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【せっかく潰したのに、余計なことしやがって!】
先代の赤字1.5億円を39歳の若さで引き継ぎ、銀行から融資のハシゴを外されたことをきっかけに様々な改革(もどき)にまい進!
・メインの取引先(仲人)を替えて原価を下げ
・原価割れの特売を止めて売上高より利益率を上げ
・改革に後ろ向きな、先代絡みの親族をすべて解雇して労働環境を改善し
・赤字の店(発祥の本店含む)を閉鎖し
・電気代やチラシの折り込み料、家賃や顧問料も下げ
この結果、沈没寸前だった家業の「スーパーやまと」は、社長交代2年目の期末に、わずかながら「黒字経常」するまでに業績が回復した。
大量の血を流し、まだ傷口も治らない状況だったが、ひとまず倒産の危機を脱することができて、私以下、従業員全員が胸をなでおろしていた。
大手の出店攻勢をきっかけに、崖っぷちに追い込まれた弊社。
同じことをして、自分より弱い同業者を潰しにかかることは絶対にしたくない。やまとは地域のお客さんが生き残らせてくれた会社である。
その恩義に報いるためにも、犠牲者を出してまで新店舗を出したり、商店街に影響を与えることはしない!と心に誓った。
さて、これからスーパーやまとはどんな道を歩んでいけばいいのだろう…。
潰れたスーパーへの出店話
地方紙の片隅に、大手の出店の影響で倒産した老舗スーパーの記事を見つけた。お客さんからも「思い出の多い店」「隣町のショッピングモールに行けない」と、高齢者を中心に閉店に対する「叫び」が記されていた。
長年、地域唯一の冷蔵庫を担ってきた店のそばに、大きな店舗を建設し「地域密着」を掲げれば、お客さんだって当然新しい店に行く。大手は体力の無い個人店が潰れるまで徹底的に安値販売を続け、潰れたあかつきには値段を上げて利益を確保する。見上げたもんだ。
「きっとこの社長も辛かったんだろうな…💧」と思いを巡らせる。
私の商人の心に火がついた・・・。
「俺がこの店を引き継ごう。この店はスーパーやまとの代わりに潰されたんだ。一緒に仇を取りたい!」(この判断は経営者としては失格であるが)
スーパーやまと最盛期16店舗あったが、その内12店舗が大手との戦いに敗れて潰れてしまった個人商店の居抜き店舗だった
大手は売上げの拡大を狙って田舎にも出店してくる。それは違法ではないし競争社会なら仕方あるまい。でもやり方ってもんがある。
個人商店に生まれた私はそんなやり方が許せなかった。新聞で個人商店の破綻が報道されるたびに血が騒いだ。私は記事を見てすぐその店に飛び込み、親世代の社長と話をする。
私 「せっかく長年頑張ってきたのに、目の前に大型店を作られたら打つ手もありませんよね💦」
社長 「本当だよ!あんな値段で売られたらひとたまりもない。今はもう高く売ってるんだから!おかげで夫婦で自己破産だよ💧」
私 「社長、悔しくないですか?俺と一緒に仇を討ちませんか?」
社長夫婦と跡取り息子 「えっ…?」
私 「この店、俺が買います!裁判所で任意売却してもらいます(こんなポンコツ誰も買いません)。冷蔵ケースやレジは現金で買うから生活費の足しにしてください(違法)、従業員も全員継続雇用します!」
社長夫婦「やってくれ、小林さん!俺たちの仇を取ってくれ🙏🏻」
親世代の2人が目に涙を溜めて私の手を握り締める。息子は次の店長だ。
家族は店裏の質素な家に住んでいた。
こうして馴染みのスーパーが名前だけを替えて再生し、地域の高齢者が列を成した。
「久しぶりじゃん、元気だったけ?(甲州弁)」
「やっぱり買い慣れた所が落ち着くわ〜」
新聞にも「馴染みの店復活!」のタイトルで高齢者の笑顔が報じられた。店もお客も天国は近い (笑)利益は少なかったがやり甲斐を感じて嬉しかった。
そこに当てが外れた競合店の店長がウチの店にやって来た。賑わう店内に私を見つける。きっと予定の売上げがいかず、本部からお叱りを受けたのだろう。私を睨んでいた。
「あんた社長だろ?せっかくウチが潰したのに余計なことしやがって💢また潰してやるから覚悟しておけよ!」
あらあら、久しぶりに低レベルの会話(笑)
ケンカを売られて黙ってるほどの人格者ではない。
私「大企業なら姑息な手を使わないで横綱相撲を取れよ!アンタがこの店の息の根を止めたから俺が買い取っただけだ。『生かさず殺さず』って言葉知らないのか?こんな個人店潰さなくても成り立つ方法あるだろ!」
敵はブスっ!として帰って行った。
彼は本部に報告したのだろう。次の日から私は「潰れたスーパーを買い漁る乗っ取り屋」「金も掛けずに商売するヤドカリ商法」と一斉に揶揄されることとなる。まんざら間違ってないから否定もしないが、12の店を乗っ取るより、新しい店を出した方が確実に儲かるし楽だ。
「1,000人の幸せのためなら10人の犠牲は仕方ない」その社長に言われたことがある。冗談じゃない!1人も犠牲者を出さないことこそ「SDGs」じゃないのか!
私はそれ以降、大手に潰された個人スーパーが閉店するたびにそこへの居抜き出店を続けていった。
「地域土着スーパー」として。
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【私はこんな人間です】
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