幸政

千葉氏絡み&ショートショート的な話を時折書いています。

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マガジン

  • 千葉純胤の時空移動 ‐time travel‐

    千葉純胤という高校生がご先祖の千葉氏の元に時空移動(1198年~)し、鎌倉初期の様々な謎に迫る小説です。

  • 転生記外伝

    『千葉篤胤の転生記』『千葉純胤の時空移動』の外伝となります。

  • 【創作大賞2022】源氏が勝つとは限らない

    創作大賞2022 応募作品です。 『源氏が勝つとは限らない ー歴史転生バトルロイヤルー』 それぞれの異なる時代から様々な世界線の未来人が治承の世(源平合戦)に集う。 歴史転生バトルロイヤルがここに開幕!

  • ショートショートnote杯 応募作品

    ショートショートnote杯 応募作品です。杯の詳細はコチラ https://note.com/simpeiidea/n/n494a3af60f97

  • 千葉篤胤の転生記~治承・寿永の乱

    千葉篤胤という高校生がご先祖の千葉氏に憑依転生(1179年~)し、治承・寿永の乱(源平合戦)に巻き込まれる小説です。

最近の記事

宝治合戦_05 千葉純胤の時空移動

泰胤は純胤の問いに返した。 「安達景盛殿は実朝様がお亡くなりなった時に出家した身。わざわざ高野山を下山してまで下界のいざこざに口を挟むとは。しかも『三浦を滅ぼせ』とは申すまい」 「泰胤、そうは云っても承久の乱の時には下山して北条の談義に加わっている御仁ですよ。大事な節目には武人としての役目を果たそうとしています」 「ではこの度の下山にはなんの節目と云える。もう反執権派は評定衆から降ろされたのだぞ」 「そこです。そこがナゾなんです。執権としては反執権派を追い出した。旗印

    • 宝治合戦_04 千葉純胤の時空移動

      -下総 千葉宗家の館- 館奥には一人の少年と一人の男がいた。 少年は千葉頼胤。男は千葉泰胤。 千葉頼胤が妙見像の前になにやら唱えていた。 その刹那、襖の奥でガタンガタンと大きな音が響いた。 そして襖が勢いよくバッと開き、一人の男が立っていた。 「相変わらず来てしまいました。純胤です」 純胤は少し照れ笑いしながら入ってきた。 「あれから...結構経った感じですね。」 純胤は頼胤を見渡し、頼胤の成長度合いに感嘆した。 純胤は泰胤に尋ね、泰胤は宝治二年と答えた。

      • 宝治合戦_03 千葉純胤の時空移動

        -下総 千葉宗家の館- 館奥には一人の幼子と一人の男がいた。 幼子は千葉頼胤。千葉家現当主である。 男は千葉泰胤。亡き胤頼の父である時胤の弟で、胤頼の後見人である。 千葉頼胤が妙見像の前になにやら唱えていた。 その刹那、襖の奥でガタンガタンと大きな音が響いた。 そして襖が勢いよくバッと開き、一人の男が立っていた。 「どうも純胤です!」 純胤は大音量で元気よく声を出した。 「あれから...あまり経ってなさそうですね」 純胤は泰胤に尋ねるも、寛元元年と答えた。

        • 宝治合戦_02 千葉純胤の時空移動

          「『これから千葉一族最大の争乱が起こる』とは如何様な」 泰胤は純胤に訊ねた。 「そうですよね。気になりますよね」 純胤は応えつつ続けた。 「先ずは近々の話です。この度、不幸なことに千葉家は当主が切り替わろうとしています。その折は一族はおろか、他家にも影響がございます」 純胤はひと呼吸おいた。 「代替わりとは千葉家でも荒れるものです。それが北条家ならどうでしょうか」 泰胤はハッとした。 「今の北条家の当主は北条泰時、三代目執権です。たしかもうお年は」 泰胤はも

