ギルドマスターが選ぶ、ギルドハウス十日町『2020年の10大ニュース』
みなさん、改めましてこんにちは。
住み開きの古民家「ギルドハウス十日町」の設立者、ギルドマスターの西村 治久(ハルヒサ)です。
今回は、年末の恒例企画となった《アドベントカレンダー》のために、このnoteを書いています。
このアドベントカレンダーでは、ギルドハウス十日町に住んだり訪れたりした25名の記事を、2020年の12月1日から25日までのあいだに日めくりで読むことができます。
それにしてもアドベントカレンダー、もう5回目なんですね。普段、あえて写真や動画を多用した情報発信を控えているので、せめて年末くらいはと思ってアドベントカレンダーを始めたのでした。
というわけで、2020年の年末もたくさんの冒険者たちの記事が読めます。
そうそう。わたしはギルドハウス十日町にやってくるひとたちを《冒険者》と呼んでいます。観光客でも旅人でもなく、冒険者です。
というのも、ギルドハウス十日町はお店でも宿でもシェアハウスでもなく、あくまで《西村さんち》。事業ではなく非営利で個人の住まいです。だからたとえば観光を目的とする情報源から探せないわけで、観光客が来ません。
ギルドハウス十日町にやってくるのは冒険者。他の場所では得られないような《新しい日常》に勇気を出して踏み出し、かけがえのない仲間たちと出会い、いろんな経験をして、人生の次の進路を見つける場所と言えます。
出会いから共感と展開へ。
それがギルドハウス十日町で日常的につむがれている営みです。
さて、そんなギルドハウス十日町にとって、2020年はどんな年だったのでしょうか。その一端を伝える2020年版アドベントカレンダー、いよいよスタートです。
さっそくですが、初日である12月1日の分は、わたしが書きました。
題して(毎回同じですが)
ギルドマスターが選ぶ
ギルドハウス十日町
『2020年の10大ニュース』
です。
それでは、いってみましょう!
1. 第一子の治真(はるま)誕生!
最大の出来事と言ったら、なんと言ってもコレでしょう。
2020年の1月、わたしと妻のあいだに第一子が産まれました。
住人たちやご近所さんなどギルドに集う方々に支えられながら、定期健診のときには「肉付きいいね~」と褒められるほどにすくすく育っています。
そして赤ちゃんの笑顔と仕草は、場をとても和ませてくれます。"子は宝"と言いますが、ほんとうにそう思いますね。
それにしても...。
もうすぐ1歳になるんですね。
早いものです。
思えば実にいろんなことがありました。
ここでは書ききれないのですが、はじめはギルドハウス十日町のような共同生活の場での育児には不安があったし、一般の家庭にはない大変さがあったものの、それ以上にメリットのほうが圧倒的に多かったように思います。
やはりそれでも大変なことは多々あるのですが、少なくとも核家族での夫婦共働きではないですし、古き良き田舎の大家族のような良さがあるわけです。そしてわたしは隠居しているため常に育児と向き合うことができます。
これからも妻をはじめ住人たちやご近所さんなどギルドに集う方々に感謝しながら、長く楽しくゆるやかに、この愉快な住まいにおける息子の成長を見守っていきたいと思います。
2. コロナ禍のギルドはどうだった?
今年最もよく聞かれたのが、この質問です。
たとえば、ある著名人のオンラインイベントで「ハルさん(わたしのこと)はこのコロナ禍のような出来事を想定してギルドハウス十日町を作ったのでしょうね」と紹介されたことがありました。
若干大げさな気もしますが、確かにわたしは2011年の東日本大震災で起きた未曽有の出来事がひとつのきっかけとなり、「死ぬまで楽しく暮らすこと」を目的として、このギルドハウス十日町を作るに至りました。
その目的を実現するために事業ではなく住まいであることにこだわり、普段の隠居生活が脅かされることなく、ゆるやかながらも刺激的に暮らせるよう、いろんな仕掛けを施してあります。
現に、コロナ禍にあってもギルドハウス十日町に住んだ今年の冒険者の数は、おととしの2018年より多かったくらいです。
さらに自粛が良い方向に作用して突発的にたくさんのひとが来すぎることがなかったため、第一子の育児にじっくり取り組むには不幸中の幸いでした。
そして、そんなコロナ禍でもなおギルドにやってきた方々は、かつてのわたしがそうであったように、勇気を出して大きな一歩を踏み出す、まさに冒険者ぞろいでした。オンラインでもたくさん話しましたね。
なので、コロナ禍だろうと何だろうと、わたしにとって相変わらずの《新しい日常》が続いていた2020年は、ギルドハウス十日町の存在価値が、かえって際立った一年と言えるでしょう。
3. 大学生が田舎留学!
