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わかおの日記124

さかのぼること11時間前、ぼくはさっぱり分からないドイツ語の試験問題を前に頭を悩ませていた。ぼくはドイツ語で1から10を数えることすらできないので、ドイツ語で4ってなんだっけというようなレベルで悩んでいた。論外である。

しかしぼくは国語力がすごいので、意味のわかる僅かな単語たちから見事な和訳をひねり出し、部分点を狙いにいった。こういうことをしていると、いつまでたっても本当の実力はつかないのだが、来年からぼくはドイツ語とバイバイするつもりでいるので、なにも問題はない。おそらく単位をとるために最低限必要な60点はなんとか取れたのではないかという手応えで試験を終えた。

試験が終わると、気と胃腸の弱そうな担当の先生は早々にはけて行き、入れ替わりで妙齢のドイツ美女が教室に入ってきた。そう、木曜4限ドイツ語担当のドイツ人である。コミュニケーション能力を過度に要求するこの授業をぼくは忌み嫌っているので、このひとが入ってきたとたんに少し萎縮してしまった。パソコンの画面越しでしか彼女を見たことがなかったので、なんだか現実味がない光景だった。ぼくが思っていたよりも背が低く、そしておっぱいが大きかった。

ドイツ人は、なにやらわけの分からない言葉を話しながら、教室の机に大量のお菓子を積み始めた。どうやらぼくたちにクリスマスプレゼントをくれるようだった。

お菓子を貰わないで帰るのも悪い気がしたので、ぼくは勇気を振り絞ってドイツ人のもとへ行き、目を見ずに彼女のおっぱいに向かってダンケシェンと挨拶をした。そしてお菓子をもらって早々に立ち去った。なんだか申し訳なかった。

貰ったお菓子はシナモンの味がすごくて、お世辞にも美味しいとは言い難かった。つくづくドイツとは相性が悪いようだ。

追伸 後輩たち、哲学はやめとけ

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