨコオA 「ゴミ屋敷だ」
ヨコオB 「土に還るから。紙は」
ヨコオA 「仕事面はどうだった?」
ヨコオB 「うー、いつも通りかな」
ヨコオA 「そう?シノアリスとか終わって作業楽になったんじゃない?」
ヨコオB 「仕事全体量が100あるとするじゃん。そのうち、全力でがんばって締切に間に合うのが50だとするよね。で、その状態で全体量が70になってもやっぱり50やらないといけないから、作業量は変わらないんだよね」
ヨコオA 「仕事受けすぎでしょ」
ヨコオB 「それも違うんだな」
ヨコオA 「どうして?」
ヨコオB 「仕事が減っても増えても、締め切りは守れないんだよね」
ヨコオA 「サボるんだ」
ヨコオB 「うん」
ヨコオA 「ダメ人間だ」
ヨコオB 「うん。まあでも今年はがんばる気持ちはある」
ヨコオA 「がんばる気持ち?」
ヨコオB 「いや、ちょっとまって。歯が痛くなってきた。ロキソニン飲むわ」
ヨコオA 「病院行きなよ」
ヨコオB 「午後からなんだって」
ヨコオA 「お医者さんが『痛み止めは早く飲んだ方がいい』って言ってたよ」
ヨコオB 「言ってたってどこで?」
ヨコオA 「ネットで」
ヨコオB 「そういうの、鵜呑みにしない方がいいんじゃない?お医者さんにも色々いるんだし」
ヨコオA 「ああ、批判的思考?なんだっけ?クリティシズム?クリティカル・シンキング?」
ヨコオB 「わかんないよ。同じ脳なんだから、知識ベースは同じだよ」
ヨコオA 「脳ね」
ヨコオB 「新年の目標とかある?」
ヨコオA 「ないね。とりあえず、近めの締切を解決していかないと」
ヨコオB 「だよね。『◯◯を成し遂げます』みたいな、大仰に構えた目標を立てたことない」
ヨコオA 「だって無理だし。去年出来なかったことは今年も出来ないよ」
ヨコオB 「清々しいほど後ろ向きの発言でいいね」
ヨコオA 「もっと小さい目標なら行けるんじゃない?」
ヨコオB 「例えば?」
ヨコオA 「今年は家の玄関から出る、とか」
ヨコオB 「出来るけど。意味あるの?」
ヨコオA 「ないね」
ヨコオB 「じゃあダメじゃん」
ヨコオA 「でもさ『家の玄関出る』とか、そういう簡単な事と、『偉大なる作品を作る』みたいな無理めの目標があって、その中間に、『ギリギリやれそうだけどどうする?』的な案件が転がってる訳じゃん」
ヨコオB 「偉大なる作品は作れないんだ」
ヨコオA 「いや、そこは今論点じゃなくて。簡単な目標と大きな目標の間にさ、妥当な目標があるのかも、って話」
ヨコオB 「なんか自己啓発本みたいになってきたな」
ヨコオA 「本屋行って買ってくる?」
ヨコオB 「そういうめんどくさいのはやめとこう」
ヨコオA 「本当にダメ人間だよね」
ヨコオB 「もうちょっと手軽に、妥当な目標を設定したいよね」
ヨコオA 「妥当かー。自分自身の能力を見極める、って事だよね」
ヨコオB 「そうなると、自分を見つめる必要があるよね。でも、自分を見つめるのって結構しんどくない?ダメ人間だから」
ヨコオA 「うん」
ヨコオB 「見つめるのやめよう。だから、目標なんか立てずにダラダラ生きていこう」
ヨコオA 「なんかすごい後ろ向きな結論」
ヨコオB 「違うんですよ。この結論をね、なんか、前向きに捉えられるようなフレームを考えるんですよ」
ヨコオA 「たとえば?」
ヨコオB 「『ありのままの自分を受け入れよう』とか」
ヨコオA 「出た。最近流行りのやつだ」
ヨコオB 「耳ざわりがいいよね。みんな自分を肯定されたいから」
ヨコオA 「キャバクラとかでおじさんが『わーすごいですね』とか言われていい気分になるやつね」
ヨコオB 「さしすせそ、ね。『さすがですね』『知りませんでした』『すごいですね』『セクハラですよ』『そうなんですね』だっけ?」
ヨコオA 「知らないよ」
ヨコオB 「こういうの半分バカにしながら聞いてたけど、正直、『つまらないですね』とか言われるよりは圧倒的にマシだよね」
ヨコオA 「わかる。褒められるのは、何か強烈な快楽がある」
ヨコオB 「なんだろうね。この肯定感が欲しくて、キャバクラ行ったり、自己啓発本を買ったりする訳じゃん」