ギルドハウス十日町の存在価値を際立たせた、ひとつの事例がコレです。
せっかくのキャンパスライフを味わえず日々のオンライン授業に悶々としたり、楽しみにしていた海外への渡航・留学が中止になった大学生たち。そんな日常をなんとかしようと休学や国内留学への一歩を踏み出し、ありがたいことにギルドハウス十日町にたくさんやってきました。
大学生だけでなく、高校生もいました。
彼ら彼女らと話すと、ギルドハウス十日町を作って良かったと思えます。
これからも第2・第3の実家でいようと思えます。
かつてのわたしもそうでしたが、大きな不安を引き起こす出来事があったときにヒトは変革しようと大胆な行動に移すような気がします。そんなご時世にギルドハウス十日町が選ばれることに、わたしはとても嬉しく、彼ら彼女らを応援したいと思えるのです。
だから、コロナ禍だろうと何だろうと、何かあったらいつでも頼ってほしいし、よければ実家のように帰ってきてもらいたいですね。
ちなみに、そんな大学生たちが、今回のアドベントカレンダーに参加してくれています。どんな体験談を書いてくれるのか、いまから楽しみです。
4. 車中泊の冒険者!
ギルドハウス十日町の存在価値を際立たせた、もうひとつの事例。
海外への渡航はもちろんGoToトラベルの見直しなどで移動が難しいなか、他人との接触が少なく安心に感じられる《クルマでの移動》。
だからこそでしょうか。
キャンピングカーやモバイルハウスでの車中泊だったり、いわゆるVAN LIFE(バンライフ)と呼ばれる生活様式を営む冒険者の来訪が目立ちました。
昔話にあるような「どうか一晩ここに泊めてください」を受け入れることのできるギルドハウス十日町ならではの良さ、ですね。
5. 3歳児と8歳児のいる家族が住んだ!
海外から帰国できなくなるという不安が増す前の、ちょうどギリギリセーフ(!?)の時期。その母娘3人は無事に帰国し、いろいろあったなかでギルドハウス十日町を見つけ、やってきました。
PCR検査で陰性を確認したうえ、念のため2週間の自粛も経てやってきたということで、わたしたちも安心しましたね。
これが個人的にも、おそらく一生忘れられない思い出になりました。詳しくは今回のアドベントカレンダーの12月20日に、本人によって書かれるかもしれませんね。
いままでもギルドに住んだ家族は居たのですが、今回いろいろ学ばせてもらいました。日本語を話せないのに学校へ通い始めたりと、こどもたちの頑張りにはいつも励まされましたね。こちらも慣れない育児の真っ最中だったこともあり、おそらくいろいろと気を遣ってくれたのだろうと思います。
そして、そんな日常が他の住人の将来の夢を作ることにもつながりました。
そういえば、このnoteを書いている日にもその母娘に会いました。
そう、いまもご近所さんなのです!
うれしいですね。
6. 書籍『住み開き』の表紙に!
