イタリアングレーハウンドを飼う前に・飼った後に知っておいて欲しいこと
最近、妻の要望でイタリアングレーハウンド(以下、イタグレ)を飼うことになりました。
妻と付き合っているときは、「猫を飼いたい(ロシアンブルー)」と言っており、イタグレの話は出てきませんでした。なので、最近になって「イタグレを飼いたい」と言い出したときに、「なぜ急に猫派から犬派になったのか?」疑問でした。
「犬を飼いたい」と言い出したとき、妻は転職をし、在宅ワークを始めました。これが1つのきっかけかもしれません。
さらに話を聞くと、妻の犬好きは、在宅ワークがきっかけではなく、幼い頃からで、イタグレを飼いたいと思っていたそうです。(動物全般が好きなことに変わりはないですが)
ということで、イタグレを飼って約1か月になります。現在もそうですが、飼育に結構手こずっております。
飼育直後は、以下のイタグレの行動に反応的になり、夫婦の仲がかなり険悪になってしまいました。
言うことを聞かないで家中を走り回っている
特に、妻の顔に向かってとびかかる、妻の髪をかじる
トイレエリアでおしっこをしない(フローリングにおしっこする)
ウンチはトイレでするが、すぐに処理できないと、ウンチを食べたり、舐めたり、ウンチを踏んだり…踏んだ足でケージ内を歩いてウンチまみれにしたり
散歩用のハーネスを付けたがらない
ですが、この1か月で、少しずつ改善されてきました。YouTubeや、犬を飼育している方、獣医さんのアドバイスをもとに、少しずつ良くなっています。
本ブログは、以下を伝えるために、書きました。
これからイタグレを飼おうとしている人向けに、後悔のない決断をしてほしい
飼うと決めたら、それなりの覚悟を持ち、小さなギャップで飼育生活が送れる手助けになってほしい
1.イタグレとは・イタグレのイメージ
原産はイタリア、大型のグレーハウンドを小型に改良したものがイタグレです。
イタグレは「視覚ハウンド(サイトハウンド:SIGHTHOUNDS」に分類され、「優れた視覚と走力で獲物を追跡捕獲する犬」です。
個人的には、「見た目がスラッとしていて、美しい」「まるで競走馬のよう」です。その通りで、「レーシングドッグ(競走犬)」の用途で使われてきました。
イタグレと検索すると、上位には良いイメージばかり出てくるように思えます。イタグレ好きな人の特徴として(偏見があるかもしれませんが)、見た目重視、毛が短いためお手入れがラク、なんとなく賢そう、などが挙げられると思います。
ここで出てきた「なんとなく賢そう」に注目します。この「なんとなく」な知識で、イタグレを飼おうとしている人がいたら、冷静になって、再考する方が良いです。
私も妻も、このバイアスに陥っていました。かつ、明らかな情報収集不足でした。
2.飼い始めて感じたギャップ
では、なぜ、イタグレが「なんとなく賢そう」と思ってしまうのか?
それは、たぶん、イタグレの「見た目」です。よく言われる、アンコンシャス・バイアスです。
私は、アンコンシャス・バイアスや認知科学に関する本をいくつか読んできたし、マスコミの恣意的な発信に関しても、注意が必要だと思えるようになってきました。
しかし、冷静さを失い、このバイアスにハマったように感じます。このバイアスがすべてではないですが、少なからず、影響していたように思えます。
スマートな見た目、引き締まった身体→頭が良さそう、運動神経が良さそう→きっとしつけも苦労しないだろう、ちゃんと運動させればなんとかなるだろう、血統書付きで信頼のおけるブリーダで育っているから大丈夫だろう
「私は当初、賃貸で犬を飼うのは大丈夫なのか?(すでに飼っている)ハムスターにしておけばいいのでは?」と思っていました。
しかし、妻の「どうしても飼いたい」気持ちに押され、自分も徐々に、イタグレと一緒に歩いたり、一緒にランニングしたり、といった想像が膨らんでいきました。
自分もランニングや登山など、身体を動かすのが好きです。だから「イタグレと一緒なら、より楽しめるのではないか?」と考えるようにもなりました。
しかし、現実は違いました。
遊んでいるとき、特に興奮していると、なかなかケージに戻ってくれず、仕方ないので、強制的にケージに入ってもらうようにしています。妻が在宅ワーク中の昼間は、妻が仕事中であることを察して、ケージで静かにしていますが、しばらくすると、騒ぎ始めることもあります。
