マガジンのカバー画像

短歌81~90

9
運営しているクリエイター

記事一覧

短歌89

短歌89

絵に描いたような向日葵会うことのない友達として好きでいる

家庭科のドラゴンが住まう洞窟への行き方は教頭が知ってる

空欄を押しつけられた青い月ひどいことばかりしたしされたね

偽物の感傷の図式見せないで鼓動を、鼓動だけを信じて

宛先は荒野 切手は可愛いよ 妄想だけで愛せていたの

暦 暦 今夜がずっと来なければ生きてる価値もあるって言うわ

色づいてしまった影は踏めないの論理の先の海で待ってる

もっとみる
短歌88

短歌88

解散もした後やっと訪れるあたしのソロパート の咆哮

唇の出来物舐め回している大きい主語であなたが通る

実在の星座になりそうなほくろを数えて/数えなくて 会いに来て

全国の幻のってついている商品を集めた幻市

お互いに選んだ星にお互いに名前をつけて ね 生きてて

厚いカーテン越しの太陽を光源に新譜を聴きながら着替えた

台所のハミングでしか存じてないきっといい曲のサビ頭

会いに行く、あなた

もっとみる
短歌87

短歌87

きのうケーキを食べたのにきょうパフェを食べている 人生は長いので

通らない声で何度も繰り返すそれでも愛が本物だから

両の手でちゃんと壊してくれたからここにいるのはわたしの幽霊

レモングラス 永遠の放課後を互いに贈り合った映像

無意識下の切り傷増えて増えて増えて愛が正解にならないクイズ

紫陽花の咲き揃ってる遊歩道でとびきりの別れ話をしてね

薬でなる大丈夫ばかり知っている半透明のスケジュー

もっとみる
短歌86

短歌86

お昼ごはんベンチで食べたりもういないバンドの曲を聴いちゃう季節

岩のぼこぼこに桜蕊 あたしがあなたのためのあたしだったこと

鮮魚、ひかり、真空パック、頬の傷、かなしくなる曲を聴きあって

人のことすぐ大切に思う癖 ビル風にさくら巻き上げられて

コンバースの空き箱ずっととってある人魚に戻れば履けないから

聞いてないよーって雨が多いよぱんぱんのエコバッグ提げて行く春の道

花筏あなたにしたかっ

もっとみる
短歌85

短歌85

春うらら病院ビルの歯科医院で前の患者が褒められている

求めたい誰かがいない香料のベリーがわたしへと住み着いて

カモミールぱちんと世界が終わったら世界外生命の追悼

白昼夢・早く葉桜になりたくて張り切っている老若男女

朝に弱い天使が朝に弱いことを考慮してくれる週の神様

予報とは打って変わった晴天を受けて急遽行く遠い公園

切り花を抱えた人とやけに会う春の夕日の駅への道で

あの頃のJ-POP

もっとみる
短歌84

短歌84

数輪の夜桜のこと気づきたいいろんなくすりを飲んで眠った

桜蕊 髪の長いわたしのままでまだ待っていたいから見つけてよ

外を見ようとずっとドア際に立ってたけど夕日が射してきて眩しくなった

嫌いだった乗り換えの駅があなたの住む街の駅になって 夕景

オレンジピール記憶がいつか磨耗していくことの確かさは面白いね

公共の花壇に造花が植わってるもうすぐ高層ビルの建つ街

また来たいほど店はない一駅と一

もっとみる
短歌83

短歌83

変わることは分かっててもどう変わるのか見失う季節 三月は

奥底で燃える花びら後悔の形を定めることは怖いよ

春の脈あなたを知っている人の扉の色ばかり確かめて

約束の無精卵だったかもしれず眼裏が赤くて温かい

解いている式のことは分からないのに答えは近づいて 忘れ傘

すぐに詩で誤魔化しちゃう癖よくないよ一日中雨の天気予報

花を炎に炎を花に例えても本当にしたい話じゃないね

後悔をなのに今して

もっとみる
短歌82

短歌82

放課後は部活で忙しいように定時の後も労働をする

のそのそとすすった辛いラーメンの舌先に関してはつらかった

商業ビルのメインのテナントが潰れて人は部分的に死ぬこともある

daydream 管理しづらい体調をかわりに抱き締めてほしいけど

春の惰眠気持ちいいことする時のわたしたちの神様じゃなさ

ネモフィラを見かけるようになる頃に順を追って感情を伝える

僕だけが大切そうに抱えてる想像妊娠の母子

もっとみる
短歌81

短歌81

死んでいる世界線のあたしを悼むそれは必要なことだから

つぎはぎのボーカルの高音抱いて本当はどんな世界があるの?

やるせない話ばかりで月を見る月にはやるせないとかはないけど

霜柱 言い訳が出来なくなると会えなくなるが同義の春に

その人のハンドクリームの匂いにまで焦がれるならば、永久凍土

今はないファミレス改装したファミレスそういう記憶だらけだよ、今

処方薬に救ってもらえてる今でもあなたの

もっとみる