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『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

平維盛は倶利伽羅峠での大敗の将として京へ戻るも憔悴していた。

富士川で不覚を取り、倶利伽羅峠でも敗北をした。

源義仲が勝利した勢いで京へ攻め入るとの噂でもちきりだった。

ーこんなはずではなかったー

ユキミツから告げられていた世界。

それは揺らぐことのない平家の世が数百年も続いている時代であった。

それが今、目の前で崩れようとしている。

「そんな世は黙っていてもこねぇ」

平教経が維盛へ言い放った。

平維盛と平教経。

同じ平家一門であり、同じく躰の中に未来人が内在している。

ただそれぞれの後方が異なってた。

維盛にいるユキミツは平家が末永く謳歌している将来。

教経にいるスミレは平家が途絶える行方。

維盛は自身が知らされた今後に抑制されていたのではないか。

むしろ呪縛となり違う流れに目を背けてしまっていたのでないか。

打ち拉がれている維盛に教経は重ねて云った。

「未来から来た奴の話は見込みでしかねぇ。要は俺等がなにをしてしないかだ。遣られた分は遣りかえせばいいだろうよ。未来はてめえで築け」

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