私が帰宅すると(もしくは、妻が外出から帰宅すると)、興奮がMaxになり、リビングを駆け回ります。布を引きちぎったり、リビングでおしっこをしてしまったり…(最近は頻度が減りましたが…)
あとは、ウンチの処理が遅れると、ウンチを食べたり、舐めたり…ウンチを踏みつけて、ケージ内を汚したりもします。
まだお迎えして1か月だし、イタグレも生後4か月。人間に例えるなら、小学生くらいです。(それでも、成犬と同じ体格になりました)
一応「お座り」「待て」はできるようになりました。しかし、「ハウス」(ケージに戻る)、「おいで」をなかなか覚えません。
このように、優美な見た目とは程遠い、ギャップを感じています。
ということで、イタグレ飼育の現実をちゃんと知っておきたい方は、以下の動画を参照されるのをオススメします。
本質を突いているし、良いイメージばかりの検索結果に流されないために、必要な知識です。
3.イタグレ飼育の前に知っておくべきこと
頭に入れておくべきことは、イタグレに「多くを求めない」「期待し過ぎない」です。
まずは、期待値を思い切り下げる方が良いです。どうしても、彼の優美な姿に魅了されがちですが、他の犬と比べて「非常に知能指数が低い」と心得てください。
そして「走るために生まれてきた犬」と認識してください。広場で、思い切り、のびのび、ただただ走りまわる。それが幸せ。そういう犬です。
①低い知能指数(コマンド(指示)の理解力が低い)
上記のYouTube動画の3:30あたりで紹介がありました。
イタグレの結果は、なんと、犬種130位中、107位…
これには正直、驚きました…
1位がボーダーコリー。2位がなんと、プードルでした。個人的に意外だと思いました。(恥ずかしながら、これも偏見ですね…)ちなみに、体格が似ているミニチュアピンシャーは、53位とのこと。
だから、多くを求めてはいけない、期待し過ぎてはいけない、ということです。
イタグレは、レーシングドッグ、つまり、「走るために生まれてきた犬」であり、彼がのびのびと、自然体で、思い切り走り回れる。そんな環境を提供できて、はじめて「しつけ」の段階とのこと。
これを知って思い出したのが、フクロウです。フクロウカフェとか、フクロウが丸太に棒立ちになっているのを見学できる場があります。
フクロウを知るための教育としては良いのかもしれませんが、フクロウにとっては、ストレスでしかありません。
本来は夜行性で、森の中を縦横無尽に飛び回っているはずです。これでは、どんどん筋力が落ちてしまうし、フクロウではなくなってしまいます。
イタグレも一緒だと思いました。人間の都合の良いように、人間の生活スタイルに合わせるよう強要し、人間を満足させる。愛玩動物とはそういうものかもしれませんが、動物愛護的観点からすると、人間の自己満足でしかないのではないか?そう感じました。
②反省は得意だが、叱られた理由が理解できない
例えば、ベッドの上で、イタグレがそそうをしてしまった。そのため、叱って、ケージに閉じ込めた。
イタグレは反省します。しかし、動画によると、これは反省しているフリであり「なぜ怒られたのか?」「なぜ閉じ込められなければいけないのか?」、おそらく、ほぼ理解していない、とのことです。これも知能指数の低さによるものです。
この気持ちはなんとなくわかります…私も、パワハラされた経験があります。当時の上司から「お前は反省は得意だが、全く改善しないな」「反省しているフリするくらいなら、態度で示せ」などと。
当時の正直な気持ちは、「いや…申し訳ないと思っているし、なんとかしたいんだけど、どうしたらいいかわからないのですが…」でした。ただただ委縮し、何もできませんでした。
これは、上司の指示が明確でない、部下を委縮させ、力を引き出せていない一方、私が自ら情報を取りにいかなかったり、細かなすり合わせや歩み寄りをしなかった、など双方に問題があります。
ですが、イタグレは「怒られたことを、申し訳ないとさえ思っていない」可能性があります。
このように、多くを求めてしまう飼い主との間で、コミュニケーションエラーが起き、飼い主もイタグレも、高ストレス下で生活することになってしまいます。
しかし、イタグレの特徴として、他の犬と比較して、飼い主に対する無償の信頼が高いとも言われています。見返りなしに信頼してくれている。愛情深い。しかし、生まれつきの性質上、複雑な事象を理解するのは難しい。
以上、イタグレの特徴をまとめると以下になるのでは、と思います。
走るために生まれてきた。走っているときが幸せ(三度の飯よりランニング?)
