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親魏倭王の仕事と経験

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#美術館

博物館について考える

博物館について考える

博物館と美術館はどちらも同じ「ミュージアム」だが、役割は微妙に違っていて、美術館は展覧施設、博物館は教育施設の側面が強い。それは施設の造りにも現れていて、美術館が外観も含めて「おしゃれ」なのに対し、博物館はいかにも「ハコモノ」的外観で素っ気ない。博物館が扱うものは基本的に「資料」であり、端的に言えば「学習教材」である。そのため、同じもの、例えば屏風や掛け軸などでも、美術館と博物館で扱いが違う。簡単

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展示について

展示について

博物館で実際に展示替えなどを担当する中で、意識するようになったのが「余白」である。
今まで、数多くの博物館や美術館に行ったが、心地よく見られる展示は「余白」が多い。展示室にものを入れすぎると、圧迫感が出る。ヨーロッパの古い美術館(ルーブル美術館、エルミタージュ美術館など)は宮殿をそのまま使っているためか、壁一面に絵画を飾っていて、迫力に圧倒されるが、一点一点くまなく見ているとかなりの疲労感をもよお

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文化芸術を取り巻く環境の実態

文化芸術を取り巻く環境の実態

しばらく前に、大阪府が美術品を地下駐車場で保管していたというニュースを見て、腰を抜かした。いくつかの新聞記事を渉猟したところ、大阪府立美術館設置の構想があったが、バブル崩壊に前後して頓挫。コレクションのうち大型の彫刻作品の保管場所がなく、地下駐車場に置いていたという。ちなみに、現在、大阪府に現代美術専門の学芸員はいない。
中には梱包もされずビニールシートを被せただけのものもあったといい、美術品に対

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