詳しくはこちらのnoteに書きましたが、ギルドハウス十日町が書籍『住み開き』の表紙を飾りました。
ギルドハウス十日町のコンセプトは《住み開きの古民家》です。
わたしがお店や宿でもなくシェアハウスでもない、そんな自分の住まいを作りたいと思ったきっかけとなった本の増補版です。
まさかこの『住み開き』の表紙を飾ることになるとは。
そして実際に「この本を読んで興味がわいてやってきました!」という冒険者が何人もいました。
コロナ禍だからこそ、これまで外に向かって非日常や刺激を求めるあまり、いざ自粛によってそれらが制限されてしまうと、肝心の日常がつまらなくなってしまった、そんなひとたちにとって、まさにいま「住み開き」が良い方向に受け止められて、自身の工夫で住まいの日常を充実させる動きがもっと広がればいいなと思います。
7. Startup Weekendのmini版を開催!
「ひとりでも多くの起業家を生んで世界を変えていく」
そんな活動目的を持ちながら世界中で展開されている起業家コミュニティ「Startup Weekend(スタートアップ・ウィークエンド)」。わたしはその新潟県版であるStartup Weekend Niigataの発起人であり代表をしています。
早いものでわたしは7年以上、このコミュニティ活動に取り組んでいます。
そして、新潟県コミュニティが7周年を迎えた2020年。わたしは新たな挑戦を試みました。
それは従来だと3か月くらいかけて準備しながら20~50名以上の規模で開催してきた起業体験イベントを、10名限定の少人数制にすることによって1~2か月ごとのスピード感をもって開催していき、参加の機会を増やして、コミュニティを活性化しよう!というものでした。
その名も「mini版」。
どうやら世界初の試みのようでした。
このmini版による少人数制イベントがとても好評で、思った以上に通常イベントに匹敵するほどの成果が得られました。また、コロナ禍にあっても少人数制であるがゆえにオンラインイベントに移行しやすかったりと、こんなご時世にピッタリとハマったようです。
2020年はmini版のイベントをギルドハウス十日町で計6回、毎回のように満員御礼もしくは定員オーバーの盛況で開催することができ、さらにコミュニティのみんなのおかげで新潟県以外でも少人数制を取り入れたいという声をいただくようになりました。
来年、mini版をいつ開催するかは未定ですが、通常のイベントとの相乗効果がもっと得られるよう改良していくつもりです。
あ、そうそう。
Startup Weekendの本格的なイベントが、地元の十日町市で初めて開催されたことも非常に嬉しかったですね。
それと、ちなみに
「ハルさんって隠居しているのに、なんで地方で起業家を生むような活動をしているんですか?」
と、よく聞かれます。
要は、Startup Weekendを通じて起業家精神あふれる愉快な仲間たちと出会うことができ、共感しあい、いろんな展開を生むことで、自分の日常が楽しくなるから、なんです。
しかも、そもそもギルドハウス十日町は、このStartup Weekendから生まれたものです。それもあって、5年以上が経ったいまもなお、ユニークな冒険者たちが次々とギルドに関わってくれてコミュニティが活性化されています。とてもありがたいことです。
8. 真のワーケーションを展開!
Startup Weekendのmini版を何回もオンラインで経験したこともあって、ギルドハウス十日町でのリモートワーク環境が格段に良くなりました。
世間ではコロナ禍で高速インターネットの需要が増えたせいか、逆に通信速度が遅くなったという時事ニュースをどこかで読みましたけど。
でも、そのおかげなのか通信事業者が回線を大幅に増強したようで、ギルドハウス十日町のインターネット通信速度が倍以上になったのです。
もともと速かったのですが、いまでは常に400Mbps以上、ときには600Mbps以上と非常に高速です。おそらく都会でもなかなかこの通信速度は出ないのではないでしょうか。
さらに技術的な話になりますがIPv6+IPoE接続という新しい方式で通信するようになったため、回線が混雑しやすいとされる時間帯でも快適です。
とにかくギルドハウス十日町のもともと速いインターネット環境がさらに、しかも格段に良くなった、ということです。
このコロナ禍ではしばしば「オンライン〇〇」「リモートワーク」「テレワーク」「ワーケーション」などの言葉を聞くようになりました。巷ではまるで新型コロナウイルスの感染拡大防止や観光業界支援として報じられている気がします。
それはそれで、それらの必要性や認知度が増すきっかけになるので良いと思いますが、個人的には新しい観光や働き方というより、もっと生き方に近いものと考えます。
コロナが終息しない状況にあって、むしろだからこそ、いろいろな冒険者が生き方の転換を求めてギルドハウス十日町に集まっています。
最近でも高校一年生から「将来、様々な所で多拠点居住をしたいと考えており、田舎暮らしを体験してみたい」というメッセージが送られてきました。
また、このnoteを書いている時点にも、ギルドハウス十日町では大学生たちがリモートで、卒業制作のやり取りをしたり、就職前の職業体験(インターンシップ)を行っています。
そんなふうに、これからの時代、ギルドハウス十日町だからこそ提供できる体験価値をひきつづき大切にしていき、冒険者たちの生き方の転換に通じていけばこの上なく嬉しく思います。
9. 記録的な暖冬!
