腹横筋　知っておくべき３つの事

腹横筋は臨床において着目されることが多い筋肉です。

例えば
・体幹のコアスタビリティー
・バランスや姿勢保持
・体幹や体幹以外の運動への関与
など多くの役割があります。

今回の記事では、腹横筋の基本的な解剖から知っておくべき３つの内容まで記載していきたいと思います！

それでは、さっそくいってみましょう！

1.腹横筋の解剖学

起始：第７～第１２肋軟骨内側面、胸腰筋膜深葉、腸骨稜、上前腸骨棘内唇、腸腰筋膜
停止：剣状突起、白線、恥骨稜、
神経支配：肋間神経（Th7-12）、腸骨下腹神経、腸骨鼡経神経
作用：腹部緊張の維持、内臓の支持、強力な呼気、咳、排便の際の腹腔内圧の上昇

腹横筋は側腹部に存在し、外腹斜筋と内腹斜筋の深層に存在しています。

最も深層に存在しているというイメージが大切です！

腹横筋の前後の関係性は

腹横筋はベルトの様に腹部を包み込み、前方では白線、後方では胸腰筋膜に付着します。腹横筋が収縮することで、前方の筋膜と胸腰筋膜の緊張が増大し、腹部の剛性が向上すると報告されています。

Priscilla J Barker , Katharine T Guggenheimer, Ivica Grkovic et al: Effects of tensioning the lumbar fasciae on segmental stiffness during flexion and extension: Young Investigator Award winner. Spine (Phila Pa 1976)
. 2006 Feb 15;31(4):397-405.

エコーで腹横筋を撮影するとこのような画像を撮影でき、白線（腹直筋）と連続している様子がわかります。

また、腹横筋は仙腸関節の安定性も増大させると報告されています！

Carolyn A Richardson, Chris J Snijders, Julie A Hides et al: The relation between the transversus abdominis muscles, sacroiliac joint mechanics, and low back pain. Spine (Phila Pa 1976). 2002 Feb 15;27(4):399-405.

腹横筋の簡単な説明を記載しました。次の項から、私が考える知っておくと役に立つ腹横筋の３つの事を記載していきます！

2.腹横筋は年齢が増加すると萎縮するのか？

皆さんはどのように考えられますか？

加齢に伴う下肢および上肢の筋肉の萎縮については多く報告されており、下肢の筋肉の萎縮は上肢の筋肉萎縮よりも大きいことが知られています。

では、体幹筋はどうなの？

体幹筋でも、腹部深層筋である腹横筋は萎縮しにくいと考えられます！

こちらの表をご覧ください！

※この研究の注意点
・寝たきりの定義や歩行自立の定義（自助具使用）が曖昧なこと
・日本人での報告ですが、女性のみの研究であるため、男性に当てはめることは難しいです
・安静時の筋厚であるため、動作時の機能的な活動、作用は意味は不明であることです

Tome Ikezoe  Natsuko Mori  Masatoshi Nakamura Noriaki Ichihashi: Effects of age and inactivity due to prolonged bed rest on atrophy of trunk muscles. Eur J Appl Physiol (2012) 112:43–48

成人、歩行自立高齢者、寝たきり高齢者（座位保持も不可）の体幹筋群の筋厚をエコーで測定した研究になります。

この表を見ると、年齢を重ねるうちにアウターの筋肉が萎縮していると考えることができ、歩行が可能である場合、腹横筋は萎縮しにくい可能性があります。

つまり、腹横筋は年齢と共に萎縮はしない（成人と歩行自立高齢者に有意差なし）と考えることもできます！

なので、歩行自立、座位保持自立の場合、出来る限り重力位をとることで腹横筋の萎縮・機能低下を予防できる可能性があります。

では「なぜ？」体幹深層筋である、腹横筋は萎縮しにくいのかですが