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【経営学19】RBV(Resource-Based View)とは(競争戦略・経営戦略分野)

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はじめに

企業の持続的な競争優位性は、どこから生まれると思いますか?🤔

経営学の世界は、長い間この問に対して喧々諤々と議論が続けられてきました。
主な見解は3つ。

・企業の競争優位性の源泉は、外部環境にある!
・企業の競争優位性の源泉は、内部環境にある!
・企業の競争優位性の源泉は、外部と内部両方にある!

3番目が一番ズルい説です🤣
歴史でいうと、外部環境説が最初に出てきて、次に内部環境説、最後に両方説です。

外部環境にあるという考えで最も有名な理論がマイケル・ポーター教授のファイブフォース分析だと思います🤔
外部環境から企業の競争優位性を模索する方法をポジショニングアプローチといったりしますが、これはマイケル・ポーター教授の理論がポジショニングを重視しているからです。
いつかマイケル・ポーター教授のファイブフォース分析についても解説しようと思っていますが、今回は2番目の説に注目しましょう。

企業の競争優位性の根源は、企業の内部にあるのではないかという説です。
こちらは、ポジショニングアプローチに対して、資源ベースアプローチと呼ばれる手法です。

英語で、RBV(Resource-Based View)と呼ばれている理論です。

もうかっこいい🙄
明日使いたくなってきた。
全く関係ないところでも「リソース・ベースト・ビューの見地から言わせていただくと……」とか言いたい。

実はすごく難しい理論なのですが、それを明日使えるレベルまで簡易化してお届けしようと思います!
失敗したらすみません🙄


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1.RBVとは

RBVの考え方は、1984年にワーナーフェルト教授(Birger Wernerfelt:マサチューセッツ工科大学スローンマネジメントスクール教授, 経営戦略論)によって初めて提唱されました。

RBVは、企業の競争優位性は、その企業の内部にある経営資源から生じるという見解です。
だからこそ、Resources(経営資源を)、Based(基礎とした)、View(見解)なんでしょうね🤔

RBVでは、会社を「経営資源」の集合体なのだと考えます。
そのため、各企業は、それぞれ別々の経営資源を持っていて、異質性があると考えます。
人間と同じように、それぞれ違うよねって話です😁

そして、RBVでは、これらの経営資源が、簡単には他社に移動しないものと考えます。
これを非移動性というのですが、簡単に真似されたり、資源が量産されて他社が簡単に保有できたりはしないという意味だと考えてください。


つまり、RBVは、競争優位性の高い企業は、他社とは異なる非移動性を有する経営資源を持っていて、その経営資源を上手に活用することで、競争優位性を保っているのだと考えるわけですね🤔

もうすでにややこしい話ですが、平たく言いますと以下のようになります。

・企業の内部には他社とは異なる「強み」がある
・その強みを上手に活用して
・利益を得ている

ということです。
これで伝われば幸いです😁


では、どのような「経営資源」があるのか。
その種類を見ていきましょう。


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2.経営資源の種類

経営資源の分類については、経営学上様々な見解がありますが、私はグラント教授(Robert Morris Grant:元ジョージタウン大学教授, 経済学)の見解が好きなので、それを基礎にして、代表的な経営資源についてお話しますと、経営資源には、以下のとおり、6つの資源があります。


(1)財務的資源
(2)物理的資源
(3)人的資源
(4)技術的資源
(5)ブランド資源
(6)組織的資源

以下、一つずつ簡単にご説明いたします。


(1)財務的資源

現金、現預金、有価証券、借入能力などが財務的資源です。

流動性の高い資産を大量に持っている会社は、競争優位性を持ちやすい会社であるということです。
これはまさしくそのとおりで、最近では、お金を沢山持っている会社を「キャッシュリッチ企業」と呼んだりします😁

キャッシュリッチ企業として有名なのは、皆さんご存知の任天堂さんです。
任天堂は、現預金+短期保有有価証券を1兆円以上有している超キャッシュリッチ企業です🙄
ゲーム開発で長きに渡って手元資金が必要となることもあるでしょうから、常にお金を貯めているのだろうと思います。

