発達障害が「脳の障害」であるとはどういう意味か【障害ノートその1】
はじめに
こんにちは
はじめましての方ははじめまして
いつもご覧いただいている方はお世話になっております。
マルです。
今回から精神障害・発達障害の「当事者」であり「元支援者」であり「研究者のたまご」である私が障害に関して考えていることを共有していこうと思います。
※私マルについては以下の自己紹介記事をお読みください。
記事を書くにあたり、時間の制約とnote記事の性質という観点から、明確に出典をお示ししていない点が多々出てきますが、「無理なく少しでも有意義な記事を書くことを続ける」ということが目標ですので、ご容赦願いたいと思います。
(必要に応じて出典や参考文献に関しては追記していく予定です)
発達障害は「脳の障害」とはどういうことか
発達障害が脳機能の障害であるというとらえ方は非常に一般的になってきました。
この考えは正しいと考えられます。
しかし、よく整理してみると発達障害の症状の現れ方には環境要因も影響しており、その観点から見たときにどのように脳機能の障害という表現と整合性をとることができるか、というところまではあまり語られません。
私の周囲の人に聞いても、SNSなどネット上の意見を見ていても、この点についてやや誤解されている部分があるのではないか、と感じ、今回当記事を書くことにしました。
例えば自閉スペクトラム症であれば、生まれつき脳器質(脳のつくり)に定型発達の方(発達障害のない方)と違いがあり、それがなければ発達障害の症状は現れません。
これは環境的な影響が顕現すると考えられる以前の、発達のごく初期から症状が現れることから明らかです。
しかし一方で、発達障害のある方に対して環境調整をするというのは支援の基本であり、ここでは環境によって症状の現れ方に違いがあるという前提が置かれます。
「脳の障害」であるならば、環境要因の影響がないと考えるべきなのでしょうか。
遺伝的な脳機能の障害と環境的要因の相互作用
現在、精神医学や心理学では発達障害について「遺伝と環境の相互作用モデル」が採用される場合が多いです。
これは遺伝(脳の障害)だけ、あるいは環境だけで発達障害(という現象)が生じるのではなく、それが組み合わさったときに生じるものですよ、ということです。
遺伝(脳の障害)であっても環境によってそれが表に出たりでなかったりします。
またどの環境がその人にとって適切かは遺伝的な要素によって異なります。
このように遺伝と環境の両方の組み合わせ、マッチングによって発達の障害と捉えられるものの現れ方が変わります、という事がポイントです。
「脳の障害」表現と環境要因の整合性
したがって発達障害が「脳の障害」という表現は、環境要因も影響するけれど、発達障害の必要条件、あるいはその基盤として脳機能の障害が確かに存在する、というような意味になります。
例えば、大人になって就職するまでは大きな問題が起きず、就職後に発達障害と診断される方がいます。
これは乳幼児期や児童期、青年期では周囲と遊ぶことや勉学で成績を収めることが求められており、そういった環境では脳機能の障害が問題にならなかったものが、要求されることが変化したために発達障害として顕現したと捉えられます。
このケースでは環境によって症状が変化することと脳機能の障害があることの両方が両立していることがわかります。
このように理解すれば、発達障害が脳の障害でありながら、支援者などとのかかわりも重要になってくるということは了解できると思います。
発達障害の理解や支援には神経基盤(脳基盤)の話と心理社会的な話の両方が必要になってきます。
どうだったでしょうか。
もし少しでも面白かった、勉強になったと思いましたら、高評価・フォロー・コメントをしていただけると助かります。
なお、このnoteに誤っている部分がありましたら、お教えいただけると幸いです。指摘を鑑み、修正いたします。
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