【人事必見】「データドリブン人事」が進まない悲しい理由3つ
今、日本は「人財」に注目が集まっています。人財をどう確保し、どう育成し、どう活用するのかが着目されていて、女性管理職比率や男女間賃金格差等の人事関連のデータ情報開示の義務化も進んでいます。
人事部門や経営者である皆さんは、頭を悩ませているのではないでしょうか。しかし、なぜデータドリブンが進まないのか。
確かに、はっきりいって、日本(むしろ世界中)の人事データ活用は全然進んでいません。これはなぜでしょうか?そこには悲しき3つの理由があるのです。
1. データ分析できる人事がいない
まず、根本的にデータ活用人材が人事部門にいないことが理由です。
データサイエンティストは、日本政府も人数を増加させようと給付金を支給したり、育成を勧めたり、かなり力を入れています。
しかし、全然足りていません。マジで足りていません。そして数少ないデータサイエンティストはどこにいるのでしょうか?
IT企業やWebマーケティング事業など、ビジネスに直接関与する部門に高収入で雇われています。
これは、短期的に、かつ売上に直結するため、希少性の高いスキルとして年収も高くなり、採用競争力が高い部門にデータ人財が集まることが理由です。
一方、人事部門のようなバックオフィスにはこのような人材は配分されないのです。バックオフィスは、長期的な成果を求められることと、売上に直結しません。「報酬の高いデータ人財を配分しよう」とはならないのです。
すると、バックオフィスの部門内にデータ分析ができる人がいなくて、「そう言われてもなぁ、、、何をやればいいんだっけ?」となり、路頭に迷うのです。
2. 確率思考で人事戦略を考えられる人がいない
2つ目の理由は経営陣です。おそらく、自分は「データを十分に活用をできる!」と胸を張っていえる経営者は少ないのではないでしょうか。
もちろん、会計知識やお金の管理、人員数の配布など、数字に強い経営者はたくさんいます。むしろ経営者の全員が数字に強い、と言っても過言ではありません。
しかし、「データ分析」に関する知識とは別です。データ分析は、ありとあらゆるビッグデータから、関係性を導くひらめきが重要なのです。会計ルールや人員数などの数値による判断ではなく、ビッグデータから価値を探す能力です。
社内のビッグデータには、営業・人事・経理・経営等に膨大な種類があります。
会計データ、人事評価、ストレスチェック、エンゲージメント、出社率、顧客情報、自動運転などの画像解析、Chat GPTによるインプットデータ、アクセスログ、アンケート、研修履歴、資格、監視カメラの画像、運動習慣、喫煙習慣、市場のデータ、トレンドデータ、政府が公表の統計データ etc..
数えきれないほどのデータが眠っています。これを「つなぐ発想」がデータ分析の最も必要な能力です。
大事なのは「直感」です。「ひらめき」です。
例えば、「監視カメラの画像認識」と「ストレスチェック」を紐づけたら、社員の顔色から健康状態のリスクが分かるのではないか、や「自社の離職率」と、「日本のGDP」は連動しているのではなど、を直感的に思いつく力です。
ちなみに、「離職率」と「日本のGDP」は相関しているはずです。なぜなら、私が政府統計結果を入手し、統計解析した結果、日本全体のマクロ状況で相関しているからです。
このように、データ活用を理解している経営者は、そこまで多くないです。
この直感(右脳)的なセンスの重要性の高まっていますが、まだまだ浸透はしていません。大きな動きになったと感じているのが、山口周さんの「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか」ですので、機会があれば是非ご一読ください。
3. 人事に余裕がない
3つ目の理由は人事部門に余裕がないことです。実は、これが最も大きな原因だと感じています。
人事部門の役割は「守り」です。
リスクを最小化し、未然に防ぎ、オペレーションをミスなく回すことが最重要とされていますし、事実その通りです。
オペレーションや労務対応に弱い人事部門は、信頼を失い、社員の安心感を削り取り、会社経営を不安定化させます。
従い、評価されることが「守り」の業務であるため、「攻め」に割くためのリソースを配分できないのです。データサイエンティストを人事部門に配置しない理由でもあります。
バックオフィスは「コストセンター」と呼ばれ、なるべく少数でオペレーションを回すことに最適化されていまるので、データ活用を検討している余裕が無いのです。
解決策は、、?
ここまで読んでいただいた方々は、データドリブン人事がなかなか進まない理由が分かって頂けたかと思います。
では、経営・人事の責任者の方は、どうすればいいのでしょうか?
やれることは一つです。社外の「分かる人」に相談しましょう。
データ分析が分かる社外のプロ人材と、感度が高めの人事部員1-2名をアサインし、「何ができるのか」「何がしたいのか」を議論し、現状を整理するだけでも、随分と革新は進みます。
分析の一例として、こちらのnoteもご参考にしてみてください。
皆さんの「データドリブン人事」「データドリブン経営」が進むことを祈っております。