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変形性股関節症の歩行への介入を考える!

変形性股関節症(以下:股OA)は中高年に多く発症する病態で、圧倒的に女性に多く発症します。その理由として、股OAの原因となる、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全が女性に多いためです。


股OAは慢性的進行疾患で「前股関節症」「初期股関節症」「進行期股関節症」「末期股関節症」の4つの段階に分けられます。前期はほとんど関節の変化は認められませんが、進行するごとに関節裂隙の狭小化、骨の変形が進行していきます。


股OAの進行に伴い痛みや歩行障害が伴うことが多いです。症状が酷くなると、疼痛だけでなく、著明に股関節可動域が制限され、立ち上がりや階段昇降時に痛みが出現するなど日常生活動作にも影響を与えます。


また、股OAの代表的な病態として、股関節周囲筋の萎縮が伴うことが多いです。萎縮の程度や段階は病期によって異なりますが、早期から殿筋群の萎縮が生じます。


殿筋群の萎縮は股OAの重症度と関連していると述べられています。例えば、股OAでは大殿筋の筋力低下と筋萎縮が生じることが確認されており、股OAのレントゲン所見と臨床的重症度と相関していると述べられています。


以上のように股OAでは、疾患の進行状況により、さまざまな症状が出現します。現在、人工股関節全置換術の成績はかなり良いと報告されています。そのため、手術をすることで、リハビリをしなくても股OAの症状は改善されると考えられていることも多いです。


しかし、実際は「股OA術後でも歩行障害と筋萎縮は残存することが多い」とも報告されています。セラピストは股OAによる二次的な問題が出現しないように、歩行障害と筋萎縮に対して、術後から介入するのではなく、早期に積極的な介入が必要になるかもしれません。


そこで、今回の記事では、股OAの筋萎縮と歩行障害について考え、私が臨床で実施している、筋力トレーニングと歩行を意識した殿筋への介入について記載したいと思います!


1.小殿筋と股OAの歩行

股OAのGread2.3を対象とした報告では、大殿筋と小殿筋が初期に萎縮し、その後、中殿筋が萎縮するという明確な萎縮の段階が報告されています 。小殿筋は歩行の立脚期において重要な役割があります。

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