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トリプルファイヤーの良さが分かる人と友だちになりたい

最近いやでも自覚せざるを得なくなってきたのだが、ぼくは相当感受性が鈍いようである。鈍感なのだ。両親から愛されて育ち、なんら問題なく恵まれた環境に身を置いてきたからだろう。

世の中の理不尽に対する不満や怒りなどは全く持ち合わせておらず、自分がよければそれでいいと思っている。逆に綺麗な花や美しい風景を見ても、何ら心に湧き上がるものがない。母親の影響で、とりあえずデカい声で「きれ〜い」と言ってみることはするけれども。

こんな感性の人間は、致命的に創作に向いていない。日常で思ったことを書き連ねることはできるが、豊かな感受性でそれを捉え直し、創作の域にまで昇華することができないからだ。

そんな悶々とした気持ちの中、Sportifyで音楽を聴きながら作業をしていたら、ある音楽が耳に留った。

これである。トリプルファイヤーというバンド自体は、中学生くらいのころから知ってはいたが、良さが分からず記憶の引き出しの隅のほうにずっとしまわれていた。ここになって、ようやくその良さがわかってきた。

例えば動画冒頭の、「SEXはダサい」という曲の歌詞は、「スノボやるやつ馬鹿」「日本の大学、金と時間の無駄」「映画100本観るより、インドに1回行ったほうがいい」というような、ちょっとひねくれた大学生が1回は思ったことがあるようなことの羅列である。歌詞からは想像できないほどしっかりとした演奏に、ボーカルである吉田の情けない歌声が絶妙なバランスでマッチしている。

これじゃん!と思った。美しい風景や情緒を詞にすることの出来ない人間の最高到達点はこれだと思った。いわば「聴くエッセイ」である。他にも面白い曲が沢山あるので、聴いてみてほしい。

ぼくも己に繊細な感性がないことを気にせずに、自分と他人を卑下していこうと思った。

ちなみにボーカルの吉田は、「ブチ抜く吉田」という、与沢翼をイジり倒したYouTubeチャンネルをやっている。歌詞から想像のつくダメ人間ぶりが観れて面白い。

冷蔵庫の中で3週間放置した鯛をアクアパッツァにしたり

フリーマーケットで、酒瓶片手に自分の「言葉」を300円で売りつけたりしている。最高である。ぼくもこういう大人になりたい。

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