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神影鎧装レツオウガ

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神影鎧装レツオウガ 第四十八話

神影鎧装レツオウガ 第四十八話

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Chapter06 冥王 12
「こ、お、の、野ァ郎ォォォォッ!」
 一、二、三、四、五、六――十四。嵐のように放たれるグレンの連撃が、地獄の火洞窟の空気をかき乱す。
 裏拳、肘打ち、膝蹴り、回し蹴り、踵落とし、正拳突き。荒々しい、しかし確かな技術にも裏打ちされた打撃の奔流。
「ふふ」
 その奔流に晒されながら、しかし冥《メイ》の微笑は崩れない。
 拳撃

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神影鎧装レツオウガ 第四十七話

神影鎧装レツオウガ 第四十七話

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Chapter06 冥王 11
 地獄の火洞窟大ホール。
 あれだけの事があったにも関わらず、冥《メイ》はまだここに居座っていた。
 さもあらん。一連の中核ながら諸々の喧噪からかけ離れたこの洞窟は、観戦するには持って来いの場所だからだ。
 未だ輝き続ける数々の術式。ウェストミンスター区を様々な角度から映す立体映像モニタ群。見所はいくつもある。
 だが今現

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神影鎧装レツオウガ 第四十六話

神影鎧装レツオウガ 第四十六話

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Chapter06 冥王 10
 フレームローダーが転移術式を潜ったのと、ほぼ同時刻。
『Rフィールドが、発動しただと……!?』
 月面の巌は、フェイスシールドの下で絶句した。
 概算とはいえ、起動に必要な霊力はもう確保出来ないはず。だが、ならば、どうやって?
 渦巻きかけた疑問を、しかし巌はすぐさま閉め出す。
 仮説。検討。検分。検証。そんなものは後でいくら

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神影鎧装レツオウガ 第四十五話

神影鎧装レツオウガ 第四十五話

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Chapter06 冥王 09
「霊力の、確保、ですって?」
 一語一句を区切りながら、サトウは怪盗魔術師の言葉を繰り返す。
「そんなものを、いつ、どうやって……」
 と、そこでサトウは気付いた。怪盗魔術師の輪郭が、陽炎のように揺らいでいる。立体映像モニタの不調、ではない。
 では理由は何か。疑問符と同時に、鳴り響く携帯端末。取り出す。画面に表示された名前は、

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神影鎧装レツオウガ 第四十四話

神影鎧装レツオウガ 第四十四話

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Chapter06 冥王 08
 時間はまたもやさかのぼり、雷蔵がレギオンと戦い始めた頃。
 ウェストミンスター寺院の隣、浮遊している術式陣の中央。
 そこに、怪盗魔術師エルド・ハロルド・マクワイルドは佇んでいた。
 表情は無い。今し方までの爆笑が嘘のような無表情。その双眸は、ウェストミンスター区の有様をじっと見据えている。
 未だ大量の、しかし少しずつ

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神影鎧装レツオウガ 第四十二話

神影鎧装レツオウガ 第四十二話

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Chapter06 冥王 06
 転移術式装置を降りて、二歩三歩。
 制御装置群の只中に、巌は立った。先程まで利英が作業していた場所だ。
 見れば、正面には大型のプレート状転移術式装置。直径こそ大きいが、紋様自体は足下のものと同じだ。
「改善されたとはいえ、やっぱ正規のに比べたらちといびつだな」
 顔を上げる。灰色の丘の上、レツオウガの姿が見えた。
 つい、と

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神影鎧装レツオウガ 第四十一話

神影鎧装レツオウガ 第四十一話

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Chapter06 冥王 05
 ごうどうと。どうどうと。
 瀑布じみて噴出する霊力が、ウェストミンスター区中へ凄まじい勢いで広がっていく。建物等への被害こそ無いが、その様はもはや水害のそれだ。
 水面の高さは三~四メートルくらいだろうか。その密度と流れる勢いだけで、全ての大鎧装が足を取られてしまっている。
  歩兵部隊も沈んでいるが、皆フェイスシールド

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神影鎧装レツオウガ 第四十話

神影鎧装レツオウガ 第四十話

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Chapter06 冥王 04
 ずしん。
 重く巨大な音が、イーストエンドに響く。
 足音だ。ホバーモードを解除したディスカバリーⅢ小隊が、一斉に地面を踏みしめたのである。
 数は三、後続無し。随分控えめな数だが、ウェストミンスター区では未だキクロプス達との戦闘が継続しているのだ。仕方あるまい。
 無表情なモノアイと銃口が、油断無いチームワークで立体駐

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神影鎧装レツオウガ 総合目次

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■ あらすじ ■
五辻辰巳が怪物を消し飛ばした。
霧宮風葉は、その一部始終を呆然と見ていた。
なぜ、こうなったのか。
発端は、つい今朝方。風葉の髪が銀色になった上、犬耳まで生えていたが為に、全ては始まったのだ。
しかも異常事態はそれだけに留まらない。日常は薄墨色の向こうへ沈み、怪物が当然の如く出現し、果ては巨大なロボットが校舎を揺るがせる。
やがて明らかになるのは、日常の裏で繰り広げられていた

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