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町内会ってなんなのさ?~歴史的推移から今後の可能性まで~

割引あり

「地域のコミュニティ」という単語を聞いた時
真っ先に連想するのは、
「めんどくさそう」という言葉。

PTA、子ども会、町内会、自治会、部活動の補助
敬老会、婦人部、旗振り当番、etc…

昔からあるもの、親がやってたかも?な存在

それぞれの地域に
代々受け継がれてきた文化や風習があるっぽい、だとか

災害などの際に「地域の絆」とか言われるとそうだよな、思うけど…

というイメージを抱くのが、一般的な反応かなと思います。


テレビや新聞、noteやXなどで見聞きする話題では
「もはや時代に合っていない組織」
「強制されるべきではない任意の団体/活動」
というところが概ね時代の認識かなと思います。


僕自身も、この note や X で情報収集している中で
いや流石にそれは組織の在り方として問題があるだろって話をよく見かけます。

で、ずっと考えてきたことがこれ🔽

なんでこんな組織や風習が、そもそも成り立ってきたんだろう?


村八分的な空気感や、参加しない人は非国民扱いな極端で陰湿な雰囲気はなんなのか?

戦時中とかに培われたレガシー的なシステムなのか?

そして、なぜいまだに時代に合わせ組織自体を変化していくことが困難なのか?


そんなことを日々悶々と考えていたところ

先日、木下斉さんがご紹介していた書籍「町内会」にて
かなりわかりやすく時代背景と推移に言及されてあり
「なるほど!」と非常に納得が行った点が多々ありました。


今日は、この「町内会」という書籍の内容をもとに

「どのようにして、町内会という謎の強力な組織が日本社会の中にシステムに分かち難くまで強固に組み込まれたのか?」
「そして、ここから先、無くしていったほうがいいのか?あるいは違う可能性があるのか?」

という2点について考えてみたいと思います。



ちょっと小難しい単語が続くかも知れませんが、なるべく要点だけ掻い摘んで進めますので、ぜひ最後まで(3000文字程度💦) お付き合いいただけますと嬉しいです😅


▶︎概要 『町内会 ーコミュニティからみる日本近代』



■統治性と階級性について

「日本のコミュニティにおける自治や統治の変遷」は
国家の側での統治性のあり方と、住民の側での階級性にもとづく自治への希求のせめぎ合いであった。」と著者は言います。

そしてその結果生まれたのが、
戦後高度経済成長期あたりまでにさまざまな紆余曲折を経て成り立ちつつあった「町内会組織」という自治の形だったと説明します。


「町内会組織」に至るまでの統治と自治の形の大きな変遷としてざっくりいうと下記のとおり。

幕藩体制 → 明治地方自治 → 都市形成後の労働者階級統治
→ 都市自営業者層による町内会組織

国家の側での統治性のあり方と、住民の側での階級制にもとづく自治への希求の推移


なお、ここで一つご留意いただきたい点として、筆者曰く

「町内会の歴史的な起源や成立事情については、これまでさまざまな議論が行われてきた。歴史的な事実を探究する限り、それは地域によってさまざまである」

実態起源ではなく本質起源を見極める必要がある。

「私はそのような町内会成立の典型事例として、大正から昭和にかけての戦前の都市化過程において、人口が急増した比較的郊外の地域における町内会の成立過程に注目したい。」

「町内会」より(すみません、引用したら難しい言葉ばかりになっちゃった💦

と前置きしている通り、
日本全国全ての地域に当てはまるわけではない旨ご理解ください。

あくまで
「町内会が現在に至るまで、誰に頼まれたわけでもなく、何の権限も権力もないのに、町の共同防衛に尽力してきた事情を説明できる、典型的な歴史的事情」
に焦点を絞った論旨となります。



