腹横筋 ~3つの作用と腰痛への関与~
突然ですが、皆さん腰痛の生涯発生率はどれくらいかご存じでしょうか?皆さんの中にも腰痛を一度は経験したことがある方も多いと思います。実際に、腰痛の生涯発生率は60~80%もあると報告されています。
厚生労働省の調査によると"男性で「腰痛」の症状を訴えている方の割合が最も高く、女性でも全体の第2位になります”。(2019年 国民生活基礎調査の概況 - 厚生労働省)。そのため、腰痛は国民病と言っても過言ではないと思います。
腰痛の発症には多くの要因がありますが、1つの重要な要因として考えられているものが「腰椎に加わる累積的な負荷」になります。累積的な腰椎への負荷と腰痛の間には正の用量関係があると報告されています。
つまり、腰痛への負担が増えれば増えるほど腰痛を発症するリスクが高まり、逆に、腰椎への累積的な負荷を減らすことは腰痛を軽減、または予防できる可能性があります。
そこで、着目されているのが「腹横筋」になります。今回の記事では、腹横筋の3つの作用と腰痛の関係性を考えていきたいと思います。
1.腹横筋の機能
腹横筋は側腹部に存在し、外腹斜筋と内腹斜筋の深層に存在しています。いわゆるインナーマッスルと言われる筋肉になります。
インナーマッスルというと、関節を安定化させる機能を思い浮かべますが、腹横筋の代表的な機能として、
・仙腸関節の緩みを軽減する
・腹腔内圧 (IAP) を高める
・胸腰筋膜の緊張に影響を与える
などの機能があり、これらのメカニズムにより、腰椎周囲に生じる負荷を軽減できると考えられています。
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