        宝治合戦_05 千葉純胤の時空移動

        マガジン

        • 千葉純胤の時空移動 ‐time travel‐
          38本
        • 転生記外伝
          17本
        • 【創作大賞2022】源氏が勝つとは限らない
          15本
        • ショートショートnote杯 応募作品
          11本
        • 千葉篤胤の転生記~治承・寿永の乱
          26本
        • 【β版】千葉篤胤の転生記
          16本

        記事

          宝治合戦_01 千葉純胤の時空移動

          -下総 千葉宗家の館- 館奥には三名の人影があった。 一人は病を患っているのか床に臥しており、その隣に一人の男と童が座っており、伏している男を心配そうに見つめていた。 座している男が声を掛けた。 「兄上、しっかりしてくだされ」 床に臥せている男はかすれた声で辛うじて答えた。 「泰胤。私はもう永くはない。あとは上総にいる秀胤と共に頼胤を頼む」 臥せている男はそう云いながら童のへ視線を向けた。 泰胤と呼ばれた男は話を続けた。 「兄上。父上から昔聞いた千葉一族の秘

          宝治合戦_01 千葉純胤の時空移動

          【懐】義時・信光・胤通〈転生記外伝〉

          江間義時と武田信光、千葉胤通は鎌倉の浜辺から海原を見渡していた。 若き頃から心を通わせていた三人だが、こうして三人だけで逢うのはいつぶりだろうか。信光が義時へ声をかけた。 「相模守に任じられたそうだな。おめでとう」 義時はありがとうと照れくさそうにはにかんだ。 胤通が重ねて語る。 「僕は国分でちょろちょろでやっとやりくりしてるのに。方や甲斐・安芸の守護で、方や相模守。凄いよね」 信光は千葉一族が兄弟仲良く結束固く皆で下総を分け合っているからそれもいいじゃないかと返

          【懐】義時・信光・胤通〈転生記外伝〉

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          北条館奥の間には北条義時と武田信光と千葉胤通の3人が囲うように座った。 胤通の両目は朱く、今は完全篤胤状態である。 それぞれ立場はあるもまだ二十歳前後の若者同士、堅苦しくなく話を重ねていた。 「一年半前はそれぞれこんな世の中になるとはおもってなかったよね」 義時が信光と篤胤に語り掛けた。 一年半前は篤胤自身は令和で高校生をしていたのは特異としても、義時は伊豆、信光は甲斐、胤通は下総、それぞれ一豪族の子でしかなく、ただ平家の影に押さえつけられて日々暮らしていた。 そ

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          壇ノ浦には何百艘もの船が平家・源氏共に入り乱れていた。 もう戦自体の勝敗は決していた。 平教経は船上にて至るところで沈みゆく舟艇を見渡していた。 つい先ほどまで船上にて教経と源義経は激しく剣を交えていたが、義経は不意に剣戟を止め、教経から離れていった。 遠目に義経が飄々と船を飛び交い、去って行くのを眺めていた。 決着はつかずか… 教経は壇ノ浦が最期の戦いと悟っていた。 己の戦に明け暮れた半生の終の一騎打ちが勝利でも敗北でもなく相討でもなく、ただの引き分けとは据わ

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          ー近江国粟津ー 源義仲は源義経と一騎打ちの死闘を繰り広げていた。 剣戟の響がこの場の空気を揺るがしている。 しかし義仲はじわりじわりと押されている事を痛感していた。 なんだ此奴は。 義経には隙がない。 隙どころか感情も感じさせない。 時折、微笑みをこぼす。 闘いそのものに歓びを感じているようにみえる。 義仲も最強と称えられ全国に名を馳せたが義経は違う畏怖を憶える。 奴に並ぶ者はいない、正に無双。 巴が云っていたな。 義経と出逢ったら逃げてと。 そんな

