ドル金利カーブのあるべき形について

先日の投稿であったように市場の利上げの織り込みがかなり早まりました。改めてOIS金利を使ってカーブを見てみましょう。

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まずは現在のカーブとDot Plotを比較してみましょう。Dot plotの中央値は、2022年は0.5回、2023年は3回、2024年は3回となってます。現在のカーブは、2022年までに約2回、2023年に約2.5回、2024年に約1回となってます。2024年末までの利上げの合計はDotの方が多いけれど、より早期の利上げの織り込みになっています。先週から手前が大きく金利上昇するなかで、10年などの長期金利は低下をし、ツイストフラットニングしたのはこれが要因だと考えられます。なぜ早期の利上げ→利上げの合計回数上昇にならないのか。。。それは以前からしつこく話しているターミナルレートに関係していると考えています。下のチャートでもわかるように、EDZ2の金利上昇10月から始まり、最初は5y5y(ターミナル金利のプロクシー)は上昇していたが1.9%辺りで頭打ちして、低下していたことがわかります。

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昨日のベアスティープにおいては5y5yの上昇が起こりターミナルレートが再度上昇したことがわかります。

早期利上げが行われるとフォワードインフレーションが下がり、結果的にターミナルレートが上がりにくくなり、長期金利が上昇しないという負のスパイラルに入っている様子です。直近、改めて顕著になったのは、NASDAQなどはインフレ又は金利上昇を懸念していることです。ひとえに金利だけが要因ではないですが、金利上昇への懸念で株価が9月以降低迷していたのは確かです。中国でのナンセンスも少し軽減してきて、リスクオンになりやすい環境になって来ているので、11月にテーパリングスタートがされながら年末に向けて株価が上昇すると、スタグフレーションへの懸念も後退してターミナルレートの見直しが行われると考えています。しかし、利付債の発行が11月減る事を考えると、需給的には5-10年セクターのオーバーウェイドしやすい環境のように感じられます。しかし、冒頭に話した様に、手前の金利がDotよりも高い位置にいるので、もしインフレ懸念が年末から来年年初に向けて落ち着く場合、手前のロングもワークしやすい状況です。リスクリワード的には50:50の様に感じるので、もう少し引き付けたいところです。

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上のテーブルは、2022、2023,2024年の利上げのシナリオをいくつかシミュレーションしたものです。それぞれの利上げパスとターミナルレートを使って、カーブやアウトライトのフェアバリューを計算してみました。(※ヒストリカルデータの利便上、全て3mL swapで計算してます)

それぞれの利上げシナリオに確率をなんとなく割り振ってみました。それらの加重平均が、"weighted mean"/”wt ave"という形で、期待値としてあらわしてあります。2s5s10sや5s10s30sなどのバタフライは現在のカーブと然程乖離していない事がわかります。しかしカーブで見ると、ほぼ全カーブがフラットすぎる事がわかります。そして、2年金利を見てもらうと、現在の2年金利は期待値よりも高い所にある事がわかるので、これ以上ショートを引っ張る事が難しくなってきていることがわかります。しかしながら、インフレがもし収拾のつかない事になった場合緊急利上げ等のテールシナリオを考えたとき、フェアバリューまで2.5bpsしかないのでロングする価値もあまりないというのが、先ほど言った50:50であるという理由です。

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次に、先ほど求めたWt aveの利上げパスを使い、(2022年1回、2023年2.65回、2024年2.9回。。偶然Dotにかなり近い)ターミナルレートだけパラレルシフトさせた時のフェアバリューを出してみました。そして、EVという縦軸に、それぞれのターミナルレートに確率を割り振って、期待値を計算しました。つまり、このEVが、それぞれのカーブに対する総合フェアバリューになります。現在のカーブと比べて、Diffが大きい所をつつくと長期的には勝てると考えています。ちなみに、このフェアバリューモデルは2013―2019年のデータを使いバックテストをしましたが、Shrpe Ratio:1.8、hit ratio:0.8でした。

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株の市場参加者が最も見ている金利指標は10年金利です。10年金利さえ急上昇しなければ、株価が急に下落する可能性は低いと考えます。

イギリスはともかく、米国において今後財政も出てきますし、経済成長はしばらくは見込めると考えますので、スタグフレーションに入る可能性は依然低いと考えられます。

まとめると、1)超長期金利が低すぎる、2)結果10-30がフラットすぎる、3)これらは米国経済成長懸念とインフレのコンボでスタグフレーションへの懸念の表れ、4)わかりやすく成長懸念が消えたサインは株価上昇


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