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140字の小説集

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140字の小説を集めてみました。(それ以外の短編もあります) お時間がお許しならば、少しでもお立ち寄りください。 このマガジン、読めば笑顔になるかもです。 笑いはあなたのお薬です…
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#オールカテゴリ部門

同志(140字の小説)

同志(140字の小説)

僕は孤独な人間
多くの人達と一緒にいても、孤独を感じる。
一人でいたら、尚更だ。
そう、他人と自分は別の人間
同じじゃ無いよ。
そんな事は解っているのに!

でも、自分の気持ちを解ってもらえると
嬉しくなるよ
励ましを受けた時は
孤独な自分では無くなるよ
自分と同感してくれる人は
同志だと想いたいな〜。

ダブルで(140字の小説)

ダブルで(140字の小説)

妻が認知症になってしまった
困ったものである
長年連れ添った私の顔も覚えていない。
悲しみは私を襲ったが、妻を見捨てる事は出来ない。

だが私は最近介護に疑問を感じている。

一体私は誰の介護をしているのだろう?
見覚えはあるんだが、誰だろう?
謎が謎を呼ぶ様に、私の疑問が深まる。
「あの女は誰?」

レトルト三角関係(400字の小説)

レトルト三角関係(400字の小説)

ある男からレトルトカレーを三角形にする案が、提案された。
従来の四角形では、インパクトが無いと云う理由からであるが、
男以外、誰も賛成はしなかった。
その男が云う。

「従来の四角形に比べて素材の使用量が少無くてすむ。
また、パッケージの形状が斬新でインパクトがある。
必ず売れるはずだ。
我が社これで推すべきだ」
と、強く主張する。
その甲斐あって、男の意見は採用された。
だが、売れ行きはさっぱり

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見つからない言葉(3)(320字の小説)

見つからない言葉(3)(320字の小説)

見つからない言葉を探している人が居る。
何処を探しても見つからない。
「一体何を探しているの?」と訊ねても、
応えは無い。

そもそも、言葉は物では無い。
人の声が言葉になるだけ。
出しては消えていく儚き物。
なのに彼は探し求めている。

彼は孤独な男。
彼が愛した妻は三年前に他界し、
息子達もこの前の地震の犠牲者になった。
それ以後の彼は、
言葉を掛け合う相手も居なくなった。
孤独を紛らす為に、

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僕の恋人(140字の小説)

僕の恋人(140字の小説)

僕は恋人をそっと抱く。
指先で弄ると気持ち良いのか、可愛い声
左手で首を抑えお腹に触れる。
左手は下に動き、君の声も高くなる。

僕は誰かの様に弓は使わない。
指でそっと撫ぜるだけ。
僕の恋人は、誰かの様にお高く無い。
誰もが気軽に手に取れる。
いつも奏でてる
ギターが僕の恋人さ。

夢でも会いたい人➕君の為に嘘をつく

夢でも会いたい人➕君の為に嘘をつく

第一話 「夢でも会いたい人」

夢見たがりの私。
いつもいつも貴方に恋してる。
その時、私はヒロイン。
夢の中だけのヒロイン。

貴方、捕まえに来てよ。
私は此処に居るよ。
私は待っているよ。

だけど、あの悲しい言葉を思い出すたび
心に冷たい風が吹き抜ける。

もう、貴方は遠い人。
もう、返らぬ遠い人。

見知らぬ人と遠くで暮らす、憎い人。

第二話 「君の為に嘘をつく」

君の気持ちは解っては

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目に見えぬ物(700字)

目に見えぬ物(700字)

人間の目に見えない物は、
数限りなくあります。
ウイルス、雑菌、紫外線、赤外線、電波など
見えない物は確認はできません。
認識できないからと言って否定は出来ません。

霊や妖怪、悪鬼などもその部類であろうと思います。
普通の人間には見えません。
信じる、信じないは個人の自由ですが、
「無い」と言い切るのは
傲慢かも知れません。

鬱病。
厄介な病。
心に負担が掛かる現代に於いて、
誰しもが陥ってし

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前にある物は(140字の小説)➕追伸(20文字)

前にある物は(140字の小説)➕追伸(20文字)

「美人だ!」と思わず言葉が漏れた。
僕は嬉しさ隠せない。
「こんなに綺麗な顔を初めて見た」
と、褒める。

嬉しいそうに微笑む表情も素敵だな。
僕はうっとりと見つめている。
「気に入りましたか?」
と、背後から突然の声
振り向く僕。

男は笑いながら僕に云う
「手術は成功しました。あとは下の整形ですね」

追伸
意味が解ると、笑えるかも知れません。

時をかける男(140字の小説)超能力シリーズ

時をかける男(140字の小説)超能力シリーズ

私は25歳の青年男子
私は組織から時間を飛び越える能力を与えられた
過去に行く時は注意が必要だ
時間のパラドックスがあると言う

私は過去を諦め未来に行く事を決意
未来の世界を観てみたい。
時を超え着いた時代は、2070年
ロボットが闊歩し街並みも大きく変わっている

驚いた!
私が爺いになっている。

念力パート2(140字の小説)超能力シリーズ

念力パート2(140字の小説)超能力シリーズ

私は念じるだけで、物を動かす事が出来る
その力を人に知られる事を
組織から禁止されている

ある日、事件が起こる
猛烈に走って来るトラック
トラック運転手は眠っている
眼前には子供達が列を為す
私は念力を憚る事なくトラックに向ける
難を逃れ安堵する子供達

トラックは、ゆっくりと崖の下へと堕ちていく。

追伸
子供達は無事救出できた。
だが、私の胸に去来する悲しみは、癒す事が出来ない。
ただ、私に

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念力パート1(140字の小説)超能力シリーズ

念力パート1(140字の小説)超能力シリーズ

私は念じるだけで、物を動かす事が出来る
その力を人に知られる事を
組織から禁止されている

ある日、事件が起こる
猛烈に走って来るトラック
トラック運転手は眠っている
眼前には子供達が列を為す
私は念力を憚る事なく子供達に向ける
子供達の身体は空中に浮く
難を逃れた子供達

だが子供達は未だ行方不明に。

追伸
子供達の救出に失敗した私は、組織の者にお願いして事故前の時刻に戻してもらった。
これが

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マッサージ3 (140字の小説) つかれやすい男

マッサージ3 (140字の小説) つかれやすい男

最近僕は疲れ易い。
仕事をしても、遊んでいても、すぐに疲れてしまう。体の不調を感じながら
馴染みのマッサージ師の元へ
彼は盲目ながら腕は良い。
途中見知らぬ男に「つかれてますね」
と、声をかけられる。

他人に私の事が解るのか?
訝しさを感じながらマッサージ台へ

「憑かれていますね、今度は悪霊に」

追伸
前回は守護霊が付いてはおらず、今回は悪霊に憑かれてしまった、可哀想な男の話しです。

衝撃的な体験(140字の小説)

衝撃的な体験(140字の小説)

父が消し忘れたビデオを知らずに見てしまう
幼い僕にとって初めての衝撃的な体験

一糸しか纏わない二人が、触れ合い、抱き合い、もつれ合い、絡み合う
男の息遣いは荒くなり、悲鳴さえ聞こえる
そして静かに抱き合う二人
動かない二人

周りの男達が、何かを告げる。

僕が観た初めての水入り熱戦大相撲であった