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          平維盛は倶利伽羅峠での大敗の将として京へ戻るも憔悴していた。 富士川で不覚を取り、倶利伽羅峠でも敗北をした。 源義仲が勝利した勢いで京へ攻め入るとの噂でもちきりだった。 ーこんなはずではなかったー ユキミツから告げられていた世界。 それは揺らぐことのない平家の世が数百年も続いている時代であった。 それが今、目の前で崩れようとしている。 「そんな世は黙っていてもこねぇ」 平教経が維盛へ言い放った。 平維盛と平教経。 同じ平家一門であり、同じく躰の中に未来人が

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          頼朝は館近くの小高い丘から広々とした海辺を見渡していた。 丘には心地よい風が吹いていた。 頼朝は幼少から今までを振り返っていた。 都では源氏の棟梁として雄々しく振舞っていた父義朝や、強さだけならすでに父に並ぶだけの畏怖を放っていた兄義平と共にしていたが、10代前半で母を亡くし10代半ばで平治の乱にて父も兄も亡くして頼朝の取り巻く世界が一瞬にして変貌した。 しばらくは自身も殺されてしまうという恐れに包み込まれていたが、平清盛は哀れと思うたのか命までは取られることなく伊豆

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          シンジは鞍馬山を一昼夜駆け続けていた。 ーしぶといねー シンジは追いながら呟いた。 シンジはある童を追跡していた。 いや、童と片づけていい相手ではない。 なんせ一昼夜も山中で大人から逃げ続けれる童などそうはいない。 半刻ぶりに童の影を察知した。 ー今度こそは逃がさないー シンジは足を速めた。 シンジの体は『借り物』である。 シンジは遥か未来からこの世に来た。 シンジがいた時代は『平成』 この借り物の躰は武蔵坊弁慶と呼ばれていた。 弁慶は頑丈だし俊敏だ

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          平教経の頭の中に「スミレ」が現れたのは教経が十代半ばの頃だった。 はじめは頭がおかしくなったのと思ったものだが、話を交わしているうちにスミレは大正という今から700年も未来から来た女という事が分かった。 教経からすれば自分が聖徳太子の時代にいくようなものと考えると途方もない年月と感じた。 スミレは先の時代ではたくさんの書物を読みふけっていたらしく、やたらこの今の時代に詳しかった。 そういうのを文学少女というらしい。 スミレが云うにはこれから源氏が挙兵して国中が騒乱の

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          武田信光は童と二人で館の奥座敷に対峙して座っていた。 童の名は板垣頼時。 兄である板垣兼信の嫡子である。 名字こそ違えど信光も兼信もいまや源頼朝と肩を並べるほどの勢力である甲斐源氏当主の源信義の子でる。 他に一条忠頼・逸見有義と兄弟がいた。 兄の板垣兼信から「頼時と逢ってほしい」と乞われた。 信光は当初なんのことかわからなかった。 兄に尋ねても理由は判らないが、ある日頼時から信光と二人で会いたいと頼まれたそうだ。 そして今に至る。 頼時はうつむいたままだ。

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

          巴は大人しい性分であった。 数えで七となる。 遊びたい盛りではある年ごろであるも、木陰でぽつんと一人で座ってることが多かった。 そんな巴がある日を境に様子が違ってきた。 傍でひっそりとしている時もあるが、みんなと遊ぶことも増え、時には男の子たちと一緒になって泥だらけになるまでざれあう時もあった。 「巴、なんか変わったよね」 仲間も大人たちもみな口を揃えたように言う。 どう変わったかをほうぼうから聞くも、時折覚えてない事が混じっている。 またか... そんな時

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

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          「遅い、遅すぎる」 平維盛は未来人である「ユキミツ」から聞いた世の流れから少しズレてきてる焦りを感じていた。 今頃はとっくに源氏の反乱軍と対峙しているはずなのに。 追討軍は決まれど未だ福原を出れていない。 このままでは源信義率いる甲斐源氏により甲斐が堕ちてしまう。 ーユキミツから聞いた世界ー それは維盛が追討軍を率いて甲斐へと向かい、再び安寧の世へと導く世界であった。 しかし十日を過ぎても未だ福原に留まっている。 理由は祖父である平清盛の福原の館に集う平氏一門

          『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル