景泉

たまに怪文書を投棄します

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スレイト・オブ・ガルラジ

神楽邸の物置の奥にある不思議な石盤。そこには時たま不可解なものが映るという。信じるか信じないかは貴方次第… 2/11駿河湾、漁船の上 「凪紗さん!もう少し右です!」 白糸結の普段の印象からかけ離れた大声が夜の駿河湾に響く。彼女が見つめているのは魚群ソナーだ 「はいよっ!しかし本当に良いのかね…?これどう考えても『密漁』だよ?あたしに至っては船舶の無免許運転のおまけ付きだし」 「いいんです!仲間との絆より大事なものなんてありませんから!」 「まーた結の変なスイッチが入っちゃっ

    • バニー・サン・デイ

      「っしゃあ!アタシの勝ちぃ!」 「鬼気迫るってこういう感じなんだろうなあ…ってバーサーカーっぷりだったけどおめでとうひめっち。約束通りチャレンジ成功だけどルリ達に何をして欲しいの…?」 「はい…それがまた私欲で申し訳ないんですが…」 「姫芽ちゃーん!みんなで居間でゲームしよーっ!…って何!?なんでバニーさん!?いかがわしいプレイ中で徒町達お邪魔だった!?」 「姫芽…だらやだらやとは思ってたけどまさかここまでとは…だらぶち!」 「ちょ、ちょっと待って小鈴ちゃん!吟子ちゃん!決

      • ランチタイム・エンジェル

        「はーい、午前の特訓はここまで!3年生はもう少し自主練するから後輩ちゃん達は1時くらいまで休憩!」  慈先輩からの号令がくだり徒町を含めたみんながその場にへたり込みました。漸くお昼ご飯にありつける…と思った矢先に誰もが気付きました。あれ、今日早朝に映画の撮影をしたからさやか(先輩)(ちゃん)お昼ご飯用意してないんじゃないの…?という事に 「わたしのミスです…今から冷蔵庫の中身で何かしらを錬成してくるので10…いや20分待ってもらえますか?」  さやか先輩が据わった眼をしてゆら

        • 蓮ノ空大三角VS玉笹花菜(2)

          「慈!?慈は何処!?」 「うわっどうしたんですか梢センパイ」 「いきなりこち亀のオチみたいですねぇ」 「それ多分通じないよひめっち。めぐちゃんならまだ来てませんよこずこずパイセン」 「そう…スクールアイドルクラブの3年生宛に手紙が届いていたのだけれども私も綴理も全く心当たりがないからまた慈が何かやらかしたのかと…」 「ボクもなにもわからないからめぐに聞きに来たんだ」 「それはちょーっとと言うか大分めぐちゃんに失礼じゃなーい?梢、綴理」 「噂をすれば影がさすとはこの事ね…3人揃

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        スレイト・オブ・ガルラジ

          蓮ノ空大三角VS玉笹花菜(1)

          「どうしたんだい花菜。さっきからずっと神妙な顔をしてるけど」  久しぶりに会った親友はスマホの画面を見ながらずっと何かに悩んでいるように見える。少し、いや長めの逡巡の後、彼女は口を開いた 「あのね、菜月。お願いがあるの。力を貸してもらいたい」  人生の約1/3くらいはつるんでいる仲だ。今更こんな事を言うなんて水臭いじゃないか。そう思っていたが次に彼女が発した言葉で全てがひっくり返った 「私と一緒にLiveに出て欲しい。私と菜月の二人で戦いたい相手がいるから」  口に含んでいた

          蓮ノ空大三角VS玉笹花菜(1)

          クォーター・ストレンジラブ

          「お疲れ様でーっす!…って花帆ちゃんとひめっち…?」 「あっ瑠璃乃ちゃん!」 「るりちゃんせんぱい、お疲れ様でーす」 「随分と珍しい組み合わせでお話してたけどコレどういう集まり…?」 「ふっふっふ…!ハスノソラファンタジー同好会だよ瑠璃乃ちゃん!」 「ハスノソラファンタジーって…前に花帆ちゃんが個人配信で設定を羅列してたあれ?」 「そうですそうです。アタシがたまたま早く部室に着いたら花帆せんぱいが書き物をしている途中で…」 「そう。部室に来るまで歩いてる途中で急に思いついた設

          クォーター・ストレンジラブ

          カワイイ・ティーパーティ

          「…花帆先輩、急に呼び出してなんなん…!?」 「ルリも吟子ちゃんもイマイチ事情が掴めてないんだけどこれどういう集まり…?」 「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました。瑠璃乃ちゃん、この前ふたりでゲームした時の約束覚えてる?」 「あー…『勝った方が負けた方のお願いをひとつ聞く』だよね…それでルリを?」 「そうです!そして吟子ちゃんには瑠璃乃ちゃんと一緒に新たな伝統の発展に協力してもらいます!」 「新たな伝統って…つまりは花帆先輩の私欲ですよね?」 「ち、違うよ吟子ちゃん!この前やっ

          カワイイ・ティーパーティ

          幕間 金沢料理を食べに行こう

          ダイニングバー今夜も乾杯にて 「結さん、少し先の話ですが私達三人で金沢に行きましょう」 「何ですか藪から棒に。三人って凪沙さんも来るんですか!?」 「そうだぞ結。車はあたしが出す」 「ちょっと待ってください…凪沙さんそんな長い時間アルコール無しで生きていけるんですか!?」 「アタシを何だと思ってるんだ…」 「結さん、凪沙さんは5時間以上アルコールを摂取しなくても生きていけるんですよ。ガルラジをやってた頃はそうだったでしょう?」 「すず…後で話しようか…本題に戻ると10月に金