■幕藩体制、身分制支配からの脱却


① 明治地方自治制
においては

・幕藩体制下の身分的な支配からの解放要求
・実質的な社会的指導層であった地方豪農層による「国会開設と政治参加の要求」

という現象が発生し、その結果下記の社会的な動きが生まれます。

▶︎ 行政村を設定し、地方豪農を区長や区長代理を定め行政の執行過程に組み込むという統治形態


② 各地域における都市形成後の労働者階級確立後は

・都市部における民衆騒擾
労働争議、小作争議

という現象が発生し、その結果下記2点の社会的な動きが生まれます。

▶︎ 男子普通選挙制の導入ののち、町内会という新しい住民組織を介した統治形態
▶︎ 地方選挙などへの介入による、政治的意思決定へのルートも確保する流れ



■ 労働者階級の推移にみる「町内会」の独自性

この「国家側での統治性と、住民側での階級制にもとづく自治」の推移の中で非常に興味深いのが、日本における労働者階級の独自推移

ヨーロッパやアメリカでは、
労働者階級がマジョリティとなる中で
労働組合的な組織が、資本家階級と並んで
非常に強い存在感を示すようになっていったのに対し、

日本では、
労働組合的な組織が政府によって徹底的に弾圧される中
労働者を囲う環境は2つに2分されていきます。


一つは、
企業の経営者側からの「経営家族主義」
経営者と労働者を家における親と子という擬似的な関係へ掬い上げる形態。
日本には古くから本家分家関係や親分子分、小作人といった文化があったため非常親和性が高かった。


もう一つは、
都市自営業者からの「町内会組織」
それまでの町内会は豪農などの土地所有者などのみが入れる側面が強かったが、都市型の全戸加入という性質を持った町内会は、誰でも入れるという意味において解放的な存在であった。

さらに町内会組織は、戦時下に移りゆく日本の国家体制において、政府の統治機構としてのポジションを得て、急速に存在感を増してゆく。結果、行政により奨励され整備されていく。

