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ショートシュート

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短編集を集めてみました
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#真夜中の小説

未来に行ける眠り薬(パート3)(460字の小説)

「お父様、私未来に行ってみたいです
この薬を飲めば三十年後の世界に
行く事ができます」
と、純情可憐なお姫様が、
新薬の眠り薬を王様に差し出しながら
嬉しそうに言う
「三十年後の未来だって⁉️ 何故、未来に行きたいのだ。」
と、訝しい思いで、王様は尋ねる。

「だって、多くの男達が、私をストーカーしてくるの。
私、怖くて街にも一人で行けないの。
未来に行けばもっと安全な世界だわ。」

「でも、その

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行列の出来るリモコン(440字の小説)

行列の出来るリモコン(440字の小説)

年金暮らしの老人には生活の余裕は無い。
今日も無料で食べれる「炊き出し鍋」に来ている

親切なボランティアの団体が
無料で食事を振る舞ってくれ大助かりだ
私と同じ老人達が群れを成す。
行列は毎度の事、無料だから待つ値打ちがある。

街をぶらついていると、長い行列に出くわした。
習性とは恐ろしいもので、行列を見ると、
つい並びたくなる。
何の行列か尋ねてみると、
リモコンを無料でくれるらしい。

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会員制の粉雪(410文字の小説)

会員制の粉雪(410文字の小説)

冬将軍は悩んでいた。
毎年降雪のノルマがあるのだが、
ノルマの達成が出来ない。
温暖化の為、雪達が居ないのだ。

「またノルマの達成が出来ない。大将軍に嫌味を言われる。
嫌味だけなら良いけれど、・・」
上司の悩みの姿は、部下達を不安にさせる。

部下が云う
「今の状態では、雪達を管理しないといけません。
雪を降らすには、大きな雪よりも粉雪達を集めた方がいいのでは?
粉雪を日本中に降らす。
見た目に

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大地震と津波(320字)

大地震と津波(320字)

昨日、大きな地震があった。
こちらもかなり揺れたが、
災害は幸運な事に無かったが
津波警報が発令された。
津波の高さは3mとの事。
初めての経験でありどの様に対処するのか解らない。

何処の地区が避難するのかも解らないまま、
真面目な僕は避難した。
家族全員で高い場所にある親戚を頼った。

僕は友達にLINEで安否を確かめた。
みんな無事だった。
避難せず自宅に平然といる人も居た。

津波は30c

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不埒な昔話 雪女編(400字の小説)

不埒な昔話 雪女編(400字の小説)

ある日、美しい女性に出会う。
だが、彼女は妖怪だった。
彼女は全ての物を一瞬にして、
凍結させる能力を持っていた。
何故か彼女は私の家に住みついた。

私は、彼女を利用しようと考えた。
それは、瞬間冷凍するビジネスだ。

依頼の多くは食品であるが
不治の患者の依頼があった。
それは未来の医療に期待して
冷凍保存するのである。
生きたまま、瞬間冷凍される患者。

人間を瞬間冷凍する記事がネットに

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