ちゃん

金利商品を売ったり買ったりしてます

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最近の記事

ゆっくりと、しかし確実に

今日は、田村委員が講演を行った。 どうやら、一部では(私を担当している証券会社の担当営業等)田村さんの今日の挨拶と記者会見は、タカ派と受け止められたらしい。 個人的には、そもそも銀行出身の田村委員は、タカ派ではあるものの、その割には特段タカ派な発言があったとは思わなかった。 ただ今日の田村委員の発言を受けて、個人的に思ったことは2点。 1.8月頭の株暴落後、内田副総裁、植田総裁、氷見野副総裁、高田委員、中川委員、田村委員と、公の場で発言してきた。内田総裁こそ、株暴落直

    • 株とFCIと日銀

      2024年3月の決定会合の記者会見で、植田総裁はこのように言っている。 「今後の主たる政策手段は短期金利になるというふうに金融政策を 運営していきます。その短期金利の設定の仕方ですけれども、これは大まかな言い 方で恐縮ですが、普通の短期金利を政策手段にしている他の中央銀行と同じように 設定していくということになるかと思います。従って、物価・経済見通しに従って 適切な政策金利水準を選んでいくということになると思います。ただし、その際に、 現状、2%の物価の持続的・安定的な実現

      • 2024年8月28日に発表された自然利子率に関する日銀の論文について

        日銀が今日「自然利子率の計測をめぐる近年の動向」というタイトルの論文を発表した。 数多くある自然利子率モデルを以下の4つのカテゴリー化して説明している。 1. 時系列モデル 概要: 金利データの長期トレンドを抽出し、そのトレンドを自然利子率と見なす方法です。このモデルは、過去のデータに基づいて金利の傾向を捉えるため、比較的シンプル。 メリット: 経済理論に依存せず、実際のデータに基づくシンプルで計算速度が早い。 デメリット: 経済の構造変化や短期的な要因を十分に反映

        • 日本のターミナルレートについて考えてみる

          2年ぶり位の投稿 昔米金利が利上げサイクルに入る前に、手前の金利と2s10sのカーブの分析の投稿をしたが、似たような事を日本でもやってみた。 円金利市場では、OISマーケットが確立されたのがあまりにも遅く、短期金利のヒストリカルデータに問題があるので、便宜上1年スワップを利用。 まずは2000年からの2s10sと1yスワップの推移を、2006-2008年の利上げサイクルにおいては逆相関になっている事が目視できる。しかし、その後長期に渡る低金利時代に突入し、投資家がドゥレ

        ゆっくりと、しかし確実に

          インフレが長期金利に起こすジレンマ

          大分金利が上昇してきたので、10年スワップ金利を回帰分析で見直してみます。 10年スワップ金利を、以下の変数で回帰分析を行ってみます。 1) FED's Asset Balance Sheet in % of GDP, 2) 5Y fwd 5Y Inflation Swap, 3)1y3m/2y3m OIS spread, 4) 3m fwd 3m OIS model 10y swap = -0.01507696 * b/s + 0.65137984 * 5y5y

          インフレが長期金利に起こすジレンマ

          ドル金利カーブのあるべき形について

          先日の投稿であったように市場の利上げの織り込みがかなり早まりました。改めてOIS金利を使ってカーブを見てみましょう。 まずは現在のカーブとDot Plotを比較してみましょう。Dot plotの中央値は、2022年は0.5回、2023年は3回、2024年は3回となってます。現在のカーブは、2022年までに約2回、2023年に約2.5回、2024年に約1回となってます。2024年末までの利上げの合計はDotの方が多いけれど、より早期の利上げの織り込みになっています。先週から手

          ドル金利カーブのあるべき形について

          風見鶏パウエル

          前回の投稿から大分経ってしまいました。。 さて、以前からの市場の動きをざっくり振り返ります。 あらゆるコモディティの価格が上がりました。原油価格は80ドルを超え、インフレ懸念が上昇。中でも英国でのインフレは深刻です。大した経済成長が見込めないイギリスは、1970年代にあったようなスタグフレーションになる可能性すら出てきました。BOEは近々利上げを行うかもしれません。それを見た米金利市場においても、インフレ懸念が上昇し、2022年の利上げ織り込みが上昇。現在、2022年末に

          風見鶏パウエル

          今回のFOMCで弾切れ

          2022年のDOTは、恐らくWallerが動いてClaridaが動かずで、中央値が0.25となった感じでしょう。2023年は3回の利上げ、前回の2回から1個増え、今回新たに出てきた2024年も3回の利上げという結果。2024年末までに政策金利は1.75%辺りに来るという予想のようです。Longer Runは2.5%のままなので、もしDot通りの利上げサイクルがやってきて、2025年も同じペースで利上げが行われる場合、2025年末までには利上げサイクルは終了という事になりま

          今回のFOMCで弾切れ

          テーパリングが金利市場に与えるインパクト

          市場はテーパリングが年内に始まると思っています。 実際にパウエルも年内スタートをJHで示唆しました。("At the FOMC's recent July meeting, I was of the view, as were most participants, that if the economy evolved broadly as anticipated, it could be appropriate to start reducing the pace of

          テーパリングが金利市場に与えるインパクト

          シャドーFF金利

          モンサテで第一生命経済研究所の藤代さんが発言されていたシャドーFF金利。 久々に聞いた単語ですね。 リーマンショック後に、FEDは0金利まで利下げを2008年に行って以来、米国では実質的に金利を下げることができなくなり、QEを始めたわけですが、そのQEのインパクトをPolicy Rateに置き換えると、実際どの程度まで利下げをしたことになっているかというのをモデルで計算したものです。 Atlanta FedがだしているWu-Xia Modelを見てみました。 以前も使

          シャドーFF金利

          米国CPIの感想

          ヘッドライン的には弱い物だった。マーケットの初動はとりあえず5s30sが大スティープ。手前は買われて、すぐにツイストスティープ。その後、大ブルフラットニングをし、今ようやく落ち着いたようで5s30sは108.25辺りまで戻ってきました。この水準は昨年の8月末頃の水準で、リフレとか言っていたあのカーブはどこへ?といった感じになってしまいました。 とりあえず、百聞は一見に如かずという事で、CPIの中身を見てましょう。 中古車が7月に引き続きマイナスとなり、AirfareとLo

          米国CPIの感想

          ビッグボスは誰か?

          当たり前ですが、市場はより買いが多い場合、価格は上昇します。そして、より売りが多い場合は価格は下落します。 瞬間毎に買い圧力が強い時もあったり、その逆があったりするので、Tick Dataでマーケットを覗くと凄くノイズが多いチャートになります。なのでHigh Frequency Tradingの分析においては、Kalman Filter等を使ってデータのクリーンアップを行い、データ分析を行う事が多いです。(これらの機械学習を使った手法等はいつか気が向いたら投稿します) し

          ビッグボスは誰か?

          コロナデルタ株と米金利

          先週発表された8月の米国NFPの数字は市場サーベーを大幅に下回りました。Service&Hospitalityが0というのが大きな要因のようです。これは8月中にデルタ株への懸念が高まり、このセクターでの雇用が発生しなかったことが原因だと考えられます。 では、デルタ株がどのように金利市場に影響を及ぼしてきているかというのを考えてみようと思います。 まず、今回はコロナ感染者が増えるか減るかというのを、基本再生産数(R0)というのを使って見てみましょう。 イメージしやすいよう

          コロナデルタ株と米金利

          テーパリング=買い?

          昨日はHolzmannの発言で欧州主導で金利上昇。JGB先物は、RXに連動されオーバーナイトに下げる。USTは月末で、さらに8月はRefunding Monthなので月末買い多めだったからか、NY朝はビッドが強く、対JB,RXでベータ値で調整しても大分アウトパフォーム。 もしECBが年内にTaperingという事になる場合、2014年とはだいぶ状況が変わってきますよね。 今年の春位あたりから米国でのTaperingはよく話題に上がって来ていて、過去の経験上Tapering

          テーパリング=買い?

          米金利は低すぎる??

          個人的に8月は難しい1か月でした。 季節性もありUSTの5s30sは大きくフラットニング。中でもFEDタカ派メンバーのタカ派コメントで5年主導のベアフラットはなかなかのものでした。7月のFOMC Minutesにも、Taperingを示唆する内容がしっかり載っていて、ひょっとしたらパウエルが梯子はずしてくるかも?!って思った人が多かった事でしょう。それもあって、S&Pは一時MTDでマイナスの時も。さらに中国がTech系への規制を厳しくするかも等のヘッドラインでアジア株はアン

          米金利は低すぎる??

          はじめに

          新卒から証券会社で働いてました。現在はヘッジファンドでPMやってます。 こちらでは、ブログ兼自分のマーケットへの考えの整理のために使っていきたいと思っています。 全て私個人の見解であって、私が勤めている会社のものではないという事をご理解ください。

          はじめに