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神影鎧装レツオウガ

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2018年10月の記事一覧

神影鎧装レツオウガ 第七話

神影鎧装レツオウガ 第七話

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Chapter02 凪守 02

 ファントム・ユニットの司令室は、オフィス用区画の端っこにあった。
「ここだ」
「ここだ、って……」
 思わず、風葉は今しがた通り過ぎた扉を振り返る。結構離れているが、それでも通路奥にある大きな両開きの自動ドアは、ここからでも良く見えた。名前は知らないが、とにかく他の部隊の部屋だ。
 次いで翻り、風葉は正面の扉を見る。
 寮や自宅でよ

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神影鎧装レツオウガ 第六話

神影鎧装レツオウガ 第六話

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Chapter02 凪守 01

 日乃栄高校の敷地奥、北校舎の斜向かい。この学校の特徴である実験棟の右隣に、鉄筋コンクリート製の学生寮がある。
 名前は翠明《すいめい》寮。築四十年の大台を突破して久しい、途方も無いオンボロ物件である。
 かつてはこの寮に全校生の半数近くが寝泊まりしていたのだが、それは年号がまだ昭和だったころの話だ。
 交通機関が発達し、全寮制も廃止

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神影鎧装レツオウガ 総合目次

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■ あらすじ ■
五辻辰巳が怪物を消し飛ばした。
霧宮風葉は、その一部始終を呆然と見ていた。
なぜ、こうなったのか。
発端は、つい今朝方。風葉の髪が銀色になった上、犬耳まで生えていたが為に、全ては始まったのだ。
しかも異常事態はそれだけに留まらない。日常は薄墨色の向こうへ沈み、怪物が当然の如く出現し、果ては巨大なロボットが校舎を揺るがせる。
やがて明らかになるのは、日常の裏で繰り広げられていた

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神影鎧装レツオウガ 第五話

神影鎧装レツオウガ 第五話

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Chapter01 邂逅 05

 先に仕掛けたのは辰巳の駆るオウガだ。鋼に秘められた機構が唸りを上げ、青色の巨体が疾駆を開始。対するキクロプスもオウガ目がけ、一直線に走り出す。
 足下の一年生達を当然のごとくすり抜ける両者の激突地点は、丁度グラウンドの中央だ。
 無造作に踏み出される武骨で巨大な両足は、本来ならそれだけで校庭に巨大な穴を穿っていただろう。だが、ここは

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神影鎧装レツオウガ 第四話

神影鎧装レツオウガ 第四話

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Chapter01 邂逅 04

「さて、後はアレの始末か」
 辰巳は窓の外、未だ中庭から立ち上っている光柱を睨む。その瞳に、先ほど見えた人間味は一切ない。ガラス玉のような冷たさが、また戻っていた。
「む」
 どうして辰巳は、そんなに頑ななんだろう。
 首を傾げる風葉《かざは》だが、直後に吹き付けた光の波によって、疑問は脳裏から消し飛んだ。
 赤。緑。青。白。黄。黒。

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