今回のFOMCで弾切れ

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2022年のDOTは、恐らくWallerが動いてClaridaが動かずで、中央値が0.25となった感じでしょう。2023年は3回の利上げ、前回の2回から1個増え、今回新たに出てきた2024年も3回の利上げという結果。2024年末までに政策金利は1.75%辺りに来るという予想のようです。Longer Runは2.5%のままなので、もしDot通りの利上げサイクルがやってきて、2025年も同じペースで利上げが行われる場合、2025年末までには利上げサイクルは終了という事になります。

そして、記者会見でのパウエルの発言の中で、テーパリングは、"middle of next year"に終わるというのがありました。この発言にはびっくりしました。

今回のFOMC前に思っていたのは、今だテーパリングのアナウンスメントすらしていないしどういったペースで買い入れを減らしていくかすら言っていない状態で2022年に利上げを示唆することは難しいから、2022年のDotは0回というのをメインシナリオに置いていました。この発言を受けて、マーケットは2022年12月の利上げの織り込みを75%から85%へ加速させました。そしてカーブは大きくフラットニング。

2024年末までに1.75%というのが分かったにも関わらず、先日記事に投降したImplied Terminal rateは以前1.55%辺りをウロチョロしています。おそらくこれに関しては、実際の経済データの改善が必要なのでしょう。特にアクティビティデータが重要で、いかにコロナ渦から正常へ戻っているかを示す物が大事だと個人的には思ってます。それが見れたら、さらなる経済成長への期待も上がり、金利上昇へつながる可能性があると考えます。

そしてテーパリングを始める条件に関して聞かれた際パウエルは「物凄く良い雇用統計・NFP(9月分)である必要はない」と言っていました。

年内テーパリングはほぼ確定です。そして、テーパリングは来年の中頃終わるとの事。月15Bずつ減らす感じでしょうか。もし、11月スタートだと6月に終わるペースです。その場合、利付債の発行減額と合わさってタイミング的には非常にいいので、11月のFOMCでは、アナウンスメントと同時にスタートという可能性はまだ残っていると思います。

今回の発表を受けて、結論としては2024年末時点で1.75%というDotなので、これ以上鷹派のメッセージを市場に送る事が難しくなってしまいました。これ以上鷹派になる=Longer Runの再調整という事になります。現状のSEPの経済成長そしてインフレ展望においては、タカ派の弾は使いきったと考えるのが自然でしょう。

笑えるのがカーブがツイストフラットしていて、30年債の金利が1.83%しかないという事です。Fedが正しいならば今30年債を買った人が5年後に儲かっている可能性は0%に限りなく近いでしょう。しかし、Fedが2024年末に1.75%といっても、マーケットは一切信用していないみたいで、マーケットは依然1.125%というレベルで金利デリバが取引されています。先ほど申し上げた通り、マーケットがFedを信じるためには、もう少しアクティビティデータの改善が必要だという事でしょう。

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