また、私が重視したい点に「借入能力」があります。

上場企業の場合、株式市場から資金を獲得する方法があります。
これをエクイティ・ファイナンスといいますが、このエクイティ・ファイナンスにも、実はコストがかかっています🤔
株式に対する出資なので返済は不要なのですが、実は資本コストという考え方があって、そのコストが意外と高いのです。
また、資金調達は弁護士や会計士の力を借りないといけないですし、証券会社の手数料等もあるので、意外とコストがかかります…

今のように超低金利時代については、実は銀行等からの借入の方がコストが低い場合も多いのです。
借入コストは原則として金利なので、実は安い資金調達法だったりします。

しかし、借入は簡単ではありません🙄
銀行とタフな交渉を行い、自社の競争優位性を認めてもらって、かつ、返済計画をできる限り自社に有利にしてもらい、金利も下げてもらって借り入れる必要がある。

こんな離れ業、できる会社なかなかないです。

私がかつて、WARCの創業者である山本さんの部下として働いていた頃、私は山本さんの資金調達力をバケモノだなと思いました🤣
詳しくはいえないですが『あぁなるほど、この人は資金調達能力がずば抜けて高いのね』と思ったもんです。

そんな山本さんが興したWARCが、今では資金調達のお手伝いをする部署(Co-WARC ※コワークといいます)を持っていて、公認会計士を多く抱えているのですからそりゃ取引先増えるわと思う今日この頃です🤔

資金調達を検討している企業の皆さんはいつでもご連絡ください。
担当者につなぎます。

recruit@warc.jp

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(2)物理的資源

こちらは、工場、設備、オフィス、土地、建物、什器などが入ります😁

物理的に目に見える資源といってもいいかもしれません。
これらの資源が多い企業は、一般的には財務的資源も多く持っています。

ただ、たまに物理的資源を無理に購入して、借金ばっかり増えている企業もあるので、物理的資源が多ければ多いほど競争優位性があるとは言い難いです🤔

無駄な自社ビルとか、無駄な土地とか結構持っている会社あるので、何ともいえないところですね🙄

昔、ダイエーが潰れかけたときに、土地の買い過ぎ問題が露呈したことがありましたが、物理的資源の入手方法には繊細な問題がつきものです。
不動産バブルに乗っかって買い過ぎて、バブル弾けて大損するなんてこともあるので、経営者は物理的資源の入手には注意を払いましょう!

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(3)人的資源

これは、従業員が保有している技能、ノウハウ、協働できる能力、モチベーションの高さなどを意味します😁

組織内に高い技能・意欲を持った人間が多いとか、特殊なノウハウが貯まっているとか、チームワークが抜群だとか、そういう組織的な強みが該当します。

この点で有名なのはまた任天堂さんですね🤔
我々法務部の中でも「任天堂法務部」というのは特別な存在で、ある意味最強の法務部といわれています。
前述のとおりお金を持っている企業なので、一流の弁護士を雇って訴訟等を行いますから、中の人達が本当の意味で最強かは別論点だと思います。
しかし、これほど常勝し続ける法務部も珍しいので、やはり中に何名かとんでもなく賢い人がいるのは確かでしょう🤔
知財分野に特に強い法務部員がいるはずです。

任天堂様には敵わないですが、我らがWARCも、ベンチャー企業の中では異彩を放っていると思います。
まだ創業数年のスタートアップではありますが、創業者2名が双方公認会計士で、かつ、CFO & IPO経験者です。
その上で、社内に数十名の公認会計士・税理士がいて、さらに、公認会計士の人材プールを数百人単位で保有しています。

こんな会社はまずないでしょう🙄

だからこそ、WARCは現時点で700社以上のお取引先企業様を抱え、会計分野では最強クラスのスタートアップでいられます。
経理・財務人材の人材紹介やベンチャー企業のファイナンス分野のサポートではかなり強い方ではないかと思います。

こういう人的資源を保有している企業は、同業種の中でも競争優位性を長く保っていられることが多いです。
そのため、人的資源が豊富であればあるほど、競争優位性があるといえそうです。

