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自分から連絡できない症候群、の話。

私には色んな悪癖がある。
その中でも四天王的ポジションに居座る手強い強敵が、「自分から友人に連絡出来ない症候群」だ。

ネットゲーム歴のお陰か、インターネット上では割とそうでもない。だがリアル友人となると物凄くハードルが高くなってしまっていて、「来た連絡を返す」ことは出来るのに、「こちらから連絡する」が本当に、かなりの自信か、ガチの必要性が発生するまで出来ないのである。

分かってはいるのだ。
例えば友人について、最近どうしてるかな、元気かな、と思いを馳せたらその時に、そのまま「最近どうしてるー?元気ー?いや別に用事はないんだけど」とLINEなり電話なりしてみれば良いのだ、と。忙しかったら相手だってそう言うだろうし、スルーされても私が怒ったり凹んだりしなければ、別にそれで構わないはずだ、と。

なのだが。出来ない。
どうも「迷惑がかかったらどうしよう」が発動してしまう。
相手にとって連絡をしても迷惑がかからない曜日、時間帯、連絡の内容、そういうものを推し量るための情報は、連絡をしなければ手に入らない。
だからまずはライトに、「元気してる?」レベルの連絡をする必要があるわけだが、その「元気してる?」というメッセージを送ること自体が迷惑になる気がしてしまって、ぐずぐずダラダラと踏み切れなくなってしまうのだ。

もっと言うと、「近況を知りたい。だが明日会えるか、今すぐ2時間電話で喋れるかと言われると困る」という状況のせいもある。
これまた私の悪癖四天王に君臨する「人からの誘いを断るのが苦手」が原因だ。自分から連絡をした結果として「じゃあ会おうよ!明日とか!」ともし言われてしまうと、自分が対応できない。どうしよう、と思ってしまうのだ。
勿論そんな時には断ればいいだけなのだが、自分が好意を持っている相手に、自分から連絡をして近況を聞いておいて、でも会ったり電話したりは断る、というのは非常に不義理なような気がしてしまう。
これはまず間違いなく「母の要求を断ってはいけない」という、幼少期に刷り込まれたルールの影響だろう。好きな相手の要求は全て無条件で叶えねばならない、という思い込みを、イマイチ解毒しきれていないのである。

そんなわけで、「来た連絡は返すが、自分からは連絡できない」私は、友人と呼べる人間が非常に少ない。知り合いはそれなりにいるし、多分友人と呼んでも嫌がらないでくれそうな相手も結構いるはずなのだが、どうあれここ数年で個人的に私に連絡をくれた人というのが、親戚系や仕事関係やPTA絡みを除くと、見事に2人しかいない。

その貴重な内の一人である幼馴染の近況を知りたい……のだが、LINEを送る踏ん切りがつかず、お盆明けからなのでもう2週間もウジウジしているのである。

その幼馴染は今年に入ってからうつを発症してしまい、今年度は仕事を辞めて休職中のステータス、のはずだ。

5月のGWの時に直接会ってガストで駄弁った後、6月に何往復かLINEのやり取りがあって、その後連絡がない。
密かに、彼女がお盆休み期間中に実家に帰省してきたら、そのタイミングで会えたりしないかなぁ、などと期待していたのだが、連絡が来なかった所を見ると何らかの都合が悪かったのだと思う。

別に毎年必ず会っているという訳では全然ないし、というかコロナ禍が始まってから今年の5月まではずっと会えていなかったし、夏にまた会おうとハッキリ約束したわけでも何でもない。
なので、それは全然良いというか、私が勝手にちょっと期待したというだけの話なのだが、うつが悪化していたりしないかな、大丈夫かな……?という意味で気にかかっていて、でも彼女の事なので「元気してるー?」と連絡したら、お盆休みに会えなかった言い訳をさせてしまう気がして、ぐるぐるぐるぐるぐる、どぅわー。という感じで先送りし続けているのが現状である。どぅわー。

