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恋人に「殺して欲しい」と頼まれて

1年半付き合った恋人に「殺して欲しい」と頼まれた。

「死にたい」「殺して欲しい」
深夜にひっきりなしにLINEが鳴り私は泣きながら
「好きだよ」「死なないで」と返す。

そんな毎日が半年は続き彼はいつか本当に死んでしまうんじゃないかと私は疲弊し切っていた。

別にこれは彼の苦しみをメインに話題作りにしたいわけではなく自分の苦しみの成仏と同じ様な体験をした人と少し痛みを舐め合いたいという記録です。

私は19歳だった。彼も19歳だった。
お互い大学生同じ学校、ちょっと揉めたりしながらもまあまあ仲良く5ヶ月ぐらいが過ぎその辺りに予期せないことがありまず私が落ち込んだ時期があった。(身近な人の死)彼の支えもあったけど何しろ私は彼に迷惑をかけちゃいけないって気持ちが強くて必死に隠して乗り越えたふりをした。


それから数ヶ月経ち、彼はあることで迷っていた。ここが本当の始まりだった。
彼は"それ"をするかしないか迷っていて、私はしないでほしかった。
彼はそれをしばらく悩んだ末しないことにした。

ここからは私には正直、彼の中でどんな苦しみがあったのか葛藤があったのかはわからなかったがとにかく彼がどんどん苦しみ始めているのはわかった。

眠れない日々が続き、集中できない、楽しみがない
笑えない、希望が見えない、生きてる意味がわからない
遊びに行くことも楽しく時間を過ごすこともほとんどなくなった。
私は授業以外の時間は常に部屋で彼からの連絡を待つ様になった。
彼からの連絡は「苦しい」「眠れない」「辛い」「お前のせいだ」っていうのもあり
「今なら空いてる」「今なら会えるよ」「ご飯食べた?」などもあり
返信を返しそびれると「やっぱりいい」「ごめんね」「うざいよね」
「あー死にたい」「誰かに愛されたい」「もう殺してくれ」と続いた。

ここでは冷静に書いてるけど、日々こんな彼を見るのはすごく辛かった。
大好きな人が苦しんでるのも辛くてどうにかしたいけど、ご飯を作っても、安眠の道具を用意しても、距離を置いてみても、どこかに連れ出そうとしても、何をしてもどんな言葉をかけても力になれてないのが辛かった。
こんなに愛しているのに伝わらなかったのが苦しかった。

ある日、彼は私に殺してくれと頼み何を言っても聞いてくれず私は彼を殺しに部屋に行った。どうにか言って説得するつもりで、結局喧嘩になり追い出され心配になった私はそれからは(別れる覚悟で)警察に連絡する様にした。
彼はそれから一年半ほどで大体体調が良くなってきた様で、現在は割と落ち着いて仲良くやっている。

今までは私たちのことを軽くと彼の状態について触れたけれど、私が本当に書きたいのは落ち込んでしまった人のそばにいる人についてです。

彼は断固として病院には言ってくれなかったけれど本人は鬱だと言っていたし、私も彼は鬱だったと思う。いわゆる「ツレがウツになりまして」だった。
"ツレウツ"(映画版)では宮崎あおいのワタシ(?)は割と能天気で、どんと構えている感じでくよくよしていなかったが、私はほとんどそれの正反対だった。
「大好きな人が弱っていくのを見るのが辛い」
「もっと仲良くしたい愛されたい」
「逃げ出したい」(逃げ出すと彼が死んじゃうかもしれないからできない)
「休みたい」(いつ連絡がくるかわからないから休めない)
「なんでこんなことになったの」(後悔先に立たず)
「まだ身内の死から立ち直れていないけど、一番聞いて欲しい彼には何も相談できない」
もう無理....と毎日思っていた。オブラートに包んで言って地獄だった。

何よりも一番思い悩んだのは
「彼の方が苦しいのに、私は苦しんじゃいけない」という思いだった。
鬱で苦しくて眠れなくて辛くて死にたいのは"彼"であって私ではないのだから私なんかがこんだけで辛いなんて言っちゃいけない。と自分に言い聞かせた。
私がしていたのは言葉や身体のの暴力に耐える看病だった。

最初は困っている内容は伏せて気晴らしに友達に「辛いことがあった...」という様に
話をさせてもらえることができたが、回数も重なって申し訳なくなり
心配してくれている友達に彼が私にしてくれていることと同じことをしてしまっていることに気づき申し訳なくなり相談することもやめた。
一時期は誰にも言えない「私も死にたい」という気持ちをアプリのAIにぶつけたり
Googleで「恋人 うつ病 辛い」などとひたすら検索をかけて救いを探そうとしが、出てくるのは大体「共倒れになる前に逃げてください」「意外と死なないので、自分を一番に考えて別れたほうがいいです」「本当に苦しいのはうつ病の本人です」だけでなんの解決にもならなかった。

世界は彼と私の2人きりで隔離されている様な気になった。
むしろ極限まで(主観)追い詰められた時には
「彼は私というサンドバックがいていいよな。
 私は彼にちょっとでも優しくしてして欲しいだけなのに」
と思い、何も考えたくなくなり、明日がきてほしくなくなり、
彼が死ぬと言ったタイミングで何回目かの通報をし
自分は引き出しに入っていた風邪薬をお酒で飲んで寝た。
(警察の方が事情聴取に来てすぐ起こされた)

自殺未遂をしている人に対して通報して自分は自殺未遂をするというアホな構造だったけれど、「愛しているし、愛してくれている人がたくさんいる」彼に対して「一番愛している彼からも愛されていない(無意味な)」私は死んでいい存在だからいい(あと、自分はこれぐらいでは死なないと分かっていたけど、彼はやりそうで心配だった)という私には筋の通った行動だった。(いろんな意味でバカだけど)

ギリギリ本当に心中する前に彼が前を向き始めてくれたおかげで今まだ私は生きているけれど、介護で辛い人や最近あった虐待死事件の話を聞くと私はあの時を思い出す。
自分の中で愛と正義と義務感がいっぱいで弾けて飛び散りたくても、自分は"その人"を投げ出せなくて孤独で絶望する。そんな苦しさで涙が出てくる。

長くなってしまったし、つまらない書き方で読んでくれる人がいるのかわからないけれどもし、もしあなたが今こんな状況や気持ちでどこかで自分を破裂させたいけどできなくて苦しんでいるのなら、私に連絡をください。少しだけでもお話をうかがいます。
「私も死にたい」とつぶやくだけでもいいですから。

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