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天使は、そんなところにいるのかもしれない

あと2ヶ月後には、クリスマスをやってるらしい。
信じられない。と、思いながら
スーパーまでの道を歩く。
人の対応力について思い馳せたりなんかしながら。

気付いたら空に入道雲は、なく
天使の羽のような雲が広がっている。
天使を、最初に見た人が居たから
天使は、生まれたんだろうか。
なんて
思考は、あれよ、あれよと、回り道をする。
考えるべき事を考えるよりそんな時間が人を造っていくような気もする。


クリスマス。が近付いて来るせいか
秋の気候のせいだろうか。
理由は、さだかではないけれど
夜の街には、恋人未満のふたりが
なんだかぎこちなくピュアな感じで
カウンターに並ぶ。
バーカウンターに立つ私は
いつもより
丁寧に接客をしてカクテルなんかを作ったりする。

けれど
そういう時、正しい事ばかりを言うより
ちょっとした失敗なんかが場を和ませたりもする。

いつか
ドリンクを出し間違えて
緊張していたふたりが笑って
場が和み、そのふたりが付き合って結婚して何故か私まで結婚式に呼ばれて歌を歌ったりなんかした。
人生とは、常にひょんな事である。
天使は、そんなところにいるのかもしれない。

なんて
ひとつのストーリーをとってみて決めつけてみたりする。
でもそう言うことが事実だったりもする日常。

そんな事が積み重なって今の命があるのか。
なんてそんな
はるかな事を思いながらスーパーで鶏肉を眺める。

歳をとって代謝が悪くなったせいか
太りやすい。
ちょっとした距離を歩いたり食べ物に気を遣ってみたりする。
けれど
今日は、まぁいいか。と、チキン南蛮弁当を手に取る。
そう言えば昨日も今日は、まぁいいか。と、言っていた。そう言えばおとといも...。
なんて事を、思い出し。
明日からでいいか。と、昨日も思ったような事を思いながら、会計を済ます。

そんな毎日にもいつか終わりが来るのだろうか。
ふとした瞬間に線路が変わってしまう日常。

“だけど何をしたら深く刻める”

頭の中に
永井真理子の歌が聴こえてくる。

手に取るというくらいに
今手に取れる事はきっと小さいものだ。
そんな事を思いながら手のひらを空に透かしてみると、少し冷たい風が吹いて、半袖でいる事に違和感を覚える。

あと2ヶ月後には、クリスマスをやってるのか。なんて事をまた思いながら。
玄関のドアをカラカラと開けた。




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