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「例のアノ人」の演技を紐解く#1

滝藤賢一さん、知っていますか?

こんにちは。wact co.のタクハチです。

急になになに!と思ったそこのアナタ。ぜひ前回の記事を読んでみて下さい!

念のため、僕のような面倒くさがりの人向けに、簡単に説明をしておきたいと思います。

あなたはいつも作品のどこを観ていますか?
いつもと違う目線でいつもの作品を観たら、また違った感動や楽しみが生まれます。

その方法は無限大ですが、
ここでは、俳優さんの演技を切り取ります。

俳優さんがどんな演技の技法を使っていて、そこにどんな意味があって、作品に、もっと言えば、観ている僕たちにどんな影響を与えているのか。

僕の圧倒的主観で切り取っていきます!

という話です。

俳優を目指している方も、そうでない方も皆さん大歓迎です。作品を楽しむ切り口としてぜひ読んでみて下さい。

#1 滝藤賢一さん

元々は映画監督を目指していた滝藤さん。

バレットバレエという映画への出演をきっかけに俳優の道へ進み、俳優座出身・仲代達也さん主宰の無名塾に約10年所属されてました。

俳優座・無名塾は、ともに業界ではもの凄く有名で、出身俳優を並べたらキリがないほどです。

ちなみに無名塾での滝藤さんの同期に真木よう子さんなどがいらっしゃいます。

当時は無名だった滝藤さんですが、ワークショップで面識のあった原田監督からクライマーズハイという映画のオーディションに声が掛かり、見事合格。そこでの演技に注目が集まりました。

この時、32~33歳だったと思います。

遅咲きの俳優さんとして、無名時代からつながりで世に出てきた経歴は、俳優を志す方々の希望になるように感じます。

それから名脇役として徐々に知名度を上げていった結果、皆さんご存知、半沢直樹の近藤役でブレイクを果たしたというわけです。
※当時、2013年の俳優ブレイクランキングに名前を連ねていました。

そんな滝藤賢一さんの演技、どこが凄いのか。

僕の圧倒的主観ですが、3つあります。

ひとつめ

セリフの抑揚とリズム。

他の俳優さんと比べても、圧倒的にセリフの抑揚が少なくリズム感が早いと思います。

流れるように淡々と喋るイメージです。

これが何とも心地よくて、観ている側の耳や心にスパスパと刺さってきます。

この特徴が滝藤さんの強みであると同時に、役所に対し、この特徴を当てはめるような形でキャスティングがされているような気がします。

ふたつめ

廃れている感。

これ、本当に心から尊敬して言っています。

この”廃れている感”ですが、俳優としてさまざまな作品で求められます。

元々の人柄や雰囲気にも関わってくるかもしれませんが、芝居の技術として廃れた感を出せるかどうか、がとても重要です。

例えば。

高校を中退し、漁業の道へ進んだ男。長く続かず職を転々とし、50歳を過ぎた今、工場の下っ端として働いている。妻とは離婚し、20歳を過ぎた娘とは連絡も取っていない。そんな男が、田舎での仕事の帰り道、汚れた作業着のままタバコを吸いながら、無精髭に泡を付け、ビールを飲む。

例えばこんな役所があったとして、この廃れた感を出すのは相当難しいと思います。
少しだけ芝居の話をすると、年齢の問題ではありません。実際のワークショップでも20歳そこそこで、こういう台本を演じたりします。見た目じゃなくて、心の在り方が芝居です。仮に20歳代でも本当にその役所がいるような感覚になってしまう芝居をする方もいます。

話が少し逸れてしまいましたが、滝藤さんはこの廃れた感を表現するのが抜群に素晴らしいです。

実際、つながりのある現役プロデューサーも同じことを言っていました。

これもキャスティングに影響している特徴なんじゃないかと思っています。

みっつめ

目。

最後が、目です。

元々、細身で面長の顔立ちにくっきりと印象強い目をしている滝藤さんですが、その使い方にハッとさせられます。

逸らしていた目を急に対象に向けたり、ゆっくりとした瞬きでギュッと相手を見掴んだりします。

対象のその先を見るような力の抜けた視線で、全てを見透かしたような冷たい雰囲気を漂わせたりもします。
ここに淡々としたセリフまわしが加わると、所謂ハマっているなぁという感覚を覚えます。

この特徴について最も衝撃を感じたのは、まさに冒頭でお話しした半沢直樹の近藤役です。

強い感情を表現するシーン。
目をカッと見開いて、精一杯の力を込めているようでした。一切の瞬きを許さず、みるみるうちに目を充血させ、最後には、うっすらと涙が浮かび上がっていました。

初めて観た時、目ひとつでここまでの感情を伝えられる俳優さんがいるのかと驚きました。

まとめ

今回は、完全に僕の主観で滝藤賢一さんの演技を紐解いてみました。

ここでお伝えしたいことは2つです。

俳優さんの演技が、その作品、その役に対して必ず干渉しているからこそ、演技という切り口で作品を観てみると新しい発見が生まれて面白いということ。

そして、これは俳優を目指す皆さんに向けて。
俳優さんひとりひとりに、特徴と呼べる武器があって、それがキャスティングにつながっている。
だからこそ、日頃から自分の芝居の武器が何なのかを考えることに加え、新しい表現方法を技術として培っていく努力が必要だということ。

#1 は以上です!

もしよければそれぞれの方の意見をコメント欄に書いて教えて下さい!取り上げて欲しい俳優さんでも結構です!

それでは、#2もぜひ楽しみにしていて下さい!





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