山形さなか

主に短歌 うたよみんにいました https://potofu.me/yamagatas…

山形さなか

主に短歌 うたよみんにいました https://potofu.me/yamagatasanaka

最近の記事

短歌89

絵に描いたような向日葵会うことのない友達として好きでいる 家庭科のドラゴンが住まう洞窟への行き方は教頭が知ってる 空欄を押しつけられた青い月ひどいことばかりしたしされたね 偽物の感傷の図式見せないで鼓動を、鼓動だけを信じて 宛先は荒野 切手は可愛いよ 妄想だけで愛せていたの 暦 暦 今夜がずっと来なければ生きてる価値もあるって言うわ 色づいてしまった影は踏めないの論理の先の海で待ってる 応答を、心にもない言葉ならそれは硬度計で分かるよ 薄青く微笑んでいて情熱を

    • 2222年問題

      案内所に戻ってきた着ぐるみの二人が、単発バイトのわたしくらいしかいないその場所でも着ぐるみとして振る舞っていた時のことを度々思い出す。休憩も着ぐるみのまましていたのか、着ぐるみのまま電車に乗って帰ったのか、そこは知らないけれど、そういう存在が世の中にいたら楽しいのになと、度々思う。 ガストの数年振りに訪れた店舗にも猫型配膳ロボットとセルフレジが導入されていた。次に行く頃には厨房も案内も、セルフレジの説明をする人も猫になっているかもしれない。 パートの猫型ロボットの家には小さ

      • 流れ

        毎日のように鼻血が出ている。ほとほと困り果てて耳鼻科の門を叩いたら患部を焼かれた。めっちゃ焼かれた。めっちゃ焼かれている方の鼻と目からめっちゃ血と涙が出て、注射の後の子供くらい労られた。一人で頑張って偉かったのかもしれない。 領収書を見たら手術のところに点数が入っていて、手術ってこんなカジュアルにやることもあるんだ。帰り道では子供(本物)が「カメラが回っていることに気づいていなかったアナウンサー」の物真似を披露していて、良かった。 わたしは通っている歯医者の受付の人の物真似が

        • あるものとないもの

          命日は特に何もしていないけど誕生日は祝っていて、生きている人はケーキを食べて死んでいる人にはクッキーを供えた。供えたクッキーも結局は生きている人が食べるの、なんかすいませんねぇ、て感じ。 親戚に柚子のジャムをもらったので、サンマルクのゆず茶のパチモンが自宅で作り放題の状況にある。 サンマルクと言えばゆず茶とチョコクロだと勝手に思っていて、そういえば前にセブンで売っていたチョコクロ味の飴が個人的大ヒットだったんだけど、一袋空ける頃には見かけなくなっていて残念だった、のを思い出

        マガジン

        • 短歌81~90
          9本
        • 日記
          17本
        • 連作短歌
          46本
        • お知らせ
          9本
        • 短歌71~80
          10本
        • 短歌51~60
          10本

        記事

          夏と魔法と過呼吸

          気づいたら受付時間ギリギリで、慌ててタクシーに飛び乗って酔った。酔った上に手足が急にこわばって、それは初めてで理解が追いつかない。停車した後に少しだけ横にならせてもらって(その間にメーターが上がった気もするけどすみませんとしか言えない……)、どうにか小銭が掴めるようになったので払ってふらふらしながら降りた。しゃがんだ。 行き先がちょうど病院だったので、ついでに聞いてみたところ過呼吸らしい。千円余分に払って過呼吸体験をした回、だった。 宅配を受け取るというミッションもあったの

          夏と魔法と過呼吸

          【短歌】適切に

          適切に 芽生えてしまったわたしから摘まれるように朝の訪れ 微睡の蓮の葉 誰にでも心があるならばどうしてこうなるの 嗅ぎながらこれを君って思うんだ って 仄暗い白い花束 紙芝居止めてしまって本当にお姫様が手に入れた永遠 月の形 思い描いていた過去がすべて間違いならどうするの? 花弁はいつか凍って解れ落ち君の名前をずっと好きだよ

          【短歌】適切に

          1000再生ありがとうございます🎉 連休のおともに是非。 https://x.com/YamagataSanaka/status/1807730886462554574

          1000再生ありがとうございます🎉 連休のおともに是非。 https://x.com/YamagataSanaka/status/1807730886462554574

