【音楽】「与作」が教えてくれる日本の原風景と哀愁
久しぶりの音楽の話
今回は、日本歌謡曲の名作「与作」を取り上げます。
この曲は1978年に発表された歌謡曲です。
七澤公典が作詞・作曲し、NHKの音楽番組『あなたのメロディー』に応募した作品です。
初めは弦哲也が歌唱しましたが、北島三郎が歌ったバージョンが最もヒットしました。
今回は北島三郎バージョンを中心に、記事にしたいと思います。
どんな曲
北島三郎バージョンは、日本クラウン 演歌・歌謡曲公式チャンネルでも楽しむことができます↓
歌詞は非常にシンプルです。
木こりが山で仕事をし、気立てのいい女房が家ではたを織り、藁を打つ。そんな姿が浮かぶと思います。
私と与作との出会い
この曲がリリースされた1978年頃の記憶はありません。
初発でいうと、小学生くらいでしょうか。
がこびりついてました。
そんなこともあり、小さい頃から曲としては何となしには覚えていました。
その後、高校生から、友人とカラオケに行く機会がありました。
当時、あまりにレパートリーがなく、仕方なしに歌ったのがうる覚えの与作でした。その時、かなりウケたので、現在でも困ったときの切り札に使ってます。
大人になるにつれ
それから、幾星霜。大人になるにつれ、与作の良さが徐々に理解できるようになりました。
大人になったかどうかはさておき、今の自分が見た与作への想いを語りたいと思います。
擬音
歌詞の中に
という擬音が出てきます。
ヘイヘイホーは歌詞の流れからすると、与作の発声と反響するこだま、はなんとなく想像できます。
トントントンは、女房のはた織り、藁打ちとは結びつきます。
ホーホーは、お互いのやりとりのようにも見えます。
シンプルですが、目を瞑っても、想像しやすい絶妙な歌詞だと思います。
登場人物
この曲の登場人物で、与作、与作の嫁はすぐにわかります。
しかし実際には、もう一人います。与作とその嫁を見ている演者(≒歌手)です。
演者が、与作とその嫁を見ている情景…を歌う、それが与作です。
北島三郎も、第三者的な感じで歌い上げていると思います。
小説でみられる三人称視点だとも言えるでしょう。
目の前に浮かぶ情景
実際にこの歌詞を聴いて、
を呼び起こす方も、多くいらっしゃると思います。
ひたすらに静寂な歌詞、民謡テイストの曲調と節回しが呼び起こすものは、今の日本で忘れられてきている情景でもあるのかなと感じます。
と同時に、懸命に働く労働者の姿を映し出しています。
昨今では、働き方の多様化が進み、労働人口の減少の中で生産性の向上が求めれています。そのためのツールがいろいろ目に入ってきます。
しかし、労働の本質的な部分には、
与作、そしてその嫁がその姿を体現している…からこそ、現在でもその思いが歌い継がれているのかなと感じています。
実際には
この記事では私自身が感じた与作の魅力を、私なりに起こしてみました。
カラオケの持ち歌として使っていた学生の頃は、あまり感じませんでしたが、大人…というか、オジサンになり、この曲の味を噛み締めることができたかなと思います。
現時点でも日本の音楽界にはたくさんの名曲が生み出されていますが、その中でも、与作は上位に位置している楽曲だと思いますし、今後も語り継がれていくべき日本の楽曲だと、私は考えます。
ただ、与作はシンプルな歌詞と曲調であるがゆえに、想像しながら楽しむのは難しいとも思います。もし、行間を読む感じでこの曲を聴いていただくと、あなたの心のどこかに触れてくるものがあるかもしれません。
(了)