この写真。
もしかしたら「たくさん雪が降っているなあ」と思われるかもしれません。
ですが2020年の1~2月。
例年なら道路わきに2メートルくらい積もっているはずなのに、このときが最も多かった積雪なんです。
それ以外ほとんど積もらず、全国的に記録的な暖冬・少雪となりました。
ここ新潟県の十日町市は、特別豪雪地帯です。つまりは雪国。多くの産業や文化が冬から生まれており、イベントがたくさんあるし、一年で最も暖かく過ごせて楽しい雪国の冬がわたしは大好きなんです。
そしてギルドハウス十日町の玄関まわりの除雪、さらには屋根の雪おろしはとても大変だけど、みんなでやると住人どうしの仲間意識や地域の方々との一体感が深まるから、わたしは苦に感じていませんでした。
だけど、それらの魅力が半減。なかなかどうして調子が狂いました。雪どけ水がおいしい作物を育てますし、すべては循環しているんだなと改めて痛感しています。
なので、災害級は困るけれど、こんどの冬は平年並みに雪が降ってほしいな。そう切に願います。と同時に、これからの気候変動に備えた挑戦もいろいろしていきたいです。
10. そして2021年のギルドは!?
ついに最後のトピックとなりました。
2020年もいろいろありましたね...。
ギルドハウス十日町は5周年となりました。つまり、わたしがいまの暮らしになってから2,000日を超えたということです。
もともと都会で40歳まで20年近くITのお仕事をしてきました。それが40歳で働き方が変わり、全国を3年以上も旅したことで、生き方が変容しました。
そうしてたどりついた現在の暮らし。自らの住まいに特徴的なコンセプトと「ギルドハウス十日町」という名前を付けて、わたしは常に10名前後で共同生活しながら多くの冒険者たちと関わり、ゆるやかながらも刺激的な毎日を過ごせています。
このコロナ禍にあっても、相変わらずの《新しい日常》です。
わたしが「死ぬまで楽しく暮らす」という自分本位な目的のために作った住まいですが、そんな自分らしくいられる日常が誰かの価値になっている。それがいまの生きがいです。
今回のアドベントカレンダーでも、何らかの価値を感じた体験談を多くの冒険者たちが記事にしてくれることを楽しみにしています。
さてさて。
新しく迎える2021年は、わたしが50歳となり、会社員時代に終わりを告げてから独立10周年という節目です。
果たしてどんなことが起きるのでしょうか。
キャリアや生き方を決めるうえで、机上の計画よりも行動や好奇心・冒険心を伴う《まさか》の偶発性が多くを占める。
独立してからの年月で、わたしはそんな考え方に至っています。
だから、あれこれ先々を考えず、あえて余白をたくさん作った日常に、たくさんの《まさか》な出来事が入り込んでくる今の生活が、わたしにとっての未来志向の行動の仕方なんです。
また1年、ギルドに集うみんなと楽しく暮らしていけますように。
そしてここまで読んでいただいたすべてのみなさんに感謝します。
ありがとうございます。
よいお年をお迎えください。
よかったらサポートをお願いします。もしくはギルドハウス十日町へ遊びにいらしていただければうれしいです。