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(4)技術的資源

これは、特許、著作権などを意味します😁

特許は本当に凄い力を持っています🤔
他社に対して参入障壁となりうるにとどまらず、上手くいけばライセンス料が稼げます。

重要な分野において全世界で特許を取っていれば、莫大な利益が……

そういうビジネスモデルで世界トップクラスの企業があります。
それが、ARMです😨

2016年にソフトバンクの孫社長が3.3兆円で買収した会社です。
孫さんが惚れ込んで、頼み込んで、買収させてもらった企業らしいですが、この会社はとんでもない会社なんですよ🙄

我々が毎日使うスマホの中には、CPU(脳みそ)が入っています。
このCPUというチップは、半導体で出来ています。
その半導体設計における設計図を専門で作っている会社がARMです😍

設計図を書いて、そのライセンス料だけで稼いでいる会社です。
粗利率(売上総利益率)はなんと90%超……
営業利益率でも40%超のバケモノ企業
です🤣

そして、このARMは、モバイル端末における設計図のシェアを80%以上も占有しています😒
もうほぼ独占状態といってもいい。

こういうキラー特許を持っている会社は、極めて強い競争優位性を持っているといえます。
ちなみに、任天堂さんもゲーム分野で様々なキラー特許を持っています…

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(5)ブランド資源

これは言葉通り、ブランド力です😁
レピュテーション(評判)という言葉で表現してもいいかもしれません。

その企業が持つ「評判」「ブランド」「印象」なども経営資源であるという考え方です。
私もこの見解に大賛成です。

最近では、レピュテーション・マネジメントという言葉まで出てくるほど、レピュテーションは重要な経営戦略分野となっています。

良いレピュテーションを持っている企業は、ブランド力も高いため、顧客が増えます。
その結果、競合他社と比べて競争優位性も高くなるという仕組みです。


レピュテーションで有名なのは、おそらくSTARBUCKSでしょうね🤔

言い方悪いですけど、スタバのコーヒーは異常に高いんですよ。
スタバの豆と同じ豆を使っているセブンイレブンのコーヒーは、一杯150円程度で買うことができます。
一方で、スタバだと500~1000円くらいする。

こんなに高いのに、スタバが空いているところを見たことがない🙄
常に人がいて、座れないことが多い。
平日の昼間っからMacカタカタターン族がいっぱいいます。

それだけスタバは愛されているということです。
顧客の心を掴んで離さない!
それはきっと、スタバに対する印象が極めて良いからでしょう。

同じ味なのに、わざわざ高いスタバで買う。
ブランド力以外の何者でもない気がします。

そういう企業は競争優位性も当然高いです。

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(6)組織的資源

これは、企業文化、組織構造、オペレーションシステム(管理システム)などが挙げられます。

競争優位性の高い企業の多くは、組織がしっかりしていて、オペレーションがスムーズに流れていきます。
そのため、その企業文化、組織構造、管理システムそのものを経営資源だと考えるわけです😁

全く同じ業種にいる2つの企業で利益に差が出るのは、企業文化・組織構造が違うからだという見解です。
私は一理あるなと思っています。

企業文化については、前記事でご紹介した日東電工株式会社が有名です。
極めて優れた企業文化を持っています。
経営学の教科書に載るくらい🙄


一方で、組織構造については、いろいろ思うところがあります。
素晴らしい商材を扱っている企業でも、組織がグチャグチャで機能していなかったら、その商材を顧客に届けることができません。
そういう事例は山程ありますよね🙄

商品は良いのに、組織がポンコツなせいで顧客からのクレームが増えるというケース……

ここについては語りたいことが多くありますが、ぐっと堪えて大事なところだけ申し上げますと、組織的資源の最重要部署は経営管理部門です。
組織がグチャグチャな会社の多くは、経営管理部門の人材が不足しています。
または、経営管理部門の人間の能力が低いです。

これは、知識・技能という定量的な部分だけの話ではありません。
どちらかというと、性格・文化などの定性的な部分の方が重要です。

経営管理部門は、そもそも間接部門ですから、営業や事業部などの直接部門をサポートする存在です。
それにもかかわらず、経営管理部門の人間が『無駄に』偉そうにしたり、チクチクと小言をいう姑のような人だったり、非協力的だったりすると、組織はガタガタになります。

