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【おすすめ本】神探偵ならぬ紙鑑定士!にわか探偵がプラモに隠された謎に奔走するミステリー『紙鑑定士の事件ファイル』歌田年

最近読んでとても面白かったミステリーをご紹介します!

本書の紹介

歌田年さんの『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人』です。2020年の「このミステリーがすごい! 大賞」を受賞して書籍化された作品です!

神保町で紙鑑定事務所を営み、どんな紙でも見分けられる男・渡部。
ある日、そんな彼の事務所にひとりの女性がやってくる。
「紙鑑定」を「神探偵」と勘違いした彼女は、「彼氏の浮気調査をしてほしい」と言う。手がかりはピンボケしたプラモデルの写真一枚だけ。
渡部はダメ元で調査を始めるが、ある男と出会ったことで意外な真相が明らかになった。
その男こそが伝説のプラモデラー・土生井(はぶい)。ごみ屋敷に住む冴えない中年だが、模型のことが絡むと驚くべき洞察力と知識で、名推理を披露する。
そしてその翌日、渡部の事務所に「行方不明になった妹を探してほしい」と言う女性が、妹の部屋にあったジオラマを持って訪ねてくる。
土生井とともに模型を調査していた渡部は、その中に恐ろしい大量殺人が
示唆されていることを知り、真相を突き止めるため奔走する!

マンガのようにユーモラスで、軽快に読めるミステリー

主人公が『紙鑑定』を『神探偵』と勘違いされて成り行きで浮気調査を始める事から物語がスタートします。

あらすじを見て分かるように、全体的にユーモラスな雰囲気で、肩肘を張らずに読めるようなミステリーです!

笑える、というようなユーモラスさでは無いですが、どこと無くマンガを読んでいるように、軽快なテンポで読み進める事が出来ます。

ただ、事件はしっかりと起こりますし、ミステリーとしてももちろん面白いです!(推理小説というより大枠のミステリー、もしくはサスペンスに近い雰囲気です)

主人公の紙鑑定士というのは作者の造語で、イメージとしては紙の問屋のようなもので、作中でも紙についての豆知識、というか専門的でマニアックな知識が満載です。

主人公の渡部は御礼のメールと手土産は忘れないビジネスマンの鑑

主人公は探偵ではなく、ただの一般人なので、捜査をしていく上で自分の伝手を頼りに様々な人に仕事を頼みながら捜査を進めていきます。

ピンボケしたプラモデルの写真を渡されて浮気調査をして欲しい、と言われた時は、まずは取引先のプラモ雑誌の営業を頼って、プラモ雑誌の編集者に合いにいきます。

その時、しっかりと神楽坂で手土産を買って持っていく事を忘れません。

次に、そのプラモ雑誌の編集者にプラモデラーを紹介して貰い、更にそのプラモデラーから「伝説のプラモデラー・土生井」を紹介して貰うのですが、土生井に会いに行く時も手土産を買って行く事は忘れません。

また、土生井のお陰で浮気調査が解決した後も、紹介してくれたプラモデラーに対しての御礼メールをしっかりとしています。

主人公は、基本的にはあまり冴えないような特徴の少ないキャラなのですが、礼儀正しく、かつ請け負った捜査については前向きに取り組む姿は、とても好感が持てます!

プラモと失踪事件から繋がっていく大きな陰謀

ここから少し内容に踏み入った話をしていきます。最近発売されて書籍なのであまり立ち入らず、魅力が伝わるように書かせて頂きます。

浮気調査が一見落着するも、主人公の捜査に満足をした依頼人から、次は模型のジオラマに関わる失踪した妹を探しをしているという女性が紹介されて来ます。

困っている人を放っておけない主人公は、ひとまず依頼を引き受け、再度、伝説のプラモデラー・土生井の元を訪れます。(もちろん手土産を持って

二人で女性から借りたジオラマを調べてみると、ジオラマにはある秘密が隠されている事を発見しました。

そこから、ジオラマに使われている樹木と家の形を頼りに、ジオラマのモデルの場所に当たりをつけて、失踪人を探しに現地に向かいます。

そして、失踪人を追っていく内に、失踪の裏に隠された大きな事件について知っていきます!

このように、ジオラマの調査と、実際に地道に現地に行っての調査が何度か交互に繰り返されていくのも、本書がテンポ良く読める理由かもしれません!

好感の持てる登場人物に、緊迫感のあるストーリー

先ほども書いたように、主人公の渡部自身は決して並外れた能力を持っているようなキャラでは無いのですが、行動力と人脈を活かして捜査を続ける魅力的なキャラです。

伝説のプラモデラー・土生井も、並外れた洞察力を持ちながら、世間ずれしておらず、主人公にTwitterやGoogleの画像検索の仕方を教えてもらい喜ぶような、面白いキャラクターです。

その他、依頼人の女性や途中で出てくる刑事なども、物語にしっかり絡んできて印象深いです。

物語も、前半こそゆっくりとしたテンポで進んでいきますが、後半は畳みかけるような展開となっていき、緊迫感のある物語が進んでいきます。

気軽にミステリーやサスペンスを楽しみたい人にオススメの本なので、是非とも手に取ってみてください!

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