他の犬と比べて知能指数が低い
飼い主に対する圧倒的かつ無償の信頼
4.克服に向けて
以上を踏まえて、動画の内容を参考に、飼い主もイタグレもハッピーになれる取り組みを紹介します。
①単純なコマンドで反復トレーニング
例えば、「吠える→「ダメ!」の掛け声→(たまたま)吠えなくなった→おやつ」のプロセスがあります。この場合、おやつを都合よく解釈する可能性があります。
こういった、たった2~3個の時系列プロセスさえ理解できない可能性があります。
だから、その場、その場で、OK/NGの2パターンで、繰り返し学習させていきます。アナログではなく、デジタルな指示で、グレーゾーンを作らない。これがコツとのこと。
私のイタグレが「お座り」「待て」を覚えたのは、単純だからだと思います。
一方、「ハウス」が覚えられないのは、「お座り」「待て」よりも、おやつをもらえるまでのプロセスが複雑だからかもしれません。
それぞれのプロセスを分解すると、
①ケージから出るとき:「お座り」の掛け声→お座り→おやつ
②ケージに入ったとき:「ハウス」の掛け声→ケージの上からおやつを見せる→ケージに向かう(途中の誘惑にも耐えながら)→おやつ
です。人間から見たら大した違いはないですが、イタグレにとっては、②の方がプロセス多く、複雑に感じるのかもしれません。
また、「ハウス」を「お座り」と勘違いしてお座りしたり、「お座り」と「待て」の区別がつかずにお座りすることもあります。
これもコマンドの区別がついておらず、「とりあえず座っておけば、いいことがある、おやつがもらえる」程度の理解だと思います…
②むやみに叱らない、威圧しない
どうしても言うことを聞かないと、このような態度になってしまいがちです。
しかし、これは、対人間に対しても同じで、相手を自分の思い通りにしたい、コントロール下に置きたい、相手をコントロールできない状況に困ってしまってどうしたらいいかわからない。そんな気持ちが隠れているはずです。
言うことを聞かない相手がすべて悪いのではなく、自身のコミュニケーションの取り方にも問題がある。双方に問題が隠れており、どちらかが一方的に悪いわけではない、と考えるようにしています。
イタグレは、前述したように、飼い主に対して、圧倒的かつ無償の信頼を持っています。また、イタグレは非常に繊細です。
高圧的な態度、大声、ましてや叩くなどをすると、どんどん委縮して、悪循環に陥ってしまいます。
そうならないためにも、プロの力やコミュニティの力を借りるのはありだと思います。
③ドッグランやパピーパティーの活用
動画で紹介されていたイタグレの飼い主さんですが、ドッグランとパピーパーティーの活用で、コミュニケーション能力が高く、指示にも従う、「スーパーイタグレ」になれたとのこと。
週1回、午前中はドッグラン、午後はパピーパティーに通うのを1年継続したそうです。これらで、対犬、対人関係を学び、非常に柔軟な犬になったとのこと。
「パピーパーティー」と調べると、地域の開催案内が見つかります。
私のイタグレは現在生後4か月。狂犬病ワクチンはこれからですが、打ち次第、地域のパピーパーティーに参加する予定です。
また、ドッグランも、市民限定利用のものなどあり、こちらも活用していく予定です。
イタグレの様子も伺いながら、無理のない範囲で継続していこうと思います。
5.個人的な改善策の紹介
最後に、私と妻が行った改善策を紹介します。
①ウンチの処理とごはんの回数
合計90gを、1日2回、45gずつ与えていたときは、ウンチが緩くなり、それを踏み、ケージを汚してしまいました。
ですが、獣医さんのアドバイスで、1日3回、30gずつに変えた結果、ウンチが硬くなり、量も減りました。
健康な犬のウンチは、手でもったとき崩れない程度で、取ったあとも、トイレの床が汚れていないです。
このおかげで、ケージを汚す頻度が劇的に減り、ウンチの処理もかなり楽になりました。
②(人間には)音が聞こえないおもちゃ
キューキューなる、犬用おもちゃが良く売られています。
これを買って与えたのですが、キューキュー音がとてもうるさい…
在宅中の妻も迷惑がったので、2人で別のおもちゃを探しにいきました。
結果、人間には聞こえない波長の音が出るおもちゃを見つけ、与えました。
デメリットは、穴が空きやすいところです…穴が空くと、音が出なくなるのか?聞こえないのでわかりませんが、満足そうに使ってくれています。
5.まとめ
以上の要点をまとめます。
これからイタグレを飼おうとしている人、飼おうか迷っている人にご参考になれば幸いです。
①イタグレのギャップに悩む理由
見た目の優美さと低い知能指数とのギャップを心得ていないため
②イタグレの特徴
走るために生まれてきた。走っているときが幸せ(三度の飯よりランニング?)
他の犬と比べて知能指数が低い
飼い主に対する圧倒的かつ無償の信頼
③対策
単純なコマンドで反復トレーニング
叱らない、威圧しない
ドッグランやパピーパーティーを活用
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