テーパリング=買い?

昨日はHolzmannの発言で欧州主導で金利上昇。JGB先物は、RXに連動されオーバーナイトに下げる。USTは月末で、さらに8月はRefunding Monthなので月末買い多めだったからか、NY朝はビッドが強く、対JB,RXでベータ値で調整しても大分アウトパフォーム。

もしECBが年内にTaperingという事になる場合、2014年とはだいぶ状況が変わってきますよね。

今年の春位あたりから米国でのTaperingはよく話題に上がって来ていて、過去の経験上Tapering=買いだって言ってる人もいます。実際にTaperingが始めってから米金利はブルフラットをしました。

しかし、2014年を振り返ると、あの時は日銀もECBもQE真っ最中で日銀に至っては黒田バズーカといわれる追加緩和までやっていた時です。時は流れ、日銀はその後2016年にYCCを導入した際に、金融緩和の検証を行い、超長期国債を買う事から得られる緩和効果は然程ないというペーパーを出しました。それ以来黒田総裁は幾度なく、極度な超長期の低金利は人々のインフレマインドにマイナスの影響をあたると言い出し、イールドカーブをスティープ化するために超長期国債の買い入れを少しずつ減らして来てます。

FEDでも、Vice Chairのクラリダとパウエルも今年に入ってから、繰り返しインフレ期待値の重要性について話しています。インフレ期待値が実際のインフレを動かすものだと彼らは言っているのですが、目標インフレターゲットを2%に置いていながら、10年金利が1.33%ってのも滑稽な話です。日銀は自ら10年金利をYCCで0%に固定しながらインフレ2%を目標に掲げているので、一般人にはさらに理解に苦しむ所があります。そのわりには、日経平均は然程上がらない。そりゃ、皆、REITや不動産投資をしたくなりますよね。

何はともあれ、2020年のコロナショックを受けて、従来の量的緩和から、財政+YCCという形に世界中の中銀がシフトしたのです。YCCとFAITと形と言葉は違いますが、意味合いはかなり近いものがあると思います。今年は、色んな中銀が2020年に行った異次元の緩和から少しずつ正常化へと進めています。BOKは既に利上げを行いました。ニュージーランドも利上げをすることを示唆しています。

そもそも量的緩和というのは需要サイドを刺激するのに効果的なわけですが、現在の世界経済は供給サイドが問題になっています。QEをやる限界効用値が低すぎるわけです。

世界中の中銀が買い入れを減らしている中で債券は非常に買いにくいです。ましてや、ACMモデルでみる米金利10年のタームプレミアムは現在マイナスです。これを3年間保有したときに益を実現できるかどうかを考えたときには非常に難しい印象を受けざるを得ません。そんな中「テーパリング=買い」でブルフラットナーポジションを取り出している人達がいます。これらの人達がフォワード金利で物事を考え始めたときに、金利上昇が起こるのではないかと思っています。しかし、FEDのRRPの利用額は1兆ドルを超えています。金余りがひどいです。(なんでこうなってしまっているかってのは今度気が向いたらブログにしたいと思います)こんな金余りの世の中で、債券買いにくいとなると、株か社債くらいしか買うものがないってのも事実です。この金余りなのに債券買えないってのが米株が上がり続ける構造的な理由の一つだと思います。

なにはともあれ、テーパリング=買いって考えはもう一度再考の余地ありだと思います。

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