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『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

壇ノ浦には何百艘もの船が平家・源氏共に入り乱れていた。

もう戦自体の勝敗は決していた。

平教経は船上にて至るところで沈みゆく舟艇を見渡していた。

つい先ほどまで船上にて教経と源義経は激しく剣を交えていたが、義経は不意に剣戟を止め、教経から離れていった。

遠目に義経が飄々と船を飛び交い、去って行くのを眺めていた。

決着はつかずか…

教経は壇ノ浦が最期の戦いと悟っていた。

己の戦に明け暮れた半生の終の一騎打ちが勝利でも敗北でもなく相討でもなく、ただの引き分けとは据わりが悪さを覚えていた。

とはいえ、平家と源氏の元来の闘いは集結を迎える。

もう平家の負けだな。

教経は心の中にいる『スミレ』に語り掛けた。

(もう終わっちまったな。お前さんの知ってる結末だったかい)

スミレはそうねと返し、教経は続けた。

(せっかく俺の中にいるのに負けて終わるのはすまねえな。変えられなかったわ)

(俺は今日この場で命が終わる。お前はどうなるんだろうな)

スミレは知らないと答えた。

教経は深くひと呼吸してから続けた。

(じゃあ、締めくくりに入水するわ。きっと波の下にも都があるぜ)

スミレは笑った。

教経はなんで笑うんだよと訊ねた。

(だって、今日この日に同じく海の底に都があるから行こうって話した平家一門が他にもいるんだもの。可笑しいじゃない)

そりゃ滑稽だなと教経も笑った。

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