GHQ下で一度瓦解されるが、
その後の戦後復興における都市自営業者の趨勢に合わせ、総選挙へも関与していく形で隆起してゆく。


この「町内会組織」が
過去の身分制に縛られない
都市的で解放的な存在でありつつ、
行政(お上)によって奨励整備されていく

この推移にこそ、
現代までも連綿と続く日本社会の独自性を感じます。



■ グローバル経済化による自営業者層の衰退

ここからは、誰もが知っているお話

地域の商店街消滅や
1億総サラリーマン化社会の到来により
町内会を支える自営業者層の消滅とともに

町内会組織の運営が破綻していっているのが現在地


そんな現状に対し、
筆者は次のように論を進めます。

都市自営業者が残した町内会・自治会の成果と課題は、(中略)何を捨て、何を継承すべきなのか。他方、それを通して行政の統治性には、どのような変化がありうるのか。」

「町内会の本質は全戸加入」

「町内会は地域住民を代表して行政と折衝できる特権的な地位を確保できた。」

「実際に町内会を支えていたごく少数の人々が、行政の下請仕事を積極的に引き受けることによってその特権的な地位を維持してきた。」

「さらには、議員を介して政治的な意思決定にもある程度の影響力を行使するまでになった。」

全戸加入原則によって地域住民を代表しているという建前がありつつも、
実際には少数の人々の特権として機能する、極めて不透明なものになっていると筆者は指摘する。

いわゆる地域に蔓延る「クソジジイ」と称される人々の姿がこの辺りに垣間見ます。



■ 残すべき財産と想定される組織の在り方

この特権的な立場は、住民自治にとってはかけがえのない財産であり、継承するに値する、捨ててしまうには惜しい成果であり

問題は、
この特権的な場をどのように開放しつつ、いかにして文字通りの全戸加入原則を実現するか?ということだと続ける。


筆者の主張としては、

身近な地域の案件を「協議・決定・要求」する場としての町内会を形式化し

❷具体的な活動は市民活動団体との協業やあるいは業者への委託や専門スタッフの雇用によって成り立たせていく

のがいいのではないかと提案されます。



▶︎やす@衰退国の地方サバイバー魂 が感じる可能性



さて、書籍「町内会」のざっくり概要はここまでとして
著者である玉野氏の主張する町内会の在り方に関し
僕なりに感じていることを最後にまとめてみたいと思います。


■市民活動団体との協業や業者への委託

最初にイメージしやすい❷の点について
「具体的な活動は市民活動団体との協業やあるいは業者への委託や専門スタッフの雇用」

こちらについては、
これまで僕が note や X でみてきたさまざまな地域の当事者の発信の中からでも、すでに具体的な形になってきている様子を感じます。

このほかにも、#地域のバトン というハッシュタグをつけてXで呟いている note記事の大半は、この流れに乗っていっているのではないかと思います。


やりたいことをやる。任意団体でそれが必要だと感じたメンバーと協力して、強制加入という形ではない組織でやっていくのがいいのではないか?こういった声は地域の当事者から共通して聞こえてくる声だと思ってます。




■「協議・決定・要求」する場としての町内会

他方、身近な地域の案件を「協議・決定・要求」する場としての町内会に関しては、全戸加入という建前を維持する方向へ、地域の当事者の意識はなかなかに向いていないのが実情なので、正直ハードルはかなり高いと思ってます。

しかし、ここにおいても
わずかばかりではあるが、可能性はあるとも感じる。


過去に僕の note でもご紹介した
「稼ぎと務め」「社会的共通資本」という概念の延長線上に
地域の案件を「協議・決定・要求」する場としての町内会の可能性を感じる。

地域や地方において、

その地域の自然環境や、歴史的文脈、コミュニティの特質などを活かして商業的社会的に成功している事業者や生活者が、その状況を継続させるべく自身の「稼ぎ」を用いて地域の「社会的共通資本」の持続へ貢献するべく「務め」をはたす。

その結果、地域も継続性を持ち事業者や生活者と共にwinwinの関係性を続けていく。


この「稼ぎと務め」そして「社会的共通資本」を持続させるために現れてくるコミュニティのあり方の一つとして

地域の案件を「協議・決定・要求」する場としての町内会

は可能性を持っているのではないかと感じてます。


しかし、可能性は感じつつも
どこまでいってもフリーライダー問題はすぐ隣に存在し続けるでしょうし

その「稼ぎと務め」という昔の旦那衆の文化を、今の地域の生活者全体の共通の価値観にまで持っていくのは、相当な苦労があるだろうなぁと感じます。

正直な話、近い未来にそんな日本社会になっていることをイメージするのは現状かなり厳しい。。。


なので、❶に関しては、
かなり遠く夢のはての世界に感じてしまっているというのが実感です。

❷は見えているが、❶もできれば拾って行きたいなぁ漠然と考えているのが

【やす@衰退国の地方サバイバー魂】の現在地です。



ということで、少し長くなりましたが

玉野和志氏による「町内会」をご紹介しつつ
僕が感じている
日本における「地域コミュニティ」の可能性を
投稿にまとめてみました。

最後までお付き合いいただきありがとうございます🙇


ここからは、僕の note のご案内です😅


この長い文章を最後まで読んでいただけたような
日本各地の地域の皆様と
これからの地域の可能性を共に考えていきたい

そう思い
「地方サバイバー魂」というメンバーシップコミュニティを立ち上げました。


コミュニティの本体は
¥130-交流プランにおける「メンバー同士のやりとり」それ自体。

浅慮だったり安易な冷やかしコメントから距離を置いた
半クローズドな空間にて
そこで生まれるやりとり自体を
メンバーシップの「コミュニティ」と設定してます。


さらに一歩踏み込んでお力をお貸しいただける方へは

地域で本当に困っている人を
サポートしてくださるような方々の集まりとして
¥480-サポータープランというよりクローズドなコミュニティも設定させていただいています。

サポータープランでは
コミュニティ内の本当に困っている方々を
より限定的でクローズドな空間でサポートするべく
オンラインMTGなんかを実施していきます。


「ちょっと先の未来、地域でのあれこれが楽しみになる」

【地方サバイバー魂】メンバーシップ
ぜひぜひ、あなたの力もお貸しください。


今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました🌱


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