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週刊!リハマガ! ~整形リハビリの考え方~

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記事一覧

上腕二頭筋長頭腱は「なぜ?」腫れる?

まずはこちらの画像をご覧ください。エコー画像を見慣れている方はすぐに「上腕二頭筋長頭腱(LHB腱)に異常が生じている」ということがわかるエコー画像になります。 この画像は肩関節周囲炎と診断された方のエコー画像なのですが、肩関節周囲炎で疼痛が強い場合(特に前方部痛)、必ずと言っていいほど上腕二頭筋が腫れている印象があります。では「なぜ?」LHB腱が腫れるのでしょうか? 1.LHB腱の問題を解剖から考えるLHB腱の正常な起始は関節上結節および上関節唇から始まり、近位腱は腱板疎

足部レントゲンの見るべきポイント ~骨と骨以外の見るべきポイントPART1~

CTやMRIといった画像機器が進化している中でも、レントゲンは整形外科領域の画像評価では、現在でもよく用いられています。その理由として、MRIやCTより安価であり、すぐに評価することができるためです。 レントゲンによる画像評価の主たる目的として、骨の状態を評価することあります。さらに、セラピストは骨の状態を見ることはもちろん、もう一歩踏み込んだ視点で考える必要があると思います。 では、何に着目してレントゲン画像を見るのかというと ・骨折はどのような外力が加わったものなのか

股関節の可動域 ~日常に必要な可動域と股OAを疑う所見~

股関節は球関節であり、屈曲-伸展、内転-外転、内旋-外旋など多くの運動方向と大きな可動域を持つ関節になります。日常生活動作は股関節に大きな可動域があることで、遂行できるわけなのですが… では、実際に日常生活動作を行う上で、股関節の可動域はどの程度必要なのでしょうか?日常生活動作の必要な可動域がわかれば、リハビリ評価や介入を行う上で、目標可動域をしっかりと定めることができます。 今回の記事では、代表的な日常生活動作9つにおいて、どの程度、股関節屈曲可動域が必要なのかを紹介さ

腹横筋 ~3つの作用と腰痛への関与~

突然ですが、皆さん腰痛の生涯発生率はどれくらいかご存じでしょうか?皆さんの中にも腰痛を一度は経験したことがある方も多いと思います。実際に、腰痛の生涯発生率は60~80%もあると報告されています。 厚生労働省の調査によると"男性で「腰痛」の症状を訴えている方の割合が最も高く、女性でも全体の第2位になります”。(2019年 国民生活基礎調査の概況 - 厚生労働省)。そのため、腰痛は国民病と言っても過言ではないと思います。 腰痛の発症には多くの要因がありますが、1つの重要な要因

肩・膝・足関節から考える関節原生筋抑制 ~筋力低下の原因は筋以外にもある~

今回の記事では、臨床でよく問題となる「関節原性筋抑制」について考えていきたいと思います。まず「関節原性筋抑制」という言葉を初めて聞いた方もいらっしゃると思いますので、簡単に言葉の意味について説明していきたいと思います。 関節原性筋抑制(Arthrogenic muscle inhibition:AMI)は筋肉自体は損傷していないが損傷した関節を囲む筋肉の反射的で継続的な神経抑制が生じることと記載されています。簡単に言うと「筋肉に問題はないが損傷した関節周囲の筋力低下が生じる

痛みがどれだけ変化すると介入は有効と判断する? ~NRS・VASのMCIDから考える~

例えば、痛みの評価と言っても、NRS・VAS・VRS・FPSなど多くの評価方法が存在しています。これらの評価ツールはすべて信頼性があり有効であることが報告されています。 では、これらの4つの評価方法で得られた結果はすべて同じ「痛み」として解釈してよいのかというと、そうではありません。また、使用方法の違いやメリット・デメリットがあり、解釈に注意が必要な点もあります。 そこで、今回の記事では、先ほど提示した、NRS・VAS・VRS・FPSの評価方法について解説して、特徴を紹介

凍結肩とCHLの関係性 ~CHLの障害は多方向のROM制限に関与~

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変形性股関節症の歩行への介入を考える!