          幕間 金沢料理を食べに行こう

          ナンバーオブローズ

          「花帆…!?いるかしら?」 「はーい!花帆はここにいますよ。どうしましたか梢センパイ!」 「その…この前わたくしの実家から贈り物が届いたように花帆の御実家から物凄く大きな花束が届いたのだけれど…」 「何本か数えましたか?」 「…数えてないわ」 「では数えてきてください。そこまで含めてのあたしからお母さん達に頼んだプレゼントなので」 数十分後 「黄色いバラが99本。黄色いバラはわたくしの誕生花ね…そして99本のバラの花言葉は…」 「そこから先を口にするのは野暮ですよセンパイ

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          チアレター

          「おはようございます!ってどうしたんですかさやか先輩!その紙束は!」 「おはようございます小鈴さん。これは…スクコネポストに届いたさやラジ宛のお便りです」 「お便りって…大学ノート数冊分はありますよね!?」 「はい、以前も気合の入った長文ポエムを書いてきた村人さんがいたのですが今回はさらに気合が入ってまして一投稿でこれです。さやラジが始まるまでに全部読まないと…と思うとこうして印刷して時間のある時に読み進めないといけない次第です」 「これがプロ意識…!徒町にもできる事があった

          チアレター

          コスズ・ミーツ・ナツキ

           休日の徒町の朝は早い。夜明けとともに飛び起きて水筒を片手にチェストの掛け声と共にランニングを開始します。今日のルートは蓮ノ湖をぐるっと周回するパターン。少し暑いくらいの陽気、今日も蓮ノ湖は凪いでいます。わずか2ヶ月とは言え平和な日常を感じながら寮に戻るとさやか先輩が入り口で待っていました 「おはようございます小鈴さん。今日のドルケストラは綴理先輩が伝統のトレーニングをしたいとの事なので蓮ノ湖へ行くのですが…少し準備があるので早めにお昼を済ませてから正午に大倉庫で集合です」

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          ブルーミング・ウィズ・ユー

          「梢センパイ梢センパイ!」 「あらあらそんなに慌ててどうしたのかしら花帆」 「それがですね…あたしの部屋宛にこれが届きまして…」 「これは…とても素敵な花器とアレンジメントね…どなたかから頂いたの?」 「その…大変言い難いのですが…センパイの御実家からです。御手紙によると花器は私の誕生日祝いとして人間国宝の方に作って頂いてアレンジメントは有名な生け花作家の方の作品らしくて…この前センパイの御実家で色々良くしてもらった上にこんな立派な物まで頂いちゃってあたしどうすればいいのかわ

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          トライアングル・トライアングル・イン・トーキョー

           めぐがいなくなった。理由は何となくわかっている。昨日ホテルの部屋のこずに見えないところでペンライトの電池を確認していたし東京のアイドルのイベントを見に行ってるのだと思う。そのせいで今こずはすごく怒った顔をしながらボクとふたりで街を歩き回っている 「ところで綴理、何で慈の居場所を知っているのかしら。事前にどこへ行くのか聴いていたの?」 「違うよ、『何かあった時のために』るりがめぐの財布にGPSタグをつけて送り出したからそれの位置情報を追いかけているだけ」 「瑠璃乃さん…そこま

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          トライアングル・トライアングル

           めぐちゃん自身の失言により強さの三合目へ至る為に鍛錬の鬼となったひめちゃんへマイシスター梢から頼まれて明日の予定を伝える事になったのだが送ったメッセージに既読がつかない。たぶんふたりでbang bangしてる途中なのだろうけど散歩がてら口頭でも伝えておこう。二択なんだけれども決め撃ちで行っためぐちゃんの部屋には誰もいない。となると行くべき先はひとつだ  食堂で晩御飯を食べて帰ってきた一年生が各々の部屋へ戻る列に紛れ込むがルリが用のあるお部屋は一年生棟の中でも入ってすぐ。五十

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          一輪の花を見つめ続けて

           入学式の時に新入生代表として壇上でスピーチを読む姿を見たのが私の知る大賀美沙知の一番古い記憶だ。その時の印象は同い年なのにずいぶんちっちゃいなあ。程度だったしまさかそのあとこんな事になると当時の私は全く思っていなかった。スピーチを終えて階段を降りて席へ戻る彼女を見て初めて同じクラスなんだなあという事を自覚した位だ。  入学して早々に熾烈な部活動の勧誘合戦が起きた。知ってはいたけれどもこの学校では年に三度も学園祭をやる上に入学して2ヶ月でいきなり始まるのだ。どんな部活も先輩達

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          メグ・ミーツ・アヤ

           めぐちゃんが消えた。原因はわかっている。先週からずっと「人間テスト前ほどやっちゃいけないって事やりたくなるよねるりちゃん!」と言ってたし机の上には殆ど真っ白なノートとまるで新品の様に綺麗な教科書という形だけで実は勉強してない痕跡フルコースが置き去りにされている。本当にノー勉で期末試験に挑む気なのだろうか。頼むからやめてほしい。  今すぐに外出届を叩きつけてめぐちゃんをとっ捕まえに行きたい。しかしめぐちゃんだけでなくルリにも試験が待っている。カリフォルニアに留学していたルリに

          メグ・ミーツ・アヤ