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『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

シンジは鞍馬山を一昼夜駆け続けていた。

ーしぶといねー

シンジは追いながら呟いた。

シンジはある童を追跡していた。

いや、童と片づけていい相手ではない。

なんせ一昼夜も山中で大人から逃げ続けれる童などそうはいない。

半刻ぶりに童の影を察知した。

ー今度こそは逃がさないー

シンジは足を速めた。

シンジの体は『借り物』である。

シンジは遥か未来からこの世に来た。

シンジがいた時代は『平成』

この借り物の躰は武蔵坊弁慶と呼ばれていた。

弁慶は頑丈だし俊敏だ。

逸品級な体躯である。

シンジは遂に童を捕らえた。

「お疲れさん。牛若丸」

牛若丸と呼ばれた童はシンジに体を羽交い絞めにされていながらも、シンジを凝視していた。

怯えもせず、取り乱しもせず…

隙あらば一矢を報いるか、それとも逃げ遂せる気か。

「そんな怖い目で睨むなよ」

シンジは知っていた。

この牛若丸という童が後々の源義経となり、源平動乱の核となる事を。

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