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荒川静香がイナバウアーの封印を解いた理由


歌を習っている先生と、レッスンの合間に荒川静香さんの話をしていました。

2006年開催のトリノ五輪で金メダルを獲得したフィギアスケートの荒川静香さん。

彼女の演技「イナバウアー」は、その年の流行語大賞にも選ばれていますね。

そのイナバウアーで有名な荒川さんですが、実はオリンピック直前までこの演技を封印していたそうです。イナバウアーは、種目として得点にならないため、金メダルを目指すために必要な加点をされる演技に集中すべきと考えたようです。

しかし、結局披露することにしたのは、お世話になった恩師や関係者、ファンの人たちへの恩返しがしたかったから。その感謝の気持ちを表現するために、競技としては加点をされないイナバウアーを取り入れたのだそう。

正直、メダルを狙おうという気持ちはあまりなくて、1ミリも妥協しないで五輪という大きな舞台にたどり着くというのが私の最大の目標でした。(五輪後のインタビューより)

https://aria.nikkei.com/atcl/column/19/081600124/020900023/


荒川さんにとって、金メダルを取ること以上に「観客を楽しませたい」という想いが強かったのだと思います。

だからこそ「魅せる演技」がしたかった。

演技直前も、荒川さんは自分の演技に集中するために、他の選手への結果や歓声も聞かないようにしていたそうです。耳にイヤフォンを付けて、自分の世界を創り出す。

焦っても仕方ない。自分の今までの積み重ねを信じるだけ。

他者と比べても仕方のない場面もあります。ひたすらに自分自身と向き合って、自分がどうあるべきか、どうありたいか、そして誰にどう喜んでほしいのかを考える。

他者からのアドバイスを聞いたり、他者のやり方を参考にすることはできます。でも、どう形にするか、その答えは自分の中にしかありません。

そんな話を先生としていて、私自身の半年間のグループ活動にも重なりました。

成果物として不十分かもしれない。他のグループよりも劣るかもしれない。発表して、「そんなのは要らない」と突き返されるかもしれない。

それでも、自分たちなりの形にして魅せるしかない。焦っても仕方ない。誰かと比べても意味がない。過去を悔やんでも何も変わらない。できるのは、今ある最大限の価値を伝えることだけ。

つくろっても仕方ない。
「ありのまま」を精一杯に伝えよう。

そのほうが、きっと良いものが生み出せる。

不思議なもので、歌でも演技でも、そして仕事でも、変に力を入れすぎると、返って実力が発揮されなくなるものです。リラックスして、自分らしく取り組んだ方が、結果的に良いものに仕上がります。(今回のレッスン中、散々指摘されたこと…)

荒川さんも、金メダルを狙おうと意識しすぎていたら、最大限の実力を発揮することはできなかったかもしれません。だから、自分が本当に魅せたい演技に切り替えた。

そうでなければ、たとえ金メダルを取れたとしても、こうして心からの笑顔は見られなかったかもしれません。

これは企業でも同じですね。

自分たちの得たい売上利益や給与に囚われすぎると、顧客や社会が本当に求めるものを提供できなくなる。結果として得られるものも減ってしまう。

自分たちが与えたい価値とは何か。
顧客や社会に対して、どのような存在でありたいのか。

常に問い続けることで、組織として一番輝ける姿を追求すること。

個人も組織も同じ。

得られるものよりも、自分が本当に与えたい価値を追求する。その価値が、相手をどのように喜ばせるのか。それを問い続けることが、自分が一番輝ける姿でいることに繋がるはずだから。

背伸びも大事。
でも一番大事なのは、「自分らしく輝くこと」。

改めてそう感じた一日でした。

もし壁にぶつかって悩んでいる人がいたら、少しでも何かヒントになれば幸いです。


(ヘッダー画像はこちらからお借りしました)
https://www.aflo.com/ja/editorial-images/features/360


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