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#コラム
月に聴かせるように。
この世界の生活は
月にとっては一つのおとぎばなしなのです。
昼下がり。
ぱらぱらと頁を捲りながら読んだ本の一節に、はっとする。
その本は、月から見たそれぞれの日常や人生の節々が小さな物語として淡々と語られていた。
そうなんだよなぁ。
月から見たらおとぎばなしにすぎない生活なんだよなぁと、遥かな気持ちになりながら。
だけど
だからこそ
それぞれの物語の中に居るんだよなぁと。
喜劇も悲劇も
想い合うってきっと。
「好き」って、気持ちって。
届くとか届かないとかじゃないんだよなぁって思う。
いつだって一方的で、それを許されているかどうかでしかないんだよなぁと。
お互いに許され合っている事を関係の名前で呼ぶんだよなぁって思う。
だから届いたとか伝わったって思う事が傲慢なのだと思う。
許され合っている。お互いに一方的に。
だからこそ
“想い合う”って、成り立つのかもしれない。
好きじゃない人に好意
寂しさにある豊かさってきっと。
「季節外れの雪が降ってる。」
ファストファッションブランドのお洋服屋さんから、不意になごり雪のカバーが聞こえてきて、涙腺が緩んだ。
仲良くしていた大学生の子が卒業するのでギフトを探して、ショッピングセンターをウロウロと。
春になっていく季節をとどめるように雪が降る。その情景に、感情移入をしてしまう。
人と人との関係にも終わりってあるんだよなぁ。
距離や時間って思っているよりも正直だ。
その
きっとあなたの言葉が鍵になる人が居る
「本が鍵だとするなら
その鍵でひらくドアが自分の中にあったという事。」
銀色夏生さんの本を読んでいて
目から鱗が落ちる瞬間と出逢う。
好きな本って自分の心の辞書をひくようなものだよなぁと思う。
今何を感じているのか。
そこに綴られた言葉が教えてくれる。
同じ本を読んでいても
違う一節に心を惹かれる。
「本が鍵だとするなら
その鍵でひらくドアが自分の中にあったという事。」
きっといつの間に