いま、ブロッコリーが高い理由【八百屋から見た“食”no.49】
現代の家庭で最も食べられている(当社比)であろう野菜、ブロッコリー。
栄養価高く&量も食べれて彩りもよい。指定産地野菜の仲間入り(2026年度)でさらなる安定供給が望まれています。
ところが、今年4月~5月初めにかけての店頭価格はちっちゃーい1個298円~標準1個400円前後。つぼみもフカフカで今にも花開きそう。出荷農協も売場もベストを尽くしていますが、高いし小さいし美味しくなさそうです。なぜでしょうか。
ブロッコリーetc.の露地野菜が、年間通して同じ産地で育つことはまずありません。野菜ごとに生育適温があり、全国各地で品目/品種/育て方に合った時期に作ります。1年中売場に並ぶ野菜は各産地&時期を組み合わせた“産地リレー”によるもの。ブロッコリーの出荷時期/産地リレーを以下に示します。
ブロッコリーの生育適温は10-25℃。凍結するような冷え込みだと生育が止まります。春の暖かさを迎えると育ちが良くなる一方、一気にフカフカになり虫食いだらけに。30℃以上の地域や季節では育ちません。
ブロッコリーは毎年3・4月と9・10月に“はざかい期”があります。天候上、国内の収穫が少ない期間にあたり端的にいえば時期外れに相当します。
今年は1月2月の気温が高く温暖地モノの収穫/出荷ピークが早まりました。その後3月4月の気温が低く推移したため、出来上がる5月になっても生育/収穫が上向かない状況が重なりました。温暖地の3月4月+関東(平地)の5月上旬中旬の収穫/出荷がごっそり消えた状況です。今年の概念図を以下に示します。上下比較してご覧ください。
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気温の急上昇も急降下も“記録的”という表現が多い2024年。言い換えると『極端な気候』が増えています。極端な気候が多いために、“春”と“秋”がとても短い(ほとんどない)と感じる方も多いのではないでしょうか。
この『極端な気候』が毎年どの季節でも繰り返されることで、野菜や果樹の生育が早まる/遅くなる/ダメになるリスクが高まっています。暖かい日寒い日の差があまりにも大きく、先に示した3・4月以外にも、予定通りに収穫できず出荷量が大きく落ち込む(価格が高騰する)状況が増えています。
買い物対策としては簡単。「ない・高い」を無理して買わないことです。
最近のニュースは残念ながら「ない・高い」ネガティブな局面しか取り上げません。“モノがないと困る・安くないと困る”と一本調子な報道に引っ張られることなく、その時々のオススメを買いましょう。高い/状態悪い/選びようが無い時にわざわざ買う必要はありません。使い切る量を買うor無理せず替わりのモノを買うことで残念な思いを回避できます。見た目に美味しそうなモノを買うのも一手。
生鮮野菜・魚などの“ナマモノ”については
「毎日同じ〇〇が買える」ではなく
「毎日同じ〇〇が買えるわけない」のマインドで。
ようやく気候も安定。GW明けからようやく「初夏モノ」が始まります。高値のブロッコリー、1カ月もしないうちに高原野菜(寒冷地出荷)が始まります。5月前半はアスパラガスやスナップえんどうを楽しみつつ、ブロッコリーの回復を待ちましょう!
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≪追記≫キャベツが品薄という報道もブロッコリーと同じ“構造”。
【2月の収穫前倒しと・3月冷え込み・4月の荒れた天候】によるものです。
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