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牽牛花

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2021年2月の記事一覧

雛祭りde句⓵

雛祭りde句⓵

虚子で🎎天井にとどけ雛の高御座  高濱虚子
(てんじょうにとどけ ひいなのたかみくら)

もうすぐ桃の節句ですから有名人の句を捜してきました。そのままの句だから解説する迄もありませんね。だけどそんなに高い天井の家に住んでたの?天皇・皇后の高御座は普通の家に収まらないよね?それで調査しましたよ。なんやあ~って 笑ってしまったゾ。(*´з`)

🎎雛より小さき嫁を貰ひけり  虚子
(ひいなより ち

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尾崎放哉&鐘⓹

尾崎放哉&鐘⓹

余韻(よいん)尾崎放哉が詠んだ鐘の句はもっと沢山見つかると思っていたが青空文庫に載った須磨寺時代の4句で終わらせていただきます。放哉を俳人と見做すのは其々の思いであれば私がとやかく申しあげることはない。私の思いを述べるなら「詩心は懸命に生きようとする人の心に具わる希望・勇気」に尽きる。

誰かの詩心を特別視する視点は私のなかに無い。誰かの詩を優秀だとか立派だとか評価する視点は私のなかに無い。そうは

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尾崎放哉&鐘⓸

尾崎放哉&鐘⓸

父よ虫夕の鐘つき切つたぞみのむし 尾崎放哉
(ゆうべのかねつききつたぞ みのむし)

蓑虫ってダレだよぉ? コレ、お勤めを終えた報告だろ?そりゃあ鬼の親は無責任だ。その鬼親を非難したい鬼の捨て子の声が聞こえた気がした。父よ、あなたは無責任だという悲痛な記憶が子鬼から滲み出たか‥。泣いている子に大勢の命が共鳴する。『可哀そう・気の毒に・親はナニやってんだ』と観衆は一様に優しい思いを抱く。仕方ないよね

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尾崎放哉&鐘⓷

尾崎放哉&鐘⓷

須磨寺時代
師走の夜の釣鐘ならす身となりて
(しわすのよるのつりがねならすみとなりて)

次男の放哉は長男としての責任を負わせられたようだが、彼の心は誰かに甘えたかったように思われる。現実には社会人が甘えられる場所も人も少ない。そんな放哉であれば職場でも社会でも安住することは難しい。生涯を転々として暮らしても・然もありなんとなる。一高入学した翌年の18歳か、先輩・荻原井泉水に出会って以来、師匠とし

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尾崎放哉&鐘⓶

釣鐘重たしねむの花の昼すぎの釣鐘重たし 放哉
(ねむのはなのひるすぎの つりがねおもたし)

長閑だなあ‥そんな声が放哉から漏れてきそうに想えた。
ねむの花は「ねむの木の花」で、上皇后の詩「ねむの木の子守歌」や去年亡くなった宮城まり子の「ねむのき学園」で知られるが、共に悦びたいという想いに由来するようだ。因みに放哉が亡くなった翌年が宮城まり子の出生。

今日の朝ドラおちょやん姉弟も母親を偲んだよう

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尾崎放哉&鐘⓵

尾崎放哉&鐘⓵

閑居して鐘ついて去る鐘の余韻の中 尾崎放哉
(かねついてさる かねのよいんのなか)

尾崎放哉は人気者だし、あなたもファンかも知れませんね。それでどんな傾向が彼の句に顕れているのかと思って一っ跳びしてきた。

この句を読んで有名な格言「小人閑居して不善をなす」を想ったのはナンデかしらん? 中国故事では「小人閒居(間居)して不善をなす」だそうな。閑居のほうだと「暇(ひま)を持て余して碌(ろく)なこと

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葛飾柴又と

葛飾柴又と

小林一茶?これがまあ終の栖か雪五尺 小林一茶

(聞いたところでは)遺産相続で自分の家屋を手に入れたらしい。それまでの人生は転々として過ごしていたことになる。それで私のなかで葛飾柴又の寅さんと一茶が被ってしまった。寅さんも妹・さくらと離れて暮らすことが多かったんだ。愛するさくらの足手まといになっちゃいけないってんで全国の夜店やなんかに稼ぎに出てたんだっけ。そんな寅さんならさくらのいなくなった家にな

