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憲剛にとってはあたりまえ

「サッカーの忘れられないシーン」と言っておきながら、どの試合か覚えていないので、「忘れられない!」と言えば嘘になるのかもしれない。

それでも、僕にとっては忘れられないシーンがある。

それは、きっとYouTubeで探しても見つからない。

だって、ロスタイムの劇的な逆転ゴールでもなければ、W杯で惜しくも逆転負けしたシーンでもなく、ごくごく普通の試合で起きた、90分のうちのほんの数秒の出来事だから。


僕の大好きな選手は川崎フロンターレを昨年引退した、中村憲剛選手。

決して恵まれた身体能力がある訳ではないけれど、ボールを止める蹴るといった基本的な能力を磨き、日本のトッププレーヤーとして長年活躍してきた。

引退はしたけど、まだまだ本当は日本のトップレベル。自分で40歳になったら引退と決めていなかったら、あと5年は現役でできたと思う。

それはさておき、二度サインをもらった際もとても親切で、ファンから愛される理由がよくわかる。
サインもかわいい😊


そんな憲剛選手に纏わる、僕の忘れられないシーン。


それは、とある試合で川崎フロンターレの選手がファールをしてしまい、相手選手が倒れ込んでしまった時の出来事。

普通、ファールをすると、ファールをした選手は審判から注意されるのが嫌だからか、倒した選手から逃げていく。

倒された選手の味方は「大丈夫かー?」といった感じでゆっくり味方に近づいていく。

ファールをした側のチームの選手は、ファールをした選手に「ドンマイ!ドンマイ!」と声をかけ、次のプレーが始まるまで連携の確認なんかをする。


憲剛選手は違った。


誰よりも早く倒れた選手に駆けつけただけでなく、こんなオーバーリアクション試合中もそんなにしないのに!というくらいに手を大きく広げ、ピッチの外に向けタンカを要求した。

「早く来い!早く来い!」って。

タンカは審判が呼ばないとピッチの中に入ってこれないのだけれど、「審判の判断を待ってる場合じゃないから早く来て!!助けて!!!」と、緊急事態だとすぐ伝わるジェスチャーをしていた。


相手チームの選手なのに。


倒れた選手の味方チームではなく、倒した方の敵チームである憲剛選手が、その場にいた他の誰よりも倒れた選手を心配していた。

試合に勝つことだけを考えると、相手選手を心配する時間があるなら、味方で連携の確認をする方が正解かもしれない。

それでも、憲剛選手は誰よりも倒れた選手を心配して、いち早く助けを求めた。


勝つ為の正解は違うのかもしれないけれど、間違いなく憲剛選手の行動は人として正解だと思う。

サッカー選手である前に、選手は一人の人間であり、相手を含めた周りの人たち全員をリスペクトしているからこそ、憲剛選手は長年活躍できたのだと僕は思った。


そして何より、憲剛選手のこういったシーンを僕は複数回見ている。


憲剛選手にとって、人としてとるべき行動をとること。それはきっと、あたりまえなことであり、決して難しいことではないのだ。

幼い頃、「サッカーが上手けりゃいいって訳じゃないんだぞ!」と、いろんな指導者が言っていたけれど、憲剛選手の行動を見て、やっとその意味がわかった気がする。


憲剛選手は引退しちゃったけど、次、僕がいつか好きになる選手はきっと、憲剛選手のようなプレー・行動をする選手だと思う。

そして、そんな選手を僕は応援したい。


あまり注目されないけれど、僕にとっては忘れられないシーンのお話でした😌


※高校生の時の僕と憲剛選手
何度も読み返した憲剛選手の本にサインして貰えば良かったと、この後とても後悔したのを思い出しました😅


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