ヨコオA 「うん」
ヨコオB 「お金になりそうだよね」
ヨコオA 「なりそうだけど、ろくでもない結論だと思うから考えるのやめよう」
ヨコオB 「確かに」
ヨコオA 「こういうとき、脳が同じだと便利だよね。すぐに同意を取り付けられるから」
ヨコオB 「じゃあさ、俺たちがお互いを肯定しあったら、無料で強烈な自己肯定が出来るんじゃない?」
ヨコオA 「へー。それはやったことないな。やってみるか。」
ヨコオB 「うん。」
ヨコオA 「あー、ヨコオタロウはスゴイですよ。何人たりとも作れなかったビデオゲームを生み出す天才だから」
ヨコオB 「ちょっと待って」
ヨコオA 「ん?」
ヨコオB 「あんまり、事実とかけ離れてると気持ちがオチる」
ヨコオA 「そっか。じゃあ、ヨコオタロウは去年も生きてて偉い!がんばった!」
ヨコオB 「簡単過ぎて微妙な気がするけど……まあ、言われないよりは言われた方がいいかな」
ヨコオA 「じゃあ、俺にもやってやって」
ヨコオB 「えーと、なんだ。ヨコオタロウ。お前の思いつきはさして大した事ではないが、その行為によって、何人かの雇用を生む事ができている事を考えると、経済的効果としてその存在は価値があると言えよう」
ヨコオA 「慣れない経済的概念を持ち出してわけがわからなくなってんじゃん」
ヨコオB 「なった」
ヨコオA 「まあでも、悪くはないかも」
ヨコオB 「この手法で他の人を褒めたら、巡り巡って、自分の評価が上がったりしないかな」
ヨコオA 「褒めないよりはいいかもだけど、そういう事あんまり向いてないじゃん。俺」
ヨコオB 「そうなんだよね」
ヨコオA 「配信とかで良く喋るからコミュ強のように思われる事が多いけど、根っこは一人でいるのが好きな孤独な人間だからね」
ヨコオB 「齊藤さん(スクエニP)もおんなじ事言ってたな」
ヨコオA 「いやでも、努力してでもさ、そうやって喋る事が出来るのって、結局コミュ強なのかな」
ヨコオB 「喋っててもダメな人いっぱいいるじゃん。聞きかじりの話を渡すだけの人とか、結局自分を持ち上げたいだけの人とか」
ヨコオA 「そういうのもコミュ強なんじゃないの?」
ヨコオB 「えー、そうなの。そんなイヤな属性だったら、コミュ強なんてならなくていいよ」
ヨコオA 「相手にどう見られているか?ってところの自己認識って難しいよね」
ヨコオB 「よかれと思って言っても、曲解されたりね」
ヨコオA 「なんていうか、こう、生きるのって大変だよね」
ヨコオB 「こんなの大変なうちには入らないでしょ。死ぬ訳でもなし」
ヨコオA 「確かに」
ヨコオB 「あー、一億円道端に落ちてないかなー」
ヨコオA 「落ちてないし、拾ったら交番に届けないとだし」
ヨコオB 「まあ、そうやって巡り巡って自分のものにしたいって事だよ」
ヨコオA 「でも、一億円もらってどうすんの?何か欲しいものある?」
ヨコオB 「……金の延べ棒とか?」
ヨコオA 「脳が同じだからわかるけど、欲しくない物を適当に言うなよ」
ヨコオB 「ごめん」
ヨコオA 「結局、欲しいものは大体今の給料で買えるじゃん」
ヨコオB 「あー」
ヨコオA 「車とかクルーザーとか高級時計とか宝石とか、そういうものに興味がない時点で、俺たちが得られるお金による快楽なんて知れてる訳ですよ」
ヨコオB 「あー、じゃあ、さ。児童養護施設とかに寄付とかは?ほら、子供好きじゃん。俺」
ヨコオA 「あー、アマゾンのやつ?」
ヨコオB 「リンク貼っとくよ」

ヨコオA 「クリスマスの時になんか贈ろうと思ってたけど、忘れてたな……」
ヨコオB 「その分もいっとけ。どうせ俺たちに金なんて無用だ」
ヨコオA 「無用じゃないでしょ。でもまあ、贈れる分は送りたいよね」
ヨコオB 「あー、ちょっとまって。歯医者さんの開く時間が近づいてきた。行ってくる」
ヨコオA 「行ってらっしゃーい」
ヨコオB 「お前も行くんだよ」

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