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シェフと料理と人生の物語。映画『マーサの幸せレシピ』ドイツ・オーストリア・イタリア・スイス、2001年

映画の舞台はドイツのハンブルクのレストラン。主人公は腕のいいシェフのマーサですが、彼女は精神的なストレスを抱えていました。料理に絶対の自信があるのに、理解のあるいいお客ばかりではないからです。レストランのオーナーは彼女を信頼してくれていますが、客に対してはマーサに譲歩をうながします。でも、マーサは料理に関して絶対に譲らず、お客とケンカもしばしば。

マーサは親しい友人もいなければ、パートナーもいない一人暮らし。レストランのオーナーにはカウンセラーに通うように指示されて、一応通ってはいいますが、頑固な性格なのでカウンセラーの言うことも聞き流します。

そんな彼女にある日突然、不幸な出来事が襲います。妹が交通事故で亡くなって、彼女の娘を一時的に世話をすることになったのです。姪のリナは事故と母親をなくしたショックで、マーサのいうことを聞かないどころか食事もとりません。

マーサを心配したレストランの支配人が、マーサのサポートのためにイタリア人のシェフのマリオを雇うのですが、マーサは自分がお払い箱になるのではないかと危機感をつのらせます。職場では支配人とケンカ、家では姪っ子とケンカでボロボロのマーサ。

そんなマーサを救ったのが陽気なマリオ。子供の扱い方が上手で、リナのケアをしてくれたのです。リナはマーサよりも、マリオに懐くほど。そして、のために妹の元夫のイタリア人男性と連絡をとろうとする中で、マーサもマリオと少しづつ親しくなっていきます。

孤独で頑固で仕事一筋の女性が、子供を引き取ったことをきっかけに人生を変えていくという話は、わりとありがちな気がします。そして、この映画を見た当時、私は不妊治療もあきらめて、こどもがいない7年目の結婚生活を過ごしていました。子供が出てくる映画も避けていたと想うので、なんでこの映画を見ようとしたのか、今でも思い出せません。

見ている間も、なんだかモヤモヤして、それほど気に入ったわけでもなかったのですが、マリオのイタリア料理がとにかくおいしそうで、映画館を出た後、夫とイタリアンレストランに入ったことだけは覚えています。そして、その数ヶ月後に妊娠がわかりました。子供ができた後にもう一度みたときの映画の感想が、以前と180度変わったことは言うまでもありません。

その後、DVDを買って、一年に一度くらい見返しています。理由ははっきりとはわからないのですが、そのぐらい素敵な映画だということでしょうか?

邦題:マーサの幸せレシピ(Bella Martha
監督・脚本:ザンドラ・ネッテルベック
出演者: マルティナ・ゲデック、セルジオ・カステリット、マクシメ・フェルステほか
制作:ドイツ・オーストリア・イタリア・スイス(2001年)105分

2007年にはハリウッドでリメイクされましたが、私は未見です。

邦題:幸せのレシピ(原題:No Reservations)
監督: スコット・ヒックス
出演者: キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アーロン・エッカート、アビゲイル・ブレスリン、ボブ・バラバン、パトリシア・クラークソほか
制作:アメリカ(2007年)104分

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