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【エッセイ】 "化学実験と洋菓子づくりは同じ!?" この一言から洋菓子づくりにハマってしまった話

日常の暮らしの中に手づくりの洋菓子があったなら、なんて素敵で幸せなことだろう。

家族の誕生日に手づくりのショートケーキで祝う、クリスマスにはフルーツケーキ、焼き芋の季節にはスイートポテト、ちょっとしたプレゼントにサブレを焼く……、なんて、夢のよう!

まだまだその領域まではほど遠いけれど……、
今回は、なにげない先輩の一言から、洋菓子づくりにハマってしまった話を書こうと思う。



化学実験と洋菓子づくりは同じ!?

20代の頃、ひょんなことから専門学校で化学実験や水質分析を教えることになった。

学生時代、化学実験は得意でも好きでもなかった。硫酸やシアン化カリウムといった、こわ〜い薬品もあって、はっきりいって引いていた。なので成績もそこそこ。

石の上にも三年というけれど、実験助手からはじめて、実験の基礎や器具の操作をマスターして、
3年経ってようやく授業をできるようになった。

そんなとき、職場の先輩から、この一言が……、
"化学実験とお菓子づくりは同じだから、やってみるといい、面白いよ〜"  それも、和菓子よりも洋菓子だという。

その先輩は、ときどき手作りの洋菓子を持ってきて、学生たちにふるまってとても好評だった。

でも、洋菓子づくりをやってみようなんて、1ミリも思わなかった。大変そうとか、道具そろえるのお金かかりそうとか、、、興味なしだった。

洋菓子づくりにハマってしまった

それから30代になって、別の仕事について、化学実験がなつかしくなった。が、自宅で化学実験をするなんて難しい。

そんなとき、先輩のあの一言を思い出した。
化学実験とお菓子づくりは同じ!?

まずは簡単な洋菓子をつくってみることにした。たしか、スコーンだったと思う。

この試みは見事に失敗。水分が多くて生地がベタベタ。ぶつぶつ文句をいいながら焼いてみると、スコーンとは別物の白パンができた。いきなりへこんだ。

悔しかったのか、過去の実験魂に火がついたのか、それから休日のたびに、洋菓子をつくるようになった。

たしかに、計る、混ぜる、加熱する、という流れが化学実験と洋菓子づくりはよく似ている
それに、それぞれの工程に精密さも求められる。

違いといえば、化学実験や分析は最後に数値にする。でも、洋菓子づくりは最後に食べるというおまけつきだ。

いつの間にか面白くて夢中になり、気づいたらすっかりハマっていた。

洋菓子づくりの面白さ

洋菓子づくりは、料理と違い途中で修正ができない。レシピ通りにやっても、たいてい2、3回は残念な結果になる。

オーブンは1台1台くせがあるし、小麦粉や砂糖はタイプによって仕上がりが変わる。生地の混ぜかたや、休ませる時間も調整しないといけない。

失敗を繰り返し、細かく修正しながら、どうしたら上手くできるのかを考える。そこが面白いのかもしれない。

これまでに、いろいろな洋菓子をつくってみた。
どれも簡単に上手くはできず試行錯誤だった。

そんな中で、技術的なことにプラスして、つかう材料と道具によってできあがりにかなりの差がでることに気づいた。


つくってみた洋菓子たち

シュークリームは、オーブンの中で一斉にプクーっと膨れてくる姿がなんともかわいい。毎回オーブンの前でじ〜っと眺めてしまう。

水蒸気の力で膨らむので、生地の水分量や固さが成功のカギになる。

焼きあがったシュー生地たち、ぷっくり
手づくりのシュークリーム、美味しそうにできた

カスタードクリームに生クリームを合わせたクリームをたっぷりふわっとつめて、粉糖で化粧をして完成だ。
手づくりだとたくさんできるので、食べすぎちゅ〜いだ。

焼き立てほやほやのNYチーズケーキ

チーズケーキは何十回つくっただろう。ようやく納得のいくレシピと焼き加減にたどり着いた。

薄力粉やコーンスターチに代えてプードル・ア・クレームなるものを加えると風味がぐっとよくなった。


クリスマス前につくりたいフルーツケーキ

そして、フルーツケーキ。
薄力粉、ベーキングパウダー、グラニュー糖、溶かしバター、卵を、フードプロセッサーで、
ガーーーっと混ぜて、ドライフルーツを加えて焼く。

ドライフルーツによって味が変わるので、良質なものをつかいたい。いろいろ探して「うめはら」というメーカーのミックスフルーツにたどり着いた。


焦げないように皮をアルミホイルで包む

焼き芋の季節になるとつくりたいスイートポテト。さつまいもの種類で色や仕上がりが変わる。けっきょく紅あずまに落ち着いた。

焼いた芋を舟形にくり抜いて、皮をつけて焼くと
香ばしくて美味しいと思う。

はじめ、オーブンで焼いていたけれど、焼き色がつきにくい。オーブントースターにしてみたら、短時間でこんがりと焼き色がついた。

シルパンで焼いたサブレ ディアマン

サブレは、道具の大事さを知った洋菓子の1つ。
厚めに切ったサブレ生地を、シルパンというものにのせて焼くと、できあがりが全然違う!!
厚みがあってサックサク、お店のレベルになる。

小箱に入れるとちょっとしたプレゼントにも


焼く前の紅玉リンゴの薄焼きパイ

スーパーに紅玉リンゴが並ぶと、つくりたくなる薄焼きパイ。すっぱいリンゴだけれど、焼くといい味になる。

パイ生地の材料をフードプロセッサーでまとめて綿棒でのばして長方形に。紅玉リンゴを薄く切って並べ、生クリームを塗って、グラニュー糖をふり、バターをのせて焼く。

シンプルなレシピでも、シルパンのおかげでパイはサクサク、リンゴのシャキシャキと合わさって食感のいいパイができる。


洋菓子づくりとの向き合い方

洋菓子づくりには、フードプロセッサーや電動泡立て器など、便利な道具はどんどんつかう。
レシピも材料も、味や効率とかを考えてどんどん自分なりに改良していく。

頭をフル回転させて、あーでもない、こーでもないと考えて、失敗を重ねて成功を目指す。気づくと真剣で無心になっている。

もちろん何度やってもうまくできないこともある。そんなときは一旦放置。あきらめも肝心。
忘れたころにまた再挑戦してもいいしね。

洋菓子づくりは、体力と気力、時間がないとできないと思う。実際、仕事が忙しかったり、体調をくずしてできない時期もあった。
洋菓子づくりには "ゆとり" が大切なのだと思う。

手づくりの洋菓子を、日常の暮らしの中に自然に取り入れられたら幸せだろう。まあ、今は夢の段階…….。

洋菓子づくりは、無心になれたり、気分をリフレッシュできたり、充実感を得たりするには、けっこーいい趣味ではないかなぁと思う。
何よりも小さな幸せが増えるかも。

学生時代に理科や化学の実験が好きだった人は、洋菓子づくりにハマる可能性がありそう、たぶん向いている、きっと面白い、やってみてもいいと思う!!

お読みいただきありがとうございました🍀

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