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【隙間怪談-2-】

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怪談101〜200本まで。
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【間違えて本文消してしまいました……】

【間違えて本文消してしまいました……】

本文消して上書き保存してしまいました……なんかそのうち埋めます……

柔らかいしあたたかい その後

柔らかいしあたたかい その後

これは、先日書かせていただいた“柔らかいしあたたかい”の小畑(こばた)さんから後日聞かせてもらった話である。

彼女はあの日以降ずっと、柔らかくあたたかい何かを背負って生活をしていたそうである。

ふと背中に意識を向けると、柔らかいものがそこにあるし、あたたかみもある。

たまに〈ふうふうふうふう〉と息遣いも聞こえる。

何がいるのか知りたくて背中を見ても鏡越しに見ても何もわからなかった。
小畑さ

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それは反則だろ

それは反則だろ

これは昨日の僕の話。

深夜2時過ぎ。
そろそろ寝なければ、と電気を全て消しベッドに入って暫くした頃。

ぱきん、ぱきん。
天井付近から音がした。

パン!
次は床の方から音がした。

いわゆるラップ音だとハッとする頃には数秒に一度の間隔でパキン、バキッ、パン!コンコン!と空間内のあらゆる場所から音がする。

コンコンコンとフローリングの床を叩く音も混じるのだが、指先でコンコンとやった時と同じ音と

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柔らかいしあたたかい

柔らかいしあたたかい

深夜、水を飲みに2階から1階へと降りた小畑(こばた)さん。

彼女は真っ暗な中、スマートフォンの明かりを頼りにキッチンへ向かった。
途中、玄関前を通り過ぎた時。

――――キィ。

ドアノブが回る音がしたという。
音のした方を見ると、今まさにゆっくりとレバー状のノブが下向きに動いている最中だった。

「……ん?ん?」

それは小畑さんの前でゆっくりと下がり、もう一度あがった。
不審者か、泥棒が入ろ

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いない

いない

「引っ越しをする事になって家財道具とか荷物を纏めてたんですけどね。その時にアルバムが沢山入った段ボール箱が出てきたんですよ。もう20年以上になるもので、娘が産まれてから写真をよく撮るようになったのを大事に仕舞ってあったの」

杉本さん夫婦には一人娘がいる。

初めての子供が娘だったから、2人とも本当に彼女の事を猫可愛がりしていたという。
段ボール箱一杯になるほど写真を沢山撮ったし、子供の頃に旅行へ

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“ない”

“ない”

「もう何年も前からになるのよ」

日向さんは、某所教室で人に絵を教えている。
たくさんの生徒を受け持っていて、彼女自身も個展を開いたりしている。

「もう何年も前。うちの教室に1人の女性が通っていたのよ。主婦の方。その方、何枚も絵を描いて手慣れてきた時に、今は家にある物で一等気に入っている物を描いてるのよって話してくれたの。それは子供の頃から大切にしてる人形で、フランス人形だったのだけれど絵に描い

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呪文やめろ

呪文やめろ

「一時期、うちの家に幽霊がいたのよ」

学生の頃、桐谷さんの借りていたアパートの部屋の隅に“いた”のだという。
特にきっかけは思い出せないが、家に帰ったら“いた”そうである。

「女の子がぽつーんと立ってたのよ。え?不審者?って後退りしたら目の前で“ぽん”と消えたの。見間違いかと思ったけど、たまにそれから“いる”のが見えたのね」

その女の子は10代後半くらいに見える、ギャルギャルしい女の子だった

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握り仏

握り仏

それは、羽岡(はおか)さんが晴れた日に公園へ足を運んだ時の事。

彼女はベンチに腰掛け、息子のカツミくんはベンチから少し離れたところで砂場で山を作って遊んでいたという。

「おかーさん!」

砂場で遊び出して10分程した時、遠くからカツミくんの呼ぶ声がしたので羽岡さんはどうしたの?と砂場へと駆け寄った。

「砂まみれのカツミが右手をぐっと握ってこっち向けて開いたんですね。そしたら手のひらに、すっご

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とても丁寧な説明

とても丁寧な説明

「遠出した時に車で住宅街を突っ切ったんだけど、その時に花を見たんだよね」

滝さんは昼間、カーナビに従って車を走らせていた。

その時に通った道は一方通行で、車が1台ギリギリ通れる位の道。
垣根に車を擦らないように細心の注意をはらいながら進んでいった。

そのとき、一軒の家の玄関に花束が一つ立てかけられていた。

「なにあれ?もしかして献花?人が死んだってこと?何があったんだろ……って思いながら通

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溺れる

溺れる

この出来事、今もよくわからないんですよ。
それでもよかったら……そう言って大森さんが聴かせてくれた話だ。

彼女には幼い息子がいる。
大森さんがキッチンにいた時。
丁度キャッキャと楽しそうな声をあげて廊下を走り回っていた息子が、急にピタッと黙ったのを不審に思い廊下を覗いたのだという。

息子はじーっと床を見つめて静止していた。

「どうしたのー?なにかあったの?」
「あのねー、水があるのー」

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猟犬塚(2)

猟犬塚(2)

前編:猟犬塚(1)

「えっ、痩せた?」
「ああ、痩せた痩せた。こっちきてからスルスル痩せたよ」

兄はあっけらかんとそう話した。

「いやいやいや、痩せすぎでしょ!って言ったんだけど。“いや〜忙しくてバタバタしてたりして食欲落ちちゃって〜!”とか笑ってたんだ。そんなもん?って返事して、誘われるまま兄の家に遊びに行ったんだけど」

“獣臭い”

それが兄の部屋に入った第一印象だった。
犬、猫、鳥、

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猟犬塚(1)

猟犬塚(1)

「うちの家の話だけど、場所とか名前は絶対にわかんないように……うん……」

里宮さんは、とある田舎の出身者である。

山手の方に実家がありその家は随分と大きい。
元はといえば家のある地域一帯をまとめ上げていた領主の血筋なのだという。

「そんでうちの家、昔から変な言い伝えがあったのね。長男は必ず家を継いで家から出てはならないって。理由は“犬の呪い”だって言うの。で、犬を供養するための“猟犬塚”って

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何が悪かったのか

何が悪かったのか

「何が悪かったのか、ちっともわからないんですけどね」

この話を聞かせてくれたのは小尾(おび)さんという。
実の所、同じ話をもう10度ほど聞いた。

自分には息子がいるのだが、どうにも出来が悪くて親の自分としては肩身が狭い思いを長年してきたんですよ。
子供の頃からかけっこは遅いし跳び箱は3段しかまともに飛べないし、字も汚いし計算もできない、絵もそんなに上手くはない、歌もてんでダメ。
将来大物になっ

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梵字

梵字

「あの時はあんまりにもムシャクシャしてて、どうかしてたんだよ」

酒を飲んで、酔った勢いでの事だった。
北見(きたみ)は終電を逃すまで酒をかっくらってふらつく足で帰途についた。

仕事での事。
他人のミスを押し付けられ、反論するか決めあぐねているうちにとんでもない大事に発展してしまった。
へらへらと笑って流そうとしていた自分自身に腹が立ってその日は平日だというのに飲み屋を三軒梯子してしまった。

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