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ひさ女のひの字しの字

ひさ女のひの字しの字

紙魚(しみ)紙魚のあとひさしのひの字しの字かな 高濱虚子
  (しみのあと ひさしのひのじ しのじかな)

こんな一面を虚子に知って以来、彼の人間的な面が好きになった。
普段から開けっぴろげなまゝ暮していたら気楽だったのだろうな。

虚子と云えども久女に言葉で勝てるものではなかった
 ‥だからって苛めず優しくしてあげたらもっと好きになった。

柿くへば

柿くへば

東大寺柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺 正岡子規

(かきくえばかねがなるなりほうりゅうじ)

東大寺を眺めて柿を食べていた子規がいる。
その子規の耳に入ってきた法隆寺の鐘の音。
この時すでに、子規は不治の病を得ていた。
それだけですがナニか深く考えされられる。

花衣ぬぐ

杉田久女花衣ぬぐやまつはる紐いろ/\
 (はなごろも ぬぐやまつわる ひもいろいろ)

じょうずな遊び人の男性なら「女性の幸せを知りたければ帯締め(おびじめ)の一本もプレゼントすることだよ」と言えた良い時代の俳句かも。だまりんのカミさんは桜餅(さくらもち)の2個も手土産にしたら喜んでくれるから女性にも色々いらっしゃるワケだけど、この杉田久女さんの場合は着飾ってお出掛けするのが大好きだったのでしょう

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自由に詠んでいい

自由に詠んでいい

尾崎放哉放哉(ほうさい)の句は青空文庫からお借りしております

放哉を読んで種田山頭火のと同じことに感じた。すなわち、自由律は短詩であれば俳句と云う枠に閉じこめておきたくない。俳句には約束ごとがあり、俳句の約束ごとを無視できるのは詩に認められた自由です。俳句は詩に分類分けされるが・詩は俳句の部分でありません。(´ー`)

さて、中学時代に作句を始めたころの放哉の句「きれ凧の糸かかりけり梅の枝」は写

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鉄鉢の中へ

鉄鉢の中へ

鉄鉢の中へも霰(あられ)
(鉢つながりです)
お題は種田山頭火の句。ネット検索で出るわ出る⋯80000句以上詠んだらしい。それで山頭火の句の傾向を考えることになった。

・あたたかい白い飯が在る
・けふは蕗をつみ蕗をたべ
・鉄鉢の中へも霰(あられ)
・山あれば山を観る
・鴉啼いてわたしも一人

日記みたいだ・・・そうか、白い飯・蕗(ふき)を食べたんだね。
霰(あられ)・・・おいしそうって想った私。

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鉄(くろがね)

鉄(くろがね)

秋の風鈴上の風鈴はもう錆びちゃって⋯だけど鉄(くろがね)だから高級品です。(笑) この風鈴を見ていて思いだすのが飯田蛇笏の俳句「くろがねの秋の風鈴鳴りにけり」です。この句はどんな意味があるのだろうか?それでネット検索。高い評価が幾つも見つかりました。有名な先生方が一様に秋の風鈴はじつに風情がいいって感じで称賛なさっていらっしゃいます。

独学(の私)と有名な先生方とではその価値が比べものにならない

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鈴(すず)Ⓓ

鈴(すず)Ⓓ

鉢かづき姫鉢は僧侶が托鉢で持つ器(うつわ)に始まったそうで、それが一般に広まりだして多用途化していったそうです。頭のことをお鉢とも言いますね。大阪府寝屋川市ではマンホールの蓋にデザインされています。下の画像は『三草紙絵巻』の鉢かづき姫(wikipedia)

(あらすじ)お鉢は娘の幸せを祈りながら亡くなった母親からの贈り物。ところが誰もがそのお鉢を気味悪がって、娘は悲しさ・辛さから川へ身投げした。

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