幼馴染とは、小学校1年生からの付き合いだ。
1年1組の教室で出席番号順が私のすぐ前だった彼女は、給食の時間には私の隣になった。そして何故か、給食のハンカチなどを使った手遊びを私にしてきて、しかもそれで私は毎日、涙が出るほど笑わされていた。
今思えば、3人兄弟の長女である彼女は、妹や弟をそういう感じであやしていたのではないかと思う。それを同じ年齢の同級生にやる、というのはちょっと流石にどうなのかと思わなくもないが、私がかなり体が小さく、顔も童顔だったのでそういう扱いをされても致し方なかった部分もある。そして実際、私が大ウケしてしまっていたのだから仕方ない。
とにかく当時、しかもほぼ初対面の状態から、彼女は私を大笑いさせるスキルが異常に高かった。
勿論私だけではない。彼女の周囲の人間は、多分ずっと、彼女に笑わせられてきた――と思う。

流石に長い付き合いなので、彼女がユーモアがあって面白いだけの奴ではないことも、私は知っている。
彼女は私よりむしろ繊細なのでは、と思うほど気遣いの塊だったり、私より余程クソ真面目だったり、責任感がやたらと強かったり、彼女を杜撰に扱うタイプの人に振り回され過ぎて疲弊していたりする。恐らくはHSPだろうし、アダルトチルドレンのケアテイカーやピエロの要素もある気がするし、つまり毒親や機能不全家族の問題もある可能性があり、そうなると愛着障害も抱えている確率が高い。
彼女の家庭環境に問題があるようには全く見えなかったが、そんな「外から見た家庭環境に異常がない」なんて何の保証にもならない。私自身がその証拠だ。

例えば彼女が今抱えているうつの問題も、彼女が自分自身に向き合い、例えば仕事や育児へのスタンスを変えることが出来れば、根本解決に繋がりえるのではないか、と思ったりもする。
が、いくら幼馴染だからと言って、「お前実はアダルトチルドレンじゃね?いや私もそうなんだけどさ」なんてズカズカ切り込むのは行き過ぎなようにも思うし、幼馴染自身が既に気付いているなら大丈夫だろうけれど、そうでなければ自分の成育歴を振り返るのは、一時的に凄まじく消耗することでもある。彼女のステータスがどう見積もっても万全ではないだろう今の時期に、それを突き付けるのはあまりに酷なようにも思う。

彼女にこの手の問題の説明をするならば、私のこのnoteを読ませるのも選択肢に入るが、私の母とも昔から直接の面識があって、「ワタリママってめっちゃ面白いよね!やっぱ好きだわー!」と言ってくれている彼女は、こんなものを読んだら無用なダメージが入ってしまいそうだし、そもそも私に共感して欲しいわけでもないし、単に彼女の問題を解決する手助けになると良いなぁと思っただけで、でもそれなら単に指摘してみるだけの方がやっぱり良いか……なんて思考が脱線したりもして、ぐるぐるぐるぐる、どぅわー。となっている。どぅわー。

どう考えても考えすぎだ。
とりあえず、「今日も暑いね!元気ー?」から話を始めるべきだろう。
これだけアイツの事について考えているのだから、元気かどうか聞くぐらいの権利は私にだってあるだろう。返事をするかしないかは、幼馴染が体調その他と相談して決めれば良いことのはずである。
そして、もしまたその内、深い話を出来るタイミングがあって、彼女が生きづらさについて悩んでいるように見えたなら――その悩みを私にチラッとでも見せてくれたなら、アダルトチルドレン的な自己分析のアプローチを、彼女に提案してみれば良いだけの話だ。

ぐずぐずダラダラくよくよとした思考を書き殴っていたら、ちょっと腹が決まってきたので、とにかく今週中に彼女にLINEを送ってみようと思う。

「暑いね!生きてる?」あたりから始まる、なるべく短くてどうでも良い、お気楽で能天気なメッセージを、全力で考えよう。そうしよう。


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