変形性股関節症(以下:股OA)は中高年に多く発症する病態で、圧倒的に女性に多く発症します。その理由として、股OAの原因となる、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全が女性に多いためです。 股OAは慢性的進行疾患で「前股関節症」「初期股関節症」「進行期股関節症」「末期股関節症」の4つの段階に分けられます。前期はほとんど関節の変化は認められませんが、進行するごとに関節裂隙の狭小化、骨の変形が進行していきます。 股OAの進行に伴い痛みや歩行障害が伴うことが多いです。症状が酷くなると、疼

Osgood-Schlatter病に対する効果的な介入は存在するのか? ~最新の文献から考える介入方法の提示~

運動会で走り終わった後、サッカーで走り回った後、ジャンプを繰り返した後、「膝が痛い」という子供たちがいます。この症状は、少し休めばまた運動することが出来る、もしくは運動をしなければ痛みは減るのですが、また運動後に痛くなることが多いです。 子供たちの膝の痛みの原因として「オスグッド・シュラッター病(OSD)」があります。この疾患は、一般的に成長が終わることで膝の痛みも軽減または消失することが多いです。 しかし、慢性的に膝にストレスが加わり続けると骨の表面が不整になってしまう

後脛骨筋の役割 ~この記事で後脛骨筋をマスター運動・アーチ・歩行への関与~

後脛骨筋は足部の運動だけでなく、安定性に寄与しており重要な筋肉になります。後脛骨筋の機能低下が生じると、足部の運動障害だけでなく、足部の変形や歩行障害に関与します。 今回の記事では、後脛骨筋の解剖と機能を復習し、「後脛骨筋をどのように評価するのか?」「効果的なトレーニングの方法は何か?」について記載していきたいと思います! 1.後脛骨筋の解剖と機能後脛骨筋は下腿の深層コンパートメントの属しており、内側に長趾屈筋、外側に長母趾屈筋、上方にはヒラメ筋線、後方はヒラメ筋に囲まれ

足と膝 ~膝OAで膝だけ見ていませんか?~

高齢化と肥満の人口増加に伴い、変形性膝関節症(以下:膝OA)を経験する人がますます多くなり、全世界における65歳以上の40%が膝OAと考えられています。 膝OAでは膝関節の変形、疼痛、腫脹、機能不全など多くの症状を示し、その症状の出現に伴い、活動量の低下、歩行能力が低下し、人々の生活の質が大きく低下してしまいます。 深刻な問題を解決するために、膝OAのメカニズムの研究が継続的に行われており、多関節の影響を受ける疾患である膝OAは、隣接する関節の生体力学的変化と関連している

大殿筋の機能低下が生じると… ~段階的負荷、トレーニングの工夫と注意~

大殿筋は身体の中でも最も大きい筋断面積を持つ筋肉で、身体の中で一番強力な力を発揮するとも言われています。 大殿筋の強力な力は股関節の安定性に寄与するだけでなく、腸脛靭帯を介して膝関節の安定性や胸腰筋膜を介して腰部の安定性にも寄与しています。また、バイオメカニクスの観点から足関節の安定性にも寄与していると述べられています。 そのため、大殿筋の機能は体幹~下肢の安定性においてとても大切になります。逆に考えると、大殿筋の機能不全が生じると体幹~下肢の安定性が低下し、多岐の障害に

腱炎・腱症・腱障害とは? ~介入は異なるのか?~

それぞれの言葉の定義を理解しておくことで、ドクターや多職種との連携もスムーズにいきますし、言葉の定義を知れば評価や介入にも生かすことが出来ます。逆に考えると、言葉の定義を知らないと評価も正確にできず、介入することで状態を悪化させる可能性もあります。 そこで、まず始めに”腱炎・腱症・腱障害”のそれぞれの言葉の定義について解説していきます。 腱障害(Tendinopathy)は痛みや腫れを引き起こすあらゆる腱の状態を指す広義の用語です。つまり、腱の状態をすべて含めた言葉になる

扁平足は改善するのか? 運動でどこまで改善する?

人間の足部は複雑な構造をしており、さまざまな組織がそれぞれの機能を果たすことで、身体が支持されています。 そして、足部の骨・靱帯・筋が内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3つのアーチを形成します。これら、3つ個々のアーチの働きも大切ですが、協調的なアーチの関係性も大切になります。 足のアーチの構造と動きの変化は衝撃吸収、体重伝達、移動中の推進力の提供などの足部機能に不可欠です。また、足底腱膜などの軟部組織と合わせた弾性特性により、床反力を吸収し、分散させることができ、筋