          痛み

          短くしてから初めて一つに結んだ。ほどいたらものすごい外ハネが完成していて、毛先がご陽気すぎる。人の気も知らないで。 仕事中にしょうもない冗談を言い合える時間も残り僅かか、と思うと寂しいけれど、新しい職場で新しい人相手にいきなり冗談を連発する人になりたいかというと、それは全然、ない。 でも人と話せる自分ではいたいなと思った。それが当たり前でないことは、今でもどちらかが本来の姿なのか定められないほどには、よく分かっているので。薬のバフもあるし。 眠いな、と思いながらずっと何か書

          【短歌】Märchen

          終わるって決まった日々に立つ泡のじゃあ逆に人魚じゃない可能性 キャラメルソースかけてあなたの為になる わたしは今日人間をやめたい 確執を数える際の単位なら一輪二輪でいいと思って ベリーベリーブルーベリーヨーグルト心地良かった裏切りを教えて 誰かの為に吐いた嘘の数覚えてる?アンティークっぽい色の紫陽花

          【短歌】Märchen

          AIわたし

          他のメンバーと一緒に今の場所を離れることになったので、これさえあれば後任だけでもなんとかなるやろマニュアル、通称AI山形を作成している。全然AIとかじゃなくてただのFAQだけど、立派に育てたいと思うし、全然、わたし個人に関してはそれで代替出来るとも思う。 でも単純な人手だけはどうにもならないし、そこが一番の問題で、離れたってきっと心配で、だから、苦渋の決断だった。断腸の思いって初めて自分で使った。 でもこうするしかなかったよ。 心身を壊さずにどこかを去るのは初めてで(腱鞘炎

          ばっさり

          遊びはしなくてもおしろい花が咲いていると嬉しい。 ちょっとの距離にバスを使った、労りが欲しくて。 いろいろ上手くいかないけど、それをそのまんま言っても聞いてくれる人がいるので、なんか大丈夫な気もした。いつだってそういう大人には恵まれているなと思う、わたしも大人になっちゃったんだけど。 いろんな人に「ばっさりいったね」と声を掛けられている。実際長かったし、不便もそれなりに感じていたんだけど、そのわりには認識が薄かったというか。具合が悪いわけではない部位のことはあんまり知覚出

          短歌88

          解散もした後やっと訪れるあたしのソロパート の咆哮 唇の出来物舐め回している大きい主語であなたが通る 実在の星座になりそうなほくろを数えて/数えなくて 会いに来て 全国の幻のってついている商品を集めた幻市 お互いに選んだ星にお互いに名前をつけて ね 生きてて 厚いカーテン越しの太陽を光源に新譜を聴きながら着替えた 台所のハミングでしか存じてないきっといい曲のサビ頭 会いに行く、あなたが海の向こうでも 撥水素材のシンデレラだから (透明なディストーション) 前を

          知らんけど

          大体閑古鳥の鳴いているカラオケが珍しく混んでいた。少し待てば空くとのことだったので待つことにして、普段は気にも留めない受付近くのモニターに視線を向けたら、YouTubeに転がっている違法アップロードJ-POPメドレーみたいなのを流していておいおいと思った。いろんな部屋の歌声が響いて音はほとんど聞こえてなかったけど。 苦手だと思っていたカルピスを気まぐれで頼んでみたら普通においしくて、わたしが知っていたカルピスは割り方が悪かったのかもしれない。一人なのをいいことにポエトリーリー

          700再生ありがとうございます▶️ https://note.com/yamagatasanaka/n/n354dd47c0791

          700再生ありがとうございます▶️ https://note.com/yamagatasanaka/n/n354dd47c0791

          羅生門の続き

          書かなかった、書けなかった時期を数年挟むのでそれがそのまま歴ということにはならないけれど、十年前の梅雨の頃、ノートに書き溜めていたのがわたしと現代短歌との始まり辺りだった、と思う。 辺り、なのは、その前か後か分からない頃に授業の課題で一首詠んでいたからで、良く言えば静謐、率直に言えば白けていたような授業の中で、わたしがそれを読み上げた一瞬、ほう、という空気があったようなことを、今でもなんとなく覚えている。ほう、となったのは誰か一人かもしれないし、わたしかもしれないけれど。 恐

          羅生門の続き

          【短歌】botanical

          真夏日の前夜の雨の肌寒さ 告白を、一度、したことがある ぼさぼさの髪をかわいいよって言う、あたしがぼさぼさにしたからなおさら 聴診で気付いてもらえない夜にさみしい同音異義語をおしえて 傷つかないようにあなたが焼くケーキ焦げてしまってそれからの童謡 産道のこと緑道と思ってる?風で薙ぎ倒されるラベンダー 何もしたくない何もしたくないよ月明かりに見落とされる空想 愛してた、かつて誰かを 誰一人立ち入らせない植物園で

          【短歌】botanical