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『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

「遅い、遅すぎる」

平維盛は未来人である「ユキミツ」から聞いた世の流れから少しズレてきてる焦りを感じていた。

今頃はとっくに源氏の反乱軍と対峙しているはずなのに。

追討軍は決まれど未だ福原を出れていない。

このままでは源信義率いる甲斐源氏により甲斐が堕ちてしまう。

ーユキミツから聞いた世界ー

それは維盛が追討軍を率いて甲斐へと向かい、再び安寧の世へと導く世界であった。

しかし十日を過ぎても未だ福原に留まっている。

理由は祖父である平清盛の福原の館に集う平氏一門の重鎮たちが、追討軍編成の話より何故こうなったのか議論に夢中になってしまっているからである。

『そんな事は平定してからすればいいではないか』

追討軍の総大将となった維盛に全てを一任して電光石火の如く突き進まなければならないのに。

追討軍となった叔父の忠度・知度すら全く急ぐ様子もなく、不毛な議論へと混じってしまっている。

ーユキミツから聞いた未来ー

源氏制圧後は更に維盛を中心として若い平家達が悪しき風習に塗れた上の世代を一掃していき、その先は帝も平家も他家も平民もそれぞれの安堵して充足した暮らしへと、揺らぐことのない平家の世が訪れるはずであったが...

維盛は焦燥感に苛まれていた。

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