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中沢新一著『レンマ学』『精神の考古学』『構造の奥』などを読む

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中沢新一氏の著作『レンマ学』『精神の考古学』『構造の奥』などを読み解きます。
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2020年10月の記事一覧

般若、空、否定でもなく肯定でもない。 −中沢新一著『レンマ学』を精読する(3) 40-50ページ

ひきつづき中沢新一氏の『レンマ学』を丁寧に読んでみる。 『レンマ学』が探求するのは人間の知性である。 人間の知性とはどういうものか?古来からの哲学や宗教、近代の科学まで、人間の知性とは何かという問いに答えようとする様々な思考が繰り広げられてきたが、実はまだこれという正解はない。 人間の知性がどういうものだか、実はよく分かっていない。 分かっていないのに、いまや人工知能(AI)の時代である。 人工知能は大きく言えば人間の知性を真似るシミュレーションする技術である。人間

中沢新一著『レンマ学』を精読する(2)ー「縁起の論理」より、私は他者であり、他者は私である

中沢新一氏の『レンマ学』を読む。 互いにはっきりと区別された物事を、並べて積み上げたものとして世界を理解するのが「ロゴス」的な知性である。通常「知性」というと、明確に定義され互いにはっきりと区別された言葉を理路整然と積み重ねていくことのように思われているが、ロゴスはまさにそうした知性のあり方である。 ◎私は私であって他の誰でもないし、他の誰かは私ではない。 ◎私と他者は最初から、完全に分かれており、別々である。 その別々のところから初めて、つながりであるとか絆であるとか