経営管理部門の人間が、利益を産んでもいないのに偉そうにするなんて言語道断です🙄
経営管理部門のメンバーは、事業部がやりたいことを実現できるように知恵を絞り、協力的な態度で一緒に事業を作っていく姿勢が大事なんです。
そういう人間しか間接部門には入れてはいけません。

組織的資源を持っている企業の多くは、この点をよく理解している気がします。
そのため、経営管理部門の人材をしっかり厳選し、ホスピタリティの高い人材を揃えている。
そうすることで、事業部が動きやすいオペレーション設計ができあがる。

これが結果的に、競争優位性を高めることに繋がります。

非協力的な経営管理部門って、存在価値無いんですよねぇ……
むしろ、邪魔😨
間接部門は、直接部門の役に立ってなんぼです。

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以上、6つが経営資源の代表例です。
これらの経営資源を持っている企業は、競争優位性も高くなると考えられています。


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3.実務への応用

RBVの考え方を実務に応用するとすれば、以下の経営資源6つについて、それぞれ強化施策を打つことではないかと思います。
それによって、競争力を高めるのです😁

(1)財務的資源:現金、現預金、有価証券、借入能力
(2)物理的資源:土地、建物、工場
(3)人的資源:従業員の技能、ノウハウ
(4)技術的資源:特許等
(5)ブランド資源:評判
(6)組織的資源:組織構造、オペレーション構造等

財務的資源を高めたいなら、優秀なCFOを雇って財務健全性を上げる。

物理的資源を高めたいなら、新しい工場を建てたり、不動産を購入(売却)する。

人的資源を高めたいなら、社内の教育制度を充実させたり、資格・学位取得に補助金を出す。

技術的資源を高めたいなら、弁理士を社内に招いて特許出願を検討する。

ブランド資源を高めたいなら、レピュテーション戦略を練り直す。

組織的資源を高めたいなら、優れた企業文化を持つ企業を研究したり、経営管理部門のマネージャークラスを入れ替えたり、優秀な人材を採用したりする。

などが考えられます。

いずれにしても、専門家の助けが必要になるだろうと思います🤔
そのためにも、まずは採用です。
優秀な人材を採用することでしか、内部の経営資源は高まらないというのが私の見解です。
既存社員を育てることも同じくらい大事なことですが、既存社員の知識・学習だけではすぐに限界が来ます。
そもそも勉強しろといわれて勉強する従業員は5%もいないと思います。

元々相当に勉強をする人材や人に教えられるほどの専門性がある人材が組織に入らないと、変革は起こらないでしょう。
だからこそ、採用は極めて重要な活動だと思うのです😁

経営管理部門の人材は特に厳選したい!
経営管理部門の人材は、職務の特性上、適性のある人材が極めて少ないので、会社が本気で活動しないと良い人材は見つかりません。
競争優位性を高めたいなら、一度採用について深く考えてみることを強くオススメします。


おわりに

今日はRBV(Resource-Based View)について解説させていただきました😁
何となく理解できましたでしょうか?

外部環境に競争優位性の源泉を求めるポジショニングアプローチよりも、私は内部環境に競争優位性の源泉を求める資源ベースアプローチの方が性に合っています。
組織の強さこそ、他社に真似されない最強の経営資源だと思っているからです。

そして、最強の経営資源であるからこそ、手にするのが非常に難しいのです🤔

自社にとっての「優秀な人材」を定義するだけでも非常に深い思考を要しますし、そんな人材を獲得しようと思ったら、膨大な時間と労力をかけないといけません。
そして、いざ獲得できたとしても、その優秀な人材が定着してくれるような企業文化、組織制度を整えないといけない。

そんなことを実現しようと思ったら、軽く5年はかかると思います。
下手すると10年かかるかも。
だからこそ、CEOが本気でやらないと実現できません。
生半可な覚悟では競争優位性は手に入らないのです。

私は経営学を学んだり、実務で組織を見たりして、その難しさを痛感しました。
組織作りってこんなに大変なんだなと🙄

経営者の皆さんは日々悩んでいるかと思いますが、どこかで本気で腰を据えて組織について考え、行動してみる必要があると思います。
私でよければいつでもお話伺います(笑)


では、また書きます👍


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この記事は、株式会社WARCの瀧田が担当させていただいております。
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著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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