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【後編】大都市マニラの光と闇②【超格差社会】

マニラ編の後編となります。
前編は下記からどぞー。

格差と国家体制の話
格差っていうのは人類が生きていく上で必ず発生してしまう現象であって避けては通れないことです。
身長も知能も容姿も遺伝的な要素が大きく、それらが所属する学校や企業、団体、その人の考え方に大きく影響します。
残念ながら人は生まれながらに等しく平等ではありません。

この格差っていうのは近代以降の人類、主権国家の「乗り越えなければならないテーマ」みたいな物であって、ここ100年位で多くの国が平等な社会を目指して建国されてきましたが、その結果特権階級を除いて全員が貧乏になるという結果に終わっています。

フィリピンは社会主義体制を敷いている国家ではありませんがこれまで数十の国を見て廻ってきた私にとって、とてつもなく格差があってそれがわかりやすく目に見える国でした。

もちろん日本も例外では無く格差がある国であって、最近では「親ガチャ」なんて言葉も有ります。
昭和の時代まではある程度皆が豊かでほぼ全員が中間層。
高度経済成長期から昭和末期までの日本を社会主義の完成形であったとみなす考えもあります。
でも最近はだいぶ怪しくなりつつあるというか既に色んな所が壊れ始めていると感じる今日この頃。
社会が壊れないように、人々が安心して暮らせるように、必ず生じてしまう格差に対しては国家が介入して均衡を図る必要があります。
実際の所、日本は多くの矛盾が有りながらもそれがまだまだ上手く機能している国であると言えます。


さてフィリピンはどうなのか…。
本記事ではその様子をお伝えするのとABBの私見を述べたいと思います。

30年に渡る不況で中間層は崩壊してしまった日本。
政府をこれからも頼りにし続けることはできるでしょうか。
私は甚だ疑問です。

この記事をご覧いただき少しでも楽しく生きるマインドを持つためのヒントになれば幸いです。

フィリピンで超人気の
ファストフードチェーン「ジョリビー」
あらゆる国ではマクドナルドの店舗数が1位ですが、
ここフィリピンでは店舗数の1位はジョリビーです。
ちなみに旨くも不味くも無い。

超格差都市マニラ
表題にも使わせていただいたワードですが、マニラの中にある二つの対照的な地域の様子を紹介したいと思います。

①マカティ地区
まずは金融街を擁し、富裕層、外資企業の駐在員が多く住むエリア。

多くのタワーマンションがそびえ立つ。
綺麗なショッピングモールも複数あり、
ユニクロやスターバックス等の有名チェーン店も複数ある。
日本と変わらない生活ができそう。

基本的には女性が夜に一人歩きしても大丈夫なエリアと言われている。

オーガニック専門の食料品店。
お金に余裕がある人じゃないと
こういう所には足は向かない。
無論私の足も向かない。
二郎食べたい。

マカティの中心部から少し歩くと繁華街があり、日本人駐在員向けの夜のお店なんかも乱立している。
どこからともなく「いらっしゃいませー!」と日本語が聞こえてくるマカティの夜。

コンビニの前でドアを開け閉めして客のつり銭を貰う裸足の少年達。
兄弟だろうか。
ここがフィリピンであることを再認識させられる。

②トンド地区。
マカティとは全く違う地域。
それがトンド地区。
東洋最大のスラム街と呼ばれている。
マカティからわずが15㎞程。
基本的には観光客は危険な為行かない方が良いと言われているエリアだ。
貴重品やパスポートはホテルの金庫に入れ、最低限の現金を持って向かう。
流石に夜の訪問は辞めておいた。

旅初心者の訪問は推奨しない。
貴重品は持参しないこと。
リスペクトの心は持参すること。

マカティとトンド。
この二つの地域はわずが15㎞位しか離れていない。
距離的には品川から新宿程度。
同じ街なのにそこに住む人々の生活にここまで隔たりがある都市を私は知らない。
港区と足立区とかの比じゃない。
下のgooglemapを見て欲しい。
双方の地域のマクドナルドの店舗の有無が明確な経済的格差を示している。

マカティ地区
トンド地区

上記の画像は豊かなマカティとは違ってトンド地区の人々はマクドナルドを購買する経済的能力が無いということを明確に表している。
同じ街なのにも関らずだ。
日本ではマクドナルドの購入さえ贅沢であると考える人はそう多くは無いと思う。
最低時給でも1時間働けばセットメニューにありつける。
でもトンド地区の住人にとってはマクドナルドは高級ハンバーガー店だ。
セブンイレブンやジョリビーで検索しても概ね同様の結果である。

人口密度の高い地域でこのような場所は日本には無い。
大阪の西成あいりん地区でもコンビニは有る。

そしてトンド地区はあの有名な「スモーキーマウンテン」を擁する。
有名旅系のユーチューバーも多く訪れているのでご存じの方も多いと思う。

実はこのスモーキーマウンテン。
表向きは消滅したことになっている。
だが確かに今でもゴミ山を漁る少女をこの目で見た。
2024年3月の話。

この街にはマニラ都市圏中のゴミが集まる。
ここに暮らす住民はそのゴミから売却できそうな物を
漁り、それを売り僅かな現金収入を得る。

ABBの感想。
この危険と言われているトンド地区。
やはり「言ってみないとわからない。」百文は一見にしかず。
恐いお兄やん達に囲まれることも無く。
誰かの視線を感じることも無く
笑顔がはじけるかわいい子供達に「where you from!!」と聞かれることも無く。
拍子抜けする位に普通に何事もなく2時間位歩き回ることができた。

月並みな感想にはなってしまうけれども、確かにそこには貧困がある、だけれども経済的な貧困が必ずしも不幸に直結するわけではないということを認識することができた。

現実としてここに住む人々の多くは選択肢が限られている。
大学に進学したりマカティで一人暮らしなんてことは夢のまた夢の世界。
確かにドラッグは蔓延しているし、病気になったら満足な医療に気軽にアクセスすることは難しいのかもしれない。

でもトンドの住民達はなんだか楽しそうに暮らしてる。
多分この街での孤独死はゼロだ。

昼から呑んだくれてるおっさん達。
フィリピンは一般家庭でカラオケが普及してる。
一杯ひっかけさてさせてもろた。
何も請求されるようなことは無かった。

某ユーチューバー達のように
「子供達のキラキラした笑顔で逆に元気をもらった!」
「貧しいけど心は豊か!」
的なありきたりな感想でこの記事を終わらせるつもりは無いのでもう少しお付き合いいただきたい。

【ABB的考察】なぜ彼らは楽しそうに暮らしているのか。

①フィリピンの貧困率
ファクトベースで自由主義経済の恩恵、トリクルダウンによってフィリピンの貧困の人達は減っていっている。

実際の所食べるのに困っているような様子は見受けられなかった。
なんならお腹出てる人が多い位。
個人差はもちろんあると思うけど、日本とは対照的に年々生活が改善されてる。
これは精神面の幸福にダイレクトに寄与すると思う。

②キリスト教と助け合いの精神。
我々日本人を含む東アジア一帯の住む人の多くの言動は業(カルマ)をベースとしている気がする。
・徳を積めば幸せになれる。
・悪いことをしたら来世は人間になれない。(ワンチャン虫とかになる。)
・現在の苦しみは前世の悪行の結果。
加えて孔子的な考えを併せ持つ。
・自分がされたら嫌なことは人にしてはいけない。
・なぜ奪ってはいけないのか。それは相手が悲しむから。

自分がやった悪いことは自分に返ってくる。
つまり自己責任の世界観。

でもフィリピンの人は根本の考え方がちょっと違う。
なぜなら彼らはキリスト教徒(かつカトリック)。
なぜ殺して、奪って、犯してはいけないのか。
それは神の教えに反するからだ。

困っている人がいたら助けるのも神の教え。
懺悔すれば許されるのも神の教え。

「困っていても誰かが助けてくれる。」
「間違ったことをやらかしても教会に行って懺悔すればおk」

フィリピンの南国の気候も相まって、この国では
「まぁいっか。」「なんとかなるっしょ。」「明日から本気出す。」
「誰かがやるでしょ。」「俺のせいじゃない。」

が蔓延している。
これは決してそれが悪いとかの話にリードしたいわけではない。(むしろ褒めてるし羨ましい。)
他責思考でダラダラ楽しく暮らす。
これがカルチャーであってフィリピンなのだ。

話がずれるけど治安の悪い国ってキリスト教とかカトリックの国が多い気がする。
etc,メキシコ、中南米各国、パプアニューギニア、南アフリカ。
※やっぱりキリストの教えが影響しているのかな?
この辺りの事情詳しい人いたら教えて下さい。

③競争の発想がない
これはトンド地区をはじめとした貧困エリアの話であって、エリート層は違うとは思う。
日本では気付かない内に遅くとも高校受験辺りから偏差値で階層の輪切りが暗に行われている。

小さい時は「将来は何になりたいの?」
大きくなると学校の偉い人達から「君たちは無限の可能性を秘めている!」とか言われて夢と希望を胸に抱いての努力と忍耐が至上命題と煽られる。

常に競争をさせられ、他人と比べて自分はどうなのかいつも意識している。
大人になっても出世競争を強いられるし敗北者は窓際に追い込まれる。
良い年して実家に住んでると「こどおじ」認定される。

トンドの人達には選択肢が無い。
夢を見せらることもない。
今日食べるものがあって、友達がいて家族がいる。
それで幸せなんだ。


まとめ
昔の人類は100人前後の集団で生活していたらしい。
トンドは恐らくそれに近い。
ワンオペ育児なんてありえないし、孤独に死ぬこともない。
誰かが働くから今日も食べるものがある。
日本は家族やコミュニティの有り方を見直すべき段階に入ってきているのかもしれない。

仕事が嫌になったら辞めたって良い。
他に良い仕事がきっとある。
辛いことからは全力で逃げたって良い。
多分それに大きな意味は無い。
頑張った所で俺達私達の99%は大谷翔平にはなれない。

でも1%位凄い人がいる。
最初に書いたように人間の能力には差がある。
彼らが世の中を引っ張っていく。
そういう人達を妬んだり足を引っ張ったりしてはいけない。
良い意味で諦めよう。
任せよう。
妬むのはやめよう。
出る杭は打つな。

今日ご飯を食べて布団で寝れることに感謝しよう。
家族を友達を大切にしよう。
困っている人がいたら手を差し伸べよう。
困ったら人を頼ろう。
現状に満足して楽しく暮らそう。

それでは。


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