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週刊!リハマガ! ~整形リハビリの考え方~

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記事一覧

母趾外転筋のトレーニング ~最新研究から考える効果的なトレーニング方法は?~

母趾外転筋は足底内在筋の中で、最も大きい筋断面積を持ち、内側縦アーチを支持する重要な筋肉になります。また、母趾外転筋は身体のバランス維持や足部第一列を安定化させ、歩行の蹴り出しにも関与します。 そのため、母趾外転筋の機能低下が生じると、内側縦アーチの破綻(扁平足・外反母趾)、バランス機能の低下、歩行の蹴り出しが不十分などの問題が生じることが考えられます。 代表的な母趾外転筋の機能低下の例として、内側縦アーチの低下が伴って生じる”扁平足”が挙げられます。扁平足では、母趾外転

後脛骨筋腱機能不全症 ~足部形態・歩行への影響は?~

1.後脛骨筋腱機能障害(PTTD)とは?PTTDの最も一般的原因は退行プロセスで、臨床症状が現れるかなり前から始まり、腱の腱鞘炎と伸張を引き起こします。適切な管理を受けないと、後脛骨筋腱の構造と機能に影響を与え、治癒しない亀裂や部分または完全断裂が生じることがあります。 PTTDの病因には4つ分類があります。 Type1:外傷に続発する障害 Type2:他の病理的糧による二次的な障害 Type3:医原性に伴う障害 Type4:機能的問題に続発する障害 なかでも、「機能的問題

肩関節後外側部痛 ~肩甲上神経を見逃すな!腋窩神経だけ考えていても症状が改善しない理由~

みなさんにも経験はありませんか? ・肩関節挙上最終可動域で後外側部に疼痛が出現する ・1st外旋の介入中に肩関節後面に痛みが出現する ・結帯動作、後方へのリーチ動作で肩関節後面に疼痛が出現する などの症状が出現した際、皆さんはどのように評価をして、介入を進めていきますか? 肩関節後外側部痛と言えば、「腋窩神経」の影響を考えることが多いと思います。腋窩神経はC5・6の神経根から分枝し、腋窩部を走行し、QLSへと向かいます。QLSで前枝・後枝に枝分かれし、三角筋や小円筋、肩関節

足関節後方部痛の考え方 ~FHLと三角骨に着目して~

足関節後方部痛は多くの原因が存在し、多くの組織が関与しています。例えば、よく歩いた後やランニング後に生じやすいアキレス腱障害やKager’s fat padの炎症、捻挫後に生じる腓腹神経障害などがあります。 私の中で足関節後方部痛と言えば、足関節後方インピンジメントは必ず頭の中に浮かぶ病態の1つになります。PAISとも略され、底屈時に足関節後方部に疼痛を特徴とする病態になります。 PAISの原因は軟部組織由来の要因と骨由来の要因があると考えられます。軟部組織の要因には長母

上腕二頭筋長頭腱は「なぜ?」腫れる?

まずはこちらの画像をご覧ください。エコー画像を見慣れている方はすぐに「上腕二頭筋長頭腱(LHB腱)に異常が生じている」ということがわかるエコー画像になります。 この画像は肩関節周囲炎と診断された方のエコー画像なのですが、肩関節周囲炎で疼痛が強い場合(特に前方部痛)、必ずと言っていいほど上腕二頭筋が腫れている印象があります。では「なぜ?」LHB腱が腫れるのでしょうか? 1.LHB腱の問題を解剖から考えるLHB腱の正常な起始は関節上結節および上関節唇から始まり、近位腱は腱板疎

足部レントゲンの見るべきポイント ~骨と骨以外の見るべきポイントPART1~

CTやMRIといった画像機器が進化している中でも、レントゲンは整形外科領域の画像評価では、現在でもよく用いられています。その理由として、MRIやCTより安価であり、すぐに評価することができるためです。 レントゲンによる画像評価の主たる目的として、骨の状態を評価することあります。さらに、セラピストは骨の状態を見ることはもちろん、もう一歩踏み込んだ視点で考える必要があると思います。 では、何に着目してレントゲン画像を見るのかというと ・骨折はどのような外力が加わったものなのか

股関節の可動域 ~日常に必要な可動域と股OAを疑う所見~

股関節は球関節であり、屈曲-伸展、内転-外転、内旋-外旋など多くの運動方向と大きな可動域を持つ関節になります。日常生活動作は股関節に大きな可動域があることで、遂行できるわけなのですが… では、実際に日常生活動作を行う上で、股関節の可動域はどの程度必要なのでしょうか?日常生活動作の必要な可動域がわかれば、リハビリ評価や介入を行う上で、目標可動域をしっかりと定めることができます。 今回の記事では、代表的な日常生活動作9つにおいて、どの程度、股関節屈曲可動域が必要なのかを紹介さ

腹横筋 ~3つの作用と腰痛への関与~

突然ですが、皆さん腰痛の生涯発生率はどれくらいかご存じでしょうか?皆さんの中にも腰痛を一度は経験したことがある方も多いと思います。実際に、腰痛の生涯発生率は60~80%もあると報告されています。 厚生労働省の調査によると"男性で「腰痛」の症状を訴えている方の割合が最も高く、女性でも全体の第2位になります”。(2019年 国民生活基礎調査の概況 - 厚生労働省)。そのため、腰痛は国民病と言っても過言ではないと思います。 腰痛の発症には多くの要因がありますが、1つの重要な要因

肩・膝・足関節から考える関節原生筋抑制 ~筋力低下の原因は筋以外にもある~

今回の記事では、臨床でよく問題となる「関節原性筋抑制」について考えていきたいと思います。まず「関節原性筋抑制」という言葉を初めて聞いた方もいらっしゃると思いますので、簡単に言葉の意味について説明していきたいと思います。 関節原性筋抑制(Arthrogenic muscle inhibition:AMI)は筋肉自体は損傷していないが損傷した関節を囲む筋肉の反射的で継続的な神経抑制が生じることと記載されています。簡単に言うと「筋肉に問題はないが損傷した関節周囲の筋力低下が生じる

痛みがどれだけ変化すると介入は有効と判断する? ~NRS・VASのMCIDから考える~

例えば、痛みの評価と言っても、NRS・VAS・VRS・FPSなど多くの評価方法が存在しています。これらの評価ツールはすべて信頼性があり有効であることが報告されています。 では、これらの4つの評価方法で得られた結果はすべて同じ「痛み」として解釈してよいのかというと、そうではありません。また、使用方法の違いやメリット・デメリットがあり、解釈に注意が必要な点もあります。 そこで、今回の記事では、先ほど提示した、NRS・VAS・VRS・FPSの評価方法について解説して、特徴を紹介

凍結肩とCHLの関係性 ~CHLの障害は多方向のROM制限に関与~

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変形性股関節症の歩行への介入を考える!

変形性股関節症(以下:股OA)は中高年に多く発症する病態で、圧倒的に女性に多く発症します。その理由として、股OAの原因となる、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全が女性に多いためです。 股OAは慢性的進行疾患で「前股関節症」「初期股関節症」「進行期股関節症」「末期股関節症」の4つの段階に分けられます。前期はほとんど関節の変化は認められませんが、進行するごとに関節裂隙の狭小化、骨の変形が進行していきます。 股OAの進行に伴い痛みや歩行障害が伴うことが多いです。症状が酷くなると、疼

Osgood-Schlatter病に対する効果的な介入は存在するのか? ~最新の文献から考える介入方法の提示~

運動会で走り終わった後、サッカーで走り回った後、ジャンプを繰り返した後、「膝が痛い」という子供たちがいます。この症状は、少し休めばまた運動することが出来る、もしくは運動をしなければ痛みは減るのですが、また運動後に痛くなることが多いです。 子供たちの膝の痛みの原因として「オスグッド・シュラッター病(OSD)」があります。この疾患は、一般的に成長が終わることで膝の痛みも軽減または消失することが多いです。 しかし、慢性的に膝にストレスが加わり続けると骨の表面が不整になってしまう

後脛骨筋の役割 ~この記事で後脛骨筋をマスター運動・アーチ・歩行への関与~

後脛骨筋は足部の運動だけでなく、安定性に寄与しており重要な筋肉になります。後脛骨筋の機能低下が生じると、足部の運動障害だけでなく、足部の変形や歩行障害に関与します。 今回の記事では、後脛骨筋の解剖と機能を復習し、「後脛骨筋をどのように評価するのか?」「効果的なトレーニングの方法は何か?」について記載していきたいと思います! 1.後脛骨筋の解剖と機能後脛骨筋は下腿の深層コンパートメントの属しており、内側に長趾屈筋、外側に長母趾屈筋、上方にはヒラメ筋線、後方はヒラメ筋に囲まれ