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【詩】ぷろぺら


すいこまれそうな
みずいろのそら
かぜをすいこんだ
てづくりの
にこのぷろぺらが
じいちゃんのうちの
にわさきで
くるくる と回っている
おおきなかざぐるまは
はねがかさなると
ひとつの花弁に
なってみえる
これをつくるのに三年かかったよ
じいちゃんはうれしそうにわらう
いまは
ひまごといっしょに
めだかにえさをあげている
じいちゃんはひさしぶりに
みんなにあえて
うれしそうだ
ろくにそとに出られず
いえにこもっていた この
三年 という年月は
八十を越えたじいちゃんに
とって
どんなじかんだっただろうか?
あたらしくつくられる
おもいでをうばうには
じゅうぶんな時間だった
ばあちゃんがたおれ
面会もできず
病院にはいっているあいだ
じいちゃんは家をすごくそうじした
まめな
じいちゃんは
ばあちゃんのせんたくものに
何をもっていっただの
しせつの見積書だの
ベランダでめんかいできたときの
ようすなどを
ことこまかくメモして
ていねいに綴じていた
だいじそうにかかえて
みせてくれた
ぼくも この三年
こどもが生まれ
せいかつはまるでかわった
もっとはやく
もっとたくさん
じいちゃんに
あわせにいきたかったけど
ずいぶんおそくなってしまったな
だから いま
ぷろぺらの回る
にわさきで邂逅する
じいちゃんと ぼくのむすこが